「よく来たな、ソレイユ。」
「ははっ。」
頭なんて下げたくもない相手に、頭を垂れるのは、吐き気がするほど嫌だが、今はしょうがない。
「さて、今日から我らの一員になってもらうが、お前は少々現世の穢れが多い。」
「……。」
何が穢れだ。こっちのほうがよっぽど穢れてるわ。
そんなツッコミを飲み込んで、あの野郎の方を向く。
「そこでだ。お前が現世で仲良くしていた者をここに連れてこい。」
「……なんと?」
あの野郎の頭がぶっ飛んだとしか思えない言葉に、自分は耳を疑う。
「二度は言わん。さっさと連れてこい。」
待て、待て、待て!!
仲良くしていた者?もしかして、まさか、まさか……!?
「ライダーとエンペラーのことで、ございましょうか……?」
「名は知らぬ。もう一度口をきいたら、そいつもシャインのようにしてやろうか?」
その言葉に自分は慌てて額を地面につける。
頬を、冷や汗が伝っていく。
脳内では、あの光景がずっと流れている。
「誠に申し訳ございません!!」
「わかるな?」
「ははっ!!」
喉を何かが駆け上がっていく。
気を抜いたら過呼吸になりそうだ。
逃げるように自分は、部屋から出ていく。
太陽はもう、すっかり沈んでいる。
「暗っ……。」
あの時もそうだったっけ?
忘れちゃった。何年も前だもんな。
こうやって記憶は全部廃れていく。
「ごめん、お兄ちゃん。」
自分は、私は、お兄ちゃんとの約束、守れない。
[水平線]
十年以上前のことだった。
私が生まれたのは、普通……ではない、犯罪者集団のボス格の両親の元だった。
兄姉は四人。長男のシャイン、長女のリュミエール、次女のライト、次男のスパーク。
私は末子。みんなとは年がすごく離れていたから、私が物心ついたときには、彼らはもうヒト状態になれていた。
「ソレイユ、おいで。」
お兄ちゃんたちは、いろいろな世界を見せてくれた。
初めてのハイカラの街、ナンタイ山。
シャイン兄ちゃんのブキはカーボンローラー、
リュミ姉ちゃんのブキはリッター、
ライ姉ちゃんのブキはホットブラスター、
スパ兄ちゃんのブキはハイドラント。
四人は最強のチームだった。
そして、私の憧れだった。
「見てろよ、ソレイユ!」
バトルに行くとき、シャイン兄ちゃんはいつもそう言っていた。
でも、私は見に行くことはなかった。
父[打消し]いまで言うあの野郎[/打消し]は、自分の思い通りにならない四人を嫌っていて、バトルにも反対だった。
それは私にも強制された。
バトルを見るのは禁止。一人前の殺し屋になるために日々きつい訓練を課された。
流石に海に投げ捨てられたときには死んだと思ったけど……。
「やめてよ、やめて!父様!」
「うるさい!静かにしろっ!」
父には情というものがなかった。
家族であろうと必要があればすぐ捨てるし、すぐ銃口を向ける。
母はその被害にあって、私を産んだすぐ後に死んでいた。
「大丈夫か。ソレイユ。」
そんな私にとって、家族と呼べるのは兄姉だけだった。
その唯一の家族が、父の刃にかかったのは、私が6つほどのときのことだった。
「逃げろっ!!ソレイユ!!」
「戻ってこないで。後ろを向いて、振り向かないで!」
「いい?私達をお姉ちゃんでいさせて。」
「このブキで、目一杯バトル楽しんでこい!」
自分のものとはまた違う血の香りに背を向けて、私は逃げた。
逃げて、逃げて、逃げて。
気がついたら、どこかわからない場所にいた。
持っているのは、スパ兄ちゃんの持たせてくれた形見のハイドラントだけ。
「おにいちゃ……。」
狭い路地で、独りぼっち。これほど辛いことはない。
地面に落ちる涙。だめだと思ってもこぼれ落ちてくる。
お兄ちゃんの名前をもう一度呼ぼうとした、その時。
「わぁぁっ……とうさまぁ!かあさまぁ!」
「泣くなよ、泣いちゃだめだって!」
大きな泣き声が、路地の奥から聞こえてきた。
ひぐひぐ無理やり泣くのをやめて、そちらをちらりと向いてみれば、私とほぼ同じ年の少年たちが、狭く小さい路地の奥で泣いていた。
「おーい、君たち。」
ビクッ「は、はいっ!!」
少年は、怯えたように体を震わせ、私の方を向く。
「どうした?母様とはぐれちゃったか。」
「……はい。」「そのとおりだ!!」
縮こまる少年と、胸を張る少年。
対照的だが、目の奥にある感情は一緒。不安の一色だ。
「なんでこんなところに入っちゃったかなぁ……。
危ないから一旦路地からで「危ないっ!!」
黄緑色の少年が叫ぶ。
しかし私は動じず後ろを向きながら蹴りをかます。
ドズっ。綺麗に顎に入ったのか、襲ってきたのであろう男が倒れる。
「ほら、出るよ。」
とりあえず二人の手を掴んで引っ張っていく。
「へ、お姉さん、名前なんですか。」
「ん?私?ソレイユ。」
「お、オレ、ライダー。」「オレはエンペラー。」
そう。これが、二人との出会い。
その後、二人の母はなんとか見つかり、私は路上生活を余儀なくされた。
父のもとに戻る気にはなれなかったのである。
「おー。ライダー、エンペラー。」
「よぉ!」「あぁ。」
二人との交流は続いて、最終的に数年経った今でも続いている。
路上生活は、誰も所有していない空き家を郊外で見つけたことで終了し、私は今はそこに住んでいる。
ライダーが住むようになったのは、家族が絡むとある出来事が起こってからなのだが。
[水平線]
楽しくバトル。みんなで楽しく暮らす。
そんな簡単なことが、私にはできない。
犯罪者の家に生まれたから?
そうじゃない、はずなのに。
私は今でも、その束縛から、逃れられていない。
「ははっ。」
頭なんて下げたくもない相手に、頭を垂れるのは、吐き気がするほど嫌だが、今はしょうがない。
「さて、今日から我らの一員になってもらうが、お前は少々現世の穢れが多い。」
「……。」
何が穢れだ。こっちのほうがよっぽど穢れてるわ。
そんなツッコミを飲み込んで、あの野郎の方を向く。
「そこでだ。お前が現世で仲良くしていた者をここに連れてこい。」
「……なんと?」
あの野郎の頭がぶっ飛んだとしか思えない言葉に、自分は耳を疑う。
「二度は言わん。さっさと連れてこい。」
待て、待て、待て!!
仲良くしていた者?もしかして、まさか、まさか……!?
「ライダーとエンペラーのことで、ございましょうか……?」
「名は知らぬ。もう一度口をきいたら、そいつもシャインのようにしてやろうか?」
その言葉に自分は慌てて額を地面につける。
頬を、冷や汗が伝っていく。
脳内では、あの光景がずっと流れている。
「誠に申し訳ございません!!」
「わかるな?」
「ははっ!!」
喉を何かが駆け上がっていく。
気を抜いたら過呼吸になりそうだ。
逃げるように自分は、部屋から出ていく。
太陽はもう、すっかり沈んでいる。
「暗っ……。」
あの時もそうだったっけ?
忘れちゃった。何年も前だもんな。
こうやって記憶は全部廃れていく。
「ごめん、お兄ちゃん。」
自分は、私は、お兄ちゃんとの約束、守れない。
[水平線]
十年以上前のことだった。
私が生まれたのは、普通……ではない、犯罪者集団のボス格の両親の元だった。
兄姉は四人。長男のシャイン、長女のリュミエール、次女のライト、次男のスパーク。
私は末子。みんなとは年がすごく離れていたから、私が物心ついたときには、彼らはもうヒト状態になれていた。
「ソレイユ、おいで。」
お兄ちゃんたちは、いろいろな世界を見せてくれた。
初めてのハイカラの街、ナンタイ山。
シャイン兄ちゃんのブキはカーボンローラー、
リュミ姉ちゃんのブキはリッター、
ライ姉ちゃんのブキはホットブラスター、
スパ兄ちゃんのブキはハイドラント。
四人は最強のチームだった。
そして、私の憧れだった。
「見てろよ、ソレイユ!」
バトルに行くとき、シャイン兄ちゃんはいつもそう言っていた。
でも、私は見に行くことはなかった。
父[打消し]いまで言うあの野郎[/打消し]は、自分の思い通りにならない四人を嫌っていて、バトルにも反対だった。
それは私にも強制された。
バトルを見るのは禁止。一人前の殺し屋になるために日々きつい訓練を課された。
流石に海に投げ捨てられたときには死んだと思ったけど……。
「やめてよ、やめて!父様!」
「うるさい!静かにしろっ!」
父には情というものがなかった。
家族であろうと必要があればすぐ捨てるし、すぐ銃口を向ける。
母はその被害にあって、私を産んだすぐ後に死んでいた。
「大丈夫か。ソレイユ。」
そんな私にとって、家族と呼べるのは兄姉だけだった。
その唯一の家族が、父の刃にかかったのは、私が6つほどのときのことだった。
「逃げろっ!!ソレイユ!!」
「戻ってこないで。後ろを向いて、振り向かないで!」
「いい?私達をお姉ちゃんでいさせて。」
「このブキで、目一杯バトル楽しんでこい!」
自分のものとはまた違う血の香りに背を向けて、私は逃げた。
逃げて、逃げて、逃げて。
気がついたら、どこかわからない場所にいた。
持っているのは、スパ兄ちゃんの持たせてくれた形見のハイドラントだけ。
「おにいちゃ……。」
狭い路地で、独りぼっち。これほど辛いことはない。
地面に落ちる涙。だめだと思ってもこぼれ落ちてくる。
お兄ちゃんの名前をもう一度呼ぼうとした、その時。
「わぁぁっ……とうさまぁ!かあさまぁ!」
「泣くなよ、泣いちゃだめだって!」
大きな泣き声が、路地の奥から聞こえてきた。
ひぐひぐ無理やり泣くのをやめて、そちらをちらりと向いてみれば、私とほぼ同じ年の少年たちが、狭く小さい路地の奥で泣いていた。
「おーい、君たち。」
ビクッ「は、はいっ!!」
少年は、怯えたように体を震わせ、私の方を向く。
「どうした?母様とはぐれちゃったか。」
「……はい。」「そのとおりだ!!」
縮こまる少年と、胸を張る少年。
対照的だが、目の奥にある感情は一緒。不安の一色だ。
「なんでこんなところに入っちゃったかなぁ……。
危ないから一旦路地からで「危ないっ!!」
黄緑色の少年が叫ぶ。
しかし私は動じず後ろを向きながら蹴りをかます。
ドズっ。綺麗に顎に入ったのか、襲ってきたのであろう男が倒れる。
「ほら、出るよ。」
とりあえず二人の手を掴んで引っ張っていく。
「へ、お姉さん、名前なんですか。」
「ん?私?ソレイユ。」
「お、オレ、ライダー。」「オレはエンペラー。」
そう。これが、二人との出会い。
その後、二人の母はなんとか見つかり、私は路上生活を余儀なくされた。
父のもとに戻る気にはなれなかったのである。
「おー。ライダー、エンペラー。」
「よぉ!」「あぁ。」
二人との交流は続いて、最終的に数年経った今でも続いている。
路上生活は、誰も所有していない空き家を郊外で見つけたことで終了し、私は今はそこに住んでいる。
ライダーが住むようになったのは、家族が絡むとある出来事が起こってからなのだが。
[水平線]
楽しくバトル。みんなで楽しく暮らす。
そんな簡単なことが、私にはできない。
犯罪者の家に生まれたから?
そうじゃない、はずなのに。
私は今でも、その束縛から、逃れられていない。
- 1.Prologue
- 2.マイペースキングは、今日も今日とてマイペース
- 3.弁当をちゃんと食え!!
- 4.新しい家
- 5.not本編 インペリアル&登場人物の紹介!
- 6.体調不良表現あり、ご注意!! NightとKing
- 7.サーモンランと、ライダーの憂鬱
- 8.濁る瞳
- 9.太陽
- 10.殺し屋の子
- 11.皇帝のチームのチームメイト
- 12.オレら5人で、最強チーム!?
- 13.初バトル
- 14.さいきょう皇帝様は親に頭が上がらない?
- 15.愛されたかった
- 16.二戦目 シンペラーチーム戦!?
- 17.オレ等の宣戦布告
- 18.あなた達が従うべきは
- 19.バトルロワイヤル・イヴ
- 20.バトロワ開始!?即三人戦!?
- 21.新たな皇帝と闇社会の子
- 22.キミを助けるために
- 23.番外編(?)曲パロ
- 24.戦い、開始。 皆の心
- 25.戦いのスタート地点
- 26.最強皇帝の従者たち
- 27.愚王と愚民、そして愚帝【前編】
- 28.愚王と愚民、そして愚帝【後編】
- 29.処刑の日
- 30.スプラマニューバーの帝王
- 31.みんなで帰ろう
- 32.大切な人
- 33.最終回 君に伝えたい