「勝ったか。」
いきなりXブラッドと当てるとは、ミニスも意地悪だ。
皇帝専用の控室で一つ深い溜め息をつき、玉座の肘掛けを強く握る。
ブルーチーム、グローブチーム、S4チーム、ハチチーム、シンペラーチームなどはちゃんと予選を通過している。
このままだとまた面倒なことになりそうだな。
とりあえず次の相手を確認する。グローブチームだ。
「おい。」
「はっ!?」
「我らの出番はいつだ?そして、次のルールは何だ?」
できるだけ低い声を心がけ、側にいた誰かに聞く。
そいつは怯えたようにビクリと肩を震わすと、額を地面に擦り付けそうな勢いで言う。
「ははっ!陛下のお出番は決勝のみでございます。
に、二回戦のルールは確かガチエリアだったかと。」
「わかった。……下がれ。部屋には誰もいれるな。」
「ぎょ、御意!」
慌てて部屋を出たそいつに哀れみの視線を向けながら、私は頬杖をつく。
帰りてぇな、なんて今ここで言ったら、あの野郎にぶん殴られるのが筋だろう。
ライダーもエンペラーも、私に何かあればすぐに首を突っ込む。
それが、どんなに危険であろうが……。
「[小文字]私が、どんな気持ちでここにいるかわかってるんだろうな。[/小文字]」
できるだけ誰一人とて傷つけたくない。
苦しめたくない。
最善手はあの野郎をぶっ飛ばすこと。
でもそれが可能になるのは天文学的確率。
その手を打つのがどんなに大変なのか。
私は知っている。
「もういいのに。」
そう思いながらも手を伸ばしてくれるのを待ってしまう自分がいる。
一緒にいてくれるって信じてるから、拒絶されるのが怖い。
そんなことないってわかってるけど。
昔もそうだった。私達三人とも変わってない。
「まだ時間あるんだよな。」
私は過去の回想に浸ることにする。
それで全部忘れられれば、いいのになんて甘ったるいことを考えながら。
[水平線]
「ライダー!エンペラー!いらっしゃい!」
「邪魔するぜ。」「お邪魔する。」
まだライダーと住んでなかった頃。
アイツラが公の場で可愛げなくして私がちょっと怒ってた頃。
「キッチン借りるぞ。」
「ありがと、ライダー!」
ご飯は大体ライダーが作りに来てくれていた。
料理が壊滅的に下手な二人なものだから、ご飯系統はライダーに任せっきり。
みんなこれで一緒に住んでないほうがおかしいって思うと思う。
ふっと何かに気づいたようにエンペラーが一つの封筒を出す。
「そういや、ポストに入っていたぞ。」
ソレは見慣れた黒色の封筒。
角に血のような装飾のついた封筒だった。
なんで。バレていないはずなのに。
エンペラーからひったくるようにして封筒を取り、封を開ける。
1枚の手紙。書いてある内容は……暗号。
3r
dy7
e5iwjz。
みかか暗号と呼ばれるキーボードを元にした暗号だ。
構造は難しくないからすぐ読める。
[太字]あす
しんや
いえにてまつ[/太字]。
「まじかよ。」
「??どうした?」
いや。私は首をふる。
「明日面倒な予定が入った。」
エンペラーの赤い瞳が、私を覗いた。
ライダーもこちらを向く。
その拍子に作っていたスープでもこぼしたのだろうか。
アチッと声が上がる。
「大丈夫なやつか?」
「もう!何心配してんだよ、お前らしくもない。
大丈夫なやつだよ。問題ねぇし。」
ライダーに比べれば少々甘えん坊なエンペラーの頭をそっと撫でる。
王にふさわしく、玉座に座れば威圧感は十分。
なのに、なんでこんなにもここだと警戒心がないんだ?
不思議に思いながら私はもう一度、黒い封筒を眺める。
「……本当か。」
「うん?本当に決まってるだろ。」
スープの味見をしながらライダーが聞く。
エプロン姿はお世辞にも似合わないが、彼の作る食事はどれも絶品。
バトルじゃぁ勝ちが全てなんて言ってるのにね?
「オレらは、確かにお前より弱いけど、強くなれるよう努力してるんだぜ。
だから、たまには頼ってくれよ?」
「たしかに力になれないかもしれないが、
一人で抱えるよりはいいと思うぞ。」
心配そうなその目に私は、呆れたような笑顔を叩き込む。
私にはまだ、人を頼れる勇気はない。
「大丈夫だって!」
「……そうかよ。ほら、飯。
どーせ三日ぐれぇ何も食ってねぇんだろ。
食べやすくしといたから詰め込むなよ?」
ライダーの図星の言葉に首をすくめながら私はスープを口にいれる。
野菜や海鮮の旨味が溢れ出てきて、とても美味しかった。
「美味。」
「だろ?」
ライダーはニコっと笑ってこちらを見てくる。
この笑顔は、私達しか見れないんだよなとちょっとした優越感を覚えながら、私は一滴も残さず吸い込んだ。
月が上がっている。
そうか、今日は満月だったかと思いながら帰りたくもない実家への道を急ぐ。
実家まわりの治安はあんまりよくないけれど、それも怖くない。
だって私は、最早バトルでも素手喧嘩でも最強だから。
「あったあった。」
この家々の中でもひときわ大きい屋敷に私は駆け込む。
ツンと染み付いた血の匂い。
昔からそうだったけど、やはり慣れない。
何年も離れていたから特にだろうが。
「来たな。ソレイユ。」
あの野郎の声が庭中に響き渡る。
今日も人一人殺ってきましたと言わんばかりのその顔は、私が最も嫌いな顔。
「は。」
膝をつき、手をつき、敬服の意を示す。
ここで抗おうたって敷居をまたいだからにはここは犯罪組織のボスの家。
勝ち目は限りなく0に近いのだ。
「よくも我家を抜け出したな。」
「抜け出したのではございませぬ。」
一発殴られそうな剣幕の声に、私は慌てて反論する。
「迷い子がおりまして、その子供を送っていったら、自分もまた迷子になりまして。
しょうがないと外の世界で研修でもしていたのでございます。」
「ではなぜ帰ってこなかった?」
「助けた子供に懐かれてしまいまして。
ここにいては怪しまれるでしょうし、
父上の御仕事の邪魔になってはいけないと帰ることができなかったのでございます。」
完全に私のことを疑っているあいつに、行くときに考えた言い訳をぶつける。
それでもあいつは私のことを訝しむようである。
「これ、そこの者。」
「はっ!」
近くにいたのであろう誰かを呼びつけると、あいつはこう命令した。
「とりあえず此奴への罰だ。S級にしろ。」
あー、最悪だ。
こいつ本当に自分に忠誠誓ってるか確かめる気だ。
絶対痛いじゃんやだやだ。
他人事みたいに心のなかで唱えながら、私は誰かさんに引きずられていく。
S級は罰の中でも最も強いもの。
何をやるかは……思い出したくもないものばかりだ。
一番の地獄は水につけられること。
溺れ死をしかけ、何度も気絶する。
[漢字]インクリング[/漢字][ふりがな]私達[/ふりがな]の中で最も嫌な刑罰と言っても過言はない。
三時間ほどたち、ようやく終わったようで私は開放された。
あいつは何も言うことなく、呼んだら来いという伝言を残したのみだった。
私は痛む体を引きずって街灯の殆ど無い家への帰路を急ぐ。
しかし、不運なことにいきなりのゲリラ豪雨。
私のゲソもギアも濡らしていく。
冷たい、寒い、暗い。
「[小文字]らいだ、えんぺら……。[/小文字]」
こんな遅くにあの二人が出歩いているはずないだろう。
エンペラーなんて、いつも10時には寝てるんだぞ?
ライダーだって、11時には……。
一人で帰るのがこんなに寂しいなんて思いもしなかった。
そんな私を責めるように雨はどんどん強くなる。
水分は傷をつつき、痛みを増加させる。
手当してから帰ったほうがよかった。
そんな後悔は後にしろと体を動かす。
しかし、どんどん体は動かなくなり、ついには倒れ込んでしまう。
「[小文字]やっべ。[/小文字]」
苦笑いをしている暇などないのに、私は笑う。
そういうところだ。弱いところをすぐ笑って隠す。
だから二人にも心配されるんだ。
「[小文字]こんなところで死ぬのか……[/小文字]」
嫌だな。
意識はどんどんブラックアウトしていく。
「……[小文字]れい[/小文字]……!?」「[斜体]ら、、ぞ、、[/斜体]!!」
甘い香りで目が覚める。
天国か地獄かどっちかなと重い目を開けてみると、そこは私の家の私のベッドの上だった。
「起きたか。」
「う……っわ!エンペラー!?ライダー!?」
私の隣りに座っている二人のボーイの顔を見て、飛び起きてしまう。
「お前、あの雨の中ぶっ倒れて、
あの傷で熱の一つも出さないとか、体どうなってんだよ。」
ライダーが呆れたように言う。
腕を見てみれば、ちゃんと手当がしてあった。
足も、体も。
エンペラーっぽい巻き方の腕と、ライダーっぽい巻き方の足。
身体はどっちもが混ざっている。
「……何があったのかは聞かないが。
無茶だけはするなよ。」
エンペラーは釘を差すように言い、ライダーも頷いた。
わかったよとそっぽを向くと、ライダーの男らしいゴツゴツした手が私の方を掴んだ。
「そう言ったって聞かねぇだろ。
[太字][大文字]だからオレがここに住む。[/大文字][/太字]」
「好きにしr……はぁぁ!????」
ライダーの言葉に、私は大きな叫び声を上げる。
大きな声を出しすぎてちょっと傷に響いたが気にならない。
「おふくろから許可はもらってるし、
何よりエンペラーは坊っちゃんだからいなくなったら心配されるだろ?」
「オレも行きたかったけどな。」
不満ありげにエンペラーは言う。
私は頭が混乱し、またベッドに倒れ込む。
「任せとけ。悪いようにはしねぇよ。」
「オレも1日に1度は来るからな。」
ホントこいつらは過保護なんだから。
そういうところだぞ。お前ら……。
「わぁったよ。好きにしやがれ。」
私は枕に顔を埋めて言う。
ぱちんとハイタッチの音が聞こえた。
[水平線]
「なつかしーな。」
思い出しながら私は、あのときの古傷を押さえる。
もうないはずなのに、もう消えているはずなのに、
チクリとそこだけ傷んだ気がした。
「なぁ、二人共。」
どうやったら、お前らは、私から目を離してくれる?
私を無視してくれる?
そんなことしてくれるはずないよな。
ほら、だからやっぱり期待してしまう。
もう期待させないでくれよ。
いきなりXブラッドと当てるとは、ミニスも意地悪だ。
皇帝専用の控室で一つ深い溜め息をつき、玉座の肘掛けを強く握る。
ブルーチーム、グローブチーム、S4チーム、ハチチーム、シンペラーチームなどはちゃんと予選を通過している。
このままだとまた面倒なことになりそうだな。
とりあえず次の相手を確認する。グローブチームだ。
「おい。」
「はっ!?」
「我らの出番はいつだ?そして、次のルールは何だ?」
できるだけ低い声を心がけ、側にいた誰かに聞く。
そいつは怯えたようにビクリと肩を震わすと、額を地面に擦り付けそうな勢いで言う。
「ははっ!陛下のお出番は決勝のみでございます。
に、二回戦のルールは確かガチエリアだったかと。」
「わかった。……下がれ。部屋には誰もいれるな。」
「ぎょ、御意!」
慌てて部屋を出たそいつに哀れみの視線を向けながら、私は頬杖をつく。
帰りてぇな、なんて今ここで言ったら、あの野郎にぶん殴られるのが筋だろう。
ライダーもエンペラーも、私に何かあればすぐに首を突っ込む。
それが、どんなに危険であろうが……。
「[小文字]私が、どんな気持ちでここにいるかわかってるんだろうな。[/小文字]」
できるだけ誰一人とて傷つけたくない。
苦しめたくない。
最善手はあの野郎をぶっ飛ばすこと。
でもそれが可能になるのは天文学的確率。
その手を打つのがどんなに大変なのか。
私は知っている。
「もういいのに。」
そう思いながらも手を伸ばしてくれるのを待ってしまう自分がいる。
一緒にいてくれるって信じてるから、拒絶されるのが怖い。
そんなことないってわかってるけど。
昔もそうだった。私達三人とも変わってない。
「まだ時間あるんだよな。」
私は過去の回想に浸ることにする。
それで全部忘れられれば、いいのになんて甘ったるいことを考えながら。
[水平線]
「ライダー!エンペラー!いらっしゃい!」
「邪魔するぜ。」「お邪魔する。」
まだライダーと住んでなかった頃。
アイツラが公の場で可愛げなくして私がちょっと怒ってた頃。
「キッチン借りるぞ。」
「ありがと、ライダー!」
ご飯は大体ライダーが作りに来てくれていた。
料理が壊滅的に下手な二人なものだから、ご飯系統はライダーに任せっきり。
みんなこれで一緒に住んでないほうがおかしいって思うと思う。
ふっと何かに気づいたようにエンペラーが一つの封筒を出す。
「そういや、ポストに入っていたぞ。」
ソレは見慣れた黒色の封筒。
角に血のような装飾のついた封筒だった。
なんで。バレていないはずなのに。
エンペラーからひったくるようにして封筒を取り、封を開ける。
1枚の手紙。書いてある内容は……暗号。
3r
dy7
e5iwjz。
みかか暗号と呼ばれるキーボードを元にした暗号だ。
構造は難しくないからすぐ読める。
[太字]あす
しんや
いえにてまつ[/太字]。
「まじかよ。」
「??どうした?」
いや。私は首をふる。
「明日面倒な予定が入った。」
エンペラーの赤い瞳が、私を覗いた。
ライダーもこちらを向く。
その拍子に作っていたスープでもこぼしたのだろうか。
アチッと声が上がる。
「大丈夫なやつか?」
「もう!何心配してんだよ、お前らしくもない。
大丈夫なやつだよ。問題ねぇし。」
ライダーに比べれば少々甘えん坊なエンペラーの頭をそっと撫でる。
王にふさわしく、玉座に座れば威圧感は十分。
なのに、なんでこんなにもここだと警戒心がないんだ?
不思議に思いながら私はもう一度、黒い封筒を眺める。
「……本当か。」
「うん?本当に決まってるだろ。」
スープの味見をしながらライダーが聞く。
エプロン姿はお世辞にも似合わないが、彼の作る食事はどれも絶品。
バトルじゃぁ勝ちが全てなんて言ってるのにね?
「オレらは、確かにお前より弱いけど、強くなれるよう努力してるんだぜ。
だから、たまには頼ってくれよ?」
「たしかに力になれないかもしれないが、
一人で抱えるよりはいいと思うぞ。」
心配そうなその目に私は、呆れたような笑顔を叩き込む。
私にはまだ、人を頼れる勇気はない。
「大丈夫だって!」
「……そうかよ。ほら、飯。
どーせ三日ぐれぇ何も食ってねぇんだろ。
食べやすくしといたから詰め込むなよ?」
ライダーの図星の言葉に首をすくめながら私はスープを口にいれる。
野菜や海鮮の旨味が溢れ出てきて、とても美味しかった。
「美味。」
「だろ?」
ライダーはニコっと笑ってこちらを見てくる。
この笑顔は、私達しか見れないんだよなとちょっとした優越感を覚えながら、私は一滴も残さず吸い込んだ。
月が上がっている。
そうか、今日は満月だったかと思いながら帰りたくもない実家への道を急ぐ。
実家まわりの治安はあんまりよくないけれど、それも怖くない。
だって私は、最早バトルでも素手喧嘩でも最強だから。
「あったあった。」
この家々の中でもひときわ大きい屋敷に私は駆け込む。
ツンと染み付いた血の匂い。
昔からそうだったけど、やはり慣れない。
何年も離れていたから特にだろうが。
「来たな。ソレイユ。」
あの野郎の声が庭中に響き渡る。
今日も人一人殺ってきましたと言わんばかりのその顔は、私が最も嫌いな顔。
「は。」
膝をつき、手をつき、敬服の意を示す。
ここで抗おうたって敷居をまたいだからにはここは犯罪組織のボスの家。
勝ち目は限りなく0に近いのだ。
「よくも我家を抜け出したな。」
「抜け出したのではございませぬ。」
一発殴られそうな剣幕の声に、私は慌てて反論する。
「迷い子がおりまして、その子供を送っていったら、自分もまた迷子になりまして。
しょうがないと外の世界で研修でもしていたのでございます。」
「ではなぜ帰ってこなかった?」
「助けた子供に懐かれてしまいまして。
ここにいては怪しまれるでしょうし、
父上の御仕事の邪魔になってはいけないと帰ることができなかったのでございます。」
完全に私のことを疑っているあいつに、行くときに考えた言い訳をぶつける。
それでもあいつは私のことを訝しむようである。
「これ、そこの者。」
「はっ!」
近くにいたのであろう誰かを呼びつけると、あいつはこう命令した。
「とりあえず此奴への罰だ。S級にしろ。」
あー、最悪だ。
こいつ本当に自分に忠誠誓ってるか確かめる気だ。
絶対痛いじゃんやだやだ。
他人事みたいに心のなかで唱えながら、私は誰かさんに引きずられていく。
S級は罰の中でも最も強いもの。
何をやるかは……思い出したくもないものばかりだ。
一番の地獄は水につけられること。
溺れ死をしかけ、何度も気絶する。
[漢字]インクリング[/漢字][ふりがな]私達[/ふりがな]の中で最も嫌な刑罰と言っても過言はない。
三時間ほどたち、ようやく終わったようで私は開放された。
あいつは何も言うことなく、呼んだら来いという伝言を残したのみだった。
私は痛む体を引きずって街灯の殆ど無い家への帰路を急ぐ。
しかし、不運なことにいきなりのゲリラ豪雨。
私のゲソもギアも濡らしていく。
冷たい、寒い、暗い。
「[小文字]らいだ、えんぺら……。[/小文字]」
こんな遅くにあの二人が出歩いているはずないだろう。
エンペラーなんて、いつも10時には寝てるんだぞ?
ライダーだって、11時には……。
一人で帰るのがこんなに寂しいなんて思いもしなかった。
そんな私を責めるように雨はどんどん強くなる。
水分は傷をつつき、痛みを増加させる。
手当してから帰ったほうがよかった。
そんな後悔は後にしろと体を動かす。
しかし、どんどん体は動かなくなり、ついには倒れ込んでしまう。
「[小文字]やっべ。[/小文字]」
苦笑いをしている暇などないのに、私は笑う。
そういうところだ。弱いところをすぐ笑って隠す。
だから二人にも心配されるんだ。
「[小文字]こんなところで死ぬのか……[/小文字]」
嫌だな。
意識はどんどんブラックアウトしていく。
「……[小文字]れい[/小文字]……!?」「[斜体]ら、、ぞ、、[/斜体]!!」
甘い香りで目が覚める。
天国か地獄かどっちかなと重い目を開けてみると、そこは私の家の私のベッドの上だった。
「起きたか。」
「う……っわ!エンペラー!?ライダー!?」
私の隣りに座っている二人のボーイの顔を見て、飛び起きてしまう。
「お前、あの雨の中ぶっ倒れて、
あの傷で熱の一つも出さないとか、体どうなってんだよ。」
ライダーが呆れたように言う。
腕を見てみれば、ちゃんと手当がしてあった。
足も、体も。
エンペラーっぽい巻き方の腕と、ライダーっぽい巻き方の足。
身体はどっちもが混ざっている。
「……何があったのかは聞かないが。
無茶だけはするなよ。」
エンペラーは釘を差すように言い、ライダーも頷いた。
わかったよとそっぽを向くと、ライダーの男らしいゴツゴツした手が私の方を掴んだ。
「そう言ったって聞かねぇだろ。
[太字][大文字]だからオレがここに住む。[/大文字][/太字]」
「好きにしr……はぁぁ!????」
ライダーの言葉に、私は大きな叫び声を上げる。
大きな声を出しすぎてちょっと傷に響いたが気にならない。
「おふくろから許可はもらってるし、
何よりエンペラーは坊っちゃんだからいなくなったら心配されるだろ?」
「オレも行きたかったけどな。」
不満ありげにエンペラーは言う。
私は頭が混乱し、またベッドに倒れ込む。
「任せとけ。悪いようにはしねぇよ。」
「オレも1日に1度は来るからな。」
ホントこいつらは過保護なんだから。
そういうところだぞ。お前ら……。
「わぁったよ。好きにしやがれ。」
私は枕に顔を埋めて言う。
ぱちんとハイタッチの音が聞こえた。
[水平線]
「なつかしーな。」
思い出しながら私は、あのときの古傷を押さえる。
もうないはずなのに、もう消えているはずなのに、
チクリとそこだけ傷んだ気がした。
「なぁ、二人共。」
どうやったら、お前らは、私から目を離してくれる?
私を無視してくれる?
そんなことしてくれるはずないよな。
ほら、だからやっぱり期待してしまう。
もう期待させないでくれよ。
- 1.Prologue
- 2.マイペースキングは、今日も今日とてマイペース
- 3.弁当をちゃんと食え!!
- 4.新しい家
- 5.not本編 インペリアル&登場人物の紹介!
- 6.体調不良表現あり、ご注意!! NightとKing
- 7.サーモンランと、ライダーの憂鬱
- 8.濁る瞳
- 9.太陽
- 10.殺し屋の子
- 11.皇帝のチームのチームメイト
- 12.オレら5人で、最強チーム!?
- 13.初バトル
- 14.さいきょう皇帝様は親に頭が上がらない?
- 15.愛されたかった
- 16.二戦目 シンペラーチーム戦!?
- 17.オレ等の宣戦布告
- 18.あなた達が従うべきは
- 19.バトルロワイヤル・イヴ
- 20.バトロワ開始!?即三人戦!?
- 21.新たな皇帝と闇社会の子
- 22.キミを助けるために
- 23.番外編(?)曲パロ
- 24.戦い、開始。 皆の心
- 25.戦いのスタート地点
- 26.最強皇帝の従者たち
- 27.愚王と愚民、そして愚帝【前編】
- 28.愚王と愚民、そして愚帝【後編】
- 29.処刑の日
- 30.スプラマニューバーの帝王
- 31.みんなで帰ろう
- 32.大切な人
- 33.最終回 君に伝えたい