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さいきょう皇帝様は家族を知らない

#13

初バトル

ガタリ。
大きな音をわざとたて、玉座に座る。
あんまりやわらかくない。
私はライダーが持ってきた一人用ソファのほうが好きだ。
「陛下。いかがいたしましょう?」
「大会の開始を宣言しろ。そしてチームの一覧表を。」
はっと威勢よく頭を下げ、誰かさんは去っていく。
誰かもわからない、父の用意した部下。
私は彼らに興味がない。
私が興味あるのはあの二人と私のチームだけ。
「こちらがチームの一覧表でございます。」
「……そうか。」
思っていたよりは分厚くない書類。
それでも総参加チーム数は100.予選突破、及びシードチームが20チーム。
強豪チームの中でも、グローブチームやブルーチームは予選を軽々突破してきている。
S4、シンペラー、Xブラッドは私が呼んだシード。
そして、シードには、私を欠いた最強のインペリアルチームもいた。
「陛下。開会のご宣言を。」
「わかった。」


[太字]インペリアルチーム
チームメンバー
レイン、ラムネ、ナイト、カイザー
インクカラー
ロイヤルブルー[/太字]
その字だけ、私には踊っているように見えていた。

「皆の者。よくぞ集まった。」
私は玉座から立ち上がり、音楽堂にいるであろう観客に声を掛ける。



[水平線]


「こんなに少ないのか。」
ちょっと離れた場所にある人混みを見て、エンペラーが小さく声を上げる。
確かに、もう少し多いかと思っていたが、この場に集まったチームは20ほどだ。(観客は多いけど)
倍くらいはいるかと思っていた。
「まぁ、うちのチームはシードだからな。」
「シード?」
オレのつぶやきに、ラムネが1枚の手紙らしきものを出して教えてくれる。
「ワタシ達のチームは招待状をもらってるの。
その招待状に書いてあったけど、4チームがそうだよ。
他は予選で選ばれた奴ららしいね。」
シードで招待状か。なんか普通の大会と一味違うな。
ってかいつ予選やったんだよ。
……いや、オレたちが寝てる内か。
「ボクの予想通りなら、開会式にインペリアルが出てくるはずなんですが。」
「とりあえず、カイザー、ナイト、バトル中はあんまり喋るな。」
「声がバレてもいいことないからね。」
三人に釘をさされ、オレたちは頷く。
そんなことをしていると、あの人混みがわっと湧いた。
「皆様ようこそ!ワタクシは皇帝陛下の側近、ミニスと申します。
各地で話題の方々と、予選を勝ち抜いた方々。街を守れるように頑張ってくださいませ。」
よく通る声が会場を見渡すように響き渡る。
「めちゃくちゃ上から目線だな……。」
「昔のお前もそうだったよ。もうちょい威圧感あったけどな。」
おまいう発言にきちんと突っ込んでから、ミニスの顔を見る。
スーツとモノクル。まるで執事だ。
インクカラーはブラック。年齢不詳。威圧感はないが、食えない怪しさがある。
「油断すんなよ、え……カイザー。」
「わかっている。お前こそだぞ。ら……あ、いや。ナイト。」
お互い慣れぬ名には苦労をする。
黒尽くめのエンペラー。というのは見たことがなさすぎるので違和感があるが、ソレは相手も同じと半分開き直って、目の前を睨む。
各チームが見える。
グローブ、S4、シンペラー、Xブラッド。
強豪が集っている。そしてブルーチーム。
やっぱりいたか。
「さぁ。皆様。皇帝陛下の御言葉にございます。」
そんなに大げさに言うことじゃねぇのにな。
あいつは普通のイカだぞ?ただの努力家の。
そんなことを思っていると、いきなり音楽堂のステージを覆っていた幕が吹き飛ぶ。
何だ何だ。人々が騒ぎ出し、背伸びをしてステージを見ようとする。
「……!!」
「皆の者。よくぞ集まった。
ここに集まりし者は強さも楽しさも知っている。
そんな者たちばかりであろう。」
少し低めた声。
目はオレたちの方を向くことなく、観客に向かって厳しい視線を送り続ける。
「ならば我をも楽しませてみせよ。
我を相手に楽しんでみせよ。」
「いいよー!」
呑気な声。あ〜。ゴーグル、今言うべきときじゃないぞ、それ。
いや、言うのはいいんだけれども!
時と場ってのがあってだな。
突っ込みたくなるのを必死に抑え、あいつを睨みつける。
あいつはオレから意図的に視線をそらす。
「……ここに、大会の開始を宣言する。」
くるりと振り向き、玉座にドカッと座るあいつの顔は、
少しだけ、ほんの少しだけ、寂しそうだった。
「では、第一試合を発表いたします。
Aブロック、S4チームvsスミカケチーム!
一回戦のルールはガチアサリ!!」
わっと歓声が上がる。ガチ杯以来の対戦カードか。
しかも今回のルールもガチアサリなんだが……。
あのときのアメフラシはものすごく厄介だったことこの上ない(あんまりチームワークがよくなかったのもある)。
今回はちゃんと対策もしてあるだろう。
ちょっと注目だなと遠くから見て思う。
「Bブロック、Xブラッドvsインペリアルチーム!」
「フゥ……まじか。」
「本当らしいね。レイ兄。作戦立ててある。
カイザーさんとナイトさんは自分の好きなように動いてください。
ボクらは毎回援護担当なので。」
レインが一つため息をつき、プランが二人に指示を出し始める。
オレも、エンペラーとうなずき合い、ブキの動きを確認する。
いつもより軽いから扱いに気をつけなくては。
ってかこいつ、ダイナモローラー使えるんだっけ……?
「心配しなくても大丈夫だ。大体全ブキは使えるように特訓してある。」
心を読むな。
と言いたいのをぐっとこらえ、オレもマニューバーコラボを握りしめる。
機動力のあるやつはあんまりやってこなかったが、見慣れてると言えば見慣れている。
きっと大丈夫。
「行くぞ。二人共。」
「お、おう。」「あぁ。」


[水平線]


重苦しいダイナモのベッチューが、オレの肩に乗る。
練習してきたとは言え不安は残る。
《ステージはアジフライスタジアム!
ガチ最強、ウデマエ全員XのXブラッドと、
スクエア、シティを股にかける最強チームインペリアル!》
いつの間にか実況は、テンタクルズに交代している。
最強チームとは言え、オレたちは普段は別チーム。
これで大丈夫なのか。オレはここにいていいのか。
隣にいるライダーは、気にすることなく堂々とオレのブキを構えている。
なんでそんなに様になるんだ。
聞きたかったが、時間もない。
《Ready…GO!》
オレは地面を蹴り上げる。
とりあえずアサリを拾い集め十個にする。
「……。」
そしてライダーに目で合図。
そしてガチアサリはライダーにパス。
機動力を生かしてゴールに近づくが、Xブラッドがそれを止める。
中キョリのオメガとレッドソールを中心とし、攻めていく。
2対1で絶体絶命かと思いきや、素早いスライドで二人を翻弄。
「カイザー!!」
ライダーが翻弄したことで開けた空間。
それに気づいたレインが、オレに叫ぶ。
ライダーはもう一度ガチアサリを投げてこちらへよこす。
オレもちゃんとアサリをキャッチし、ゴールへ投げ入れる。
バリアが壊れた。
「ナイスだ!二人共!」
チュンッチュンッ!
オメガとレッドソールを、リッターの長キョリ射撃が撃ち抜く。
この射撃は……ラムネだ。
「援護は任せてって言ったでしょ?」
「よし!アサリは任せろ!!お前らは突っ込め!!」
レインもいつの間にかアサリを投げまくっている。
オレはもう一度ガチアサリを作り、ゴールへ投げ入れる。
「させねー!!」
復活したダブルエッグのスライド。
よく狙いダイナモのタテフリをかます。
それに怯んだその隙にもう一度。
ライダーもやってきて援護射撃。
「ぐっ……。」
ダブルエッグは一度下がり、体制を立て直そうとする。
オレはライダーと背中を合わせ、ヴィンテージたちの攻撃に備える。が、何も起きない。
そろそろ来てもいいんじゃないか?
オレの感覚がそう叫ぶ。
危険だ。一度退け。取り返しがつかないことになる。
それを無視した自分が馬鹿だった。
「残念だったな。Xに散れ。」
Xフォール!!
気づけばXブラッドが、オレたち二人を包囲していた。
これを避けるのはなかなかの至難の業で、オレも避けられたことは一度もない。
しかし、ライダーは余裕そうにオレの肩を叩く。
「[小文字]あれ、行くぞ。[/小文字]」
あれ?あ。忘れていた。
それは、オレたちがソレイユとのバトル用に考えた合せ技。
当たらなかったけれど、まだ練習はしている。
そして、ちょうどスペシャルゲージも満タンだ。
キラリ。キラリ。
オレたちのゲソが光りだす。
ヴィンテージもなにか感づいたようだが、遅い。
Xフォールはある意味この作戦では都合がいい。
だって、ほぼ一箇所に固まってくれている。
Xフォールが放たれようとしたその時、オレたちは一斉に空へ飛び上がる。
オレの手にはナイスダマ。あっちはジェッパ。
「なっ!?」
「ナイス!ナイス!ナイス!
行っちゃって〜!着地狩りはさせないよ〜!」
「ナイス!ナイス!ナイス!
生き残りも任せとけ!」
アサリ投げを一時中断し、二人も臨戦態勢に入る。
オレはヴィンテージとオメガの並ぶ場所にナイスダマを投げ入れる。
ライダーはよし気たと言わんばかりにレッドソールとダブルエッグを狙う。
ナイスダマは一発しか放てないので、オレはすぐ着地するが、二人を手伝うためにダイナモを構える。
あいつ、オレよりジェッパ上手い気がする。
[太字]ガコン[/太字]。バリアが戻った。
しかし、Xブラッドはそれどころではない。
上からのジェッパ攻撃、横からのリッター、
後ろからのロングブラスター、
油断すれば[漢字]ダイナモ[/漢字][ふりがな]オレ[/ふりがな]。
しかし、ヴィンテージは楽しそうだ。
「うんうん。そうこなくちゃね。」
ラムネも頷いている。
あぁ。そうじゃなくちゃオレたちだって楽しくない!
「ダブルエッグ、後ろに回り込め。
レッドソールは横を崩せ。
オレとオメガは前線突破。行くぞ。」
ヴィンテージは淡々と指示を出すが、その顔は笑っている。
そしてその言葉通り、オレたちは囲まれる。
初めに狙われたのは動きの遅いオレとラムネ。
特にとっさの射撃に弱いラムネだ。
「やらねぇよ!」
「キャッ!」
後ろから回り込んだダブルエッグにヒットを許し、
オレ自身もレッドソールに狙われ始める。
その内にXブラッドはバリアを破壊し中にアサリを放り込んでいく。
「いったたた……。」
「おい、行くぞ。援護の時間だ。」
レインはラムネを呼び、ラムネもレインの方へ向かう。
「りょーかい!」
そしてレインが出したのは。
「[太字]スペシャルウェポン、バブルランチャー[/太字]!!」
そしてラムネはレインの出したシャボン玉に、次々にインクを当てていく。
ついでにダブルエッグにも当てていった。
レインも、シャボンに当てるついでにレッドソールとオメガを倒していく。
スペシャルとオレたちは必死にヴィンテージを抑える。
絶対にゴールさせたくはない。
隣を見てみると、ライダーがカーリングボムで邪魔をしていた。
とりあえずオレもスプリンクラーで足止め。
そのスプリンクラーのインクが、シャボン玉にの中に入って、最終的に……。
割れた。
その爆発にヴィンテージは巻き込まれ、バリアも戻る。
ライダーは準備していたのであろうガチアサリを投げ入れ、バリアを破壊。
制限時間も残りわずか。急がなくては。
「こっち、ガチアサリ!」
「こっちも頼んだ!」
インクと一緒にガチアサリが飛んでくる。
投げろ!という声とともに、おれたちは投げる。
そこらにあったアサリは全部回収して投げる。
近くにいた敵はダイナモを直撃させて潰す。
全員の息があってきた。
「ラストー!!」
ラムネによって投げられたガチアサリは、抵抗することなくゴールへ入った。
《ノックアウト!!勝者はインペリアルチーム!!》
勝っ……た?へなへなと体から力が抜ける。
ダイナモの重さも、先程までとは比べ物にならないほど感じる。
ブルーチームのときにもやったはずなのに、なんで今回ばかりこんなに緊張した?
「ナイスだったぜ。カイザー、ナイト。」
「最高だったよ!」
駆け寄ってくる二人の方を向くことなく、オレたちはカメラを見る。
その奥に、あいつがいるような気がした。
寂しそうな目の、あいつが。
「もし、この大会あいつと戦うことになったら。」
ライダーがポツリと呟く。
「その時は倒すまでだ。」
胸を張って言えないけれど。
まだ力量差は明らかだけれど。
この大会で、オレたちはお前に並んでみせるよ、ソレイユ。

作者メッセージ

はい!Xブラッド戦でした!
ライダーがマニューバー系統使いこなすの意外と本編でもありそうだなって思ってるんですよ。
なにせ性能を知るためにダイナモ以外の武器でも練習してるライダーですから!
それにエンペラーが嫉妬するのもありかなぁと。
さて、ラムネとレインのブキのスペシャル、異名と逆なんですよ。
異名については後々でてきますので、お楽しみに。
では!See you again!

2024/07/23 17:34

ミコト
ID:≫ 8t/IaoonNB37w
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