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さいきょう皇帝様は家族を知らない

#6

体調不良表現あり、ご注意!!    NightとKing

何日か経って、少し生活に慣れてきた日のことだった。
……何がまずかったのだろう?
慣れない夜ふかしか、連日の(修行のためにとやった)バトルが長引き、帰れず、まともに食事を取れなかったことか、疲労のためそのままベッドにダイブしたことか……?
全部だな。うん。
怒られるだろうな。あいつにも、プリンツにも。いや、一番怖いのはJr.とエンペーサーだったり……。
なんてずいぶん呑気なことを考えながら、オレの視界はブラックアウトしていった。






[水平線]







エンペラーサイズのベッドの寝心地はすごくよかった。
「起きたか?」
目を覚ませば隣であいつが笑っている。
ライダーの姿はどこにもなく、ただ二人では広すぎるベッドの上に、オレたちはいた。
「ん。」
朝に弱いオレの脳は活動拒否。
頭をひっぱたかれてなんとか目を覚ます。
「起きろー。ご飯の時間!!」
半ば引きずられるようにしてオレは階段を降りる。
階を降りるにつれてご飯のいい香りがしてくる。
……腹減ってきた。
「ん……あさごはん。」
「ライダーが作ってるよ〜。」
起きろーと声がするが、その声がぼやけてくる。
やはり朝は低血圧でまずい。
下手するといつも倒れかけてる。
バトルで体を使うようになってからはまだマシになったが……。
「ライダー!」
「おう!って一人死にかけてるじゃねぇか……。」
早く栄養をよこせと言わんばかりに空腹が襲いかかる。
「[小文字]ご、はん。[/小文字]」
「おいおい、大丈夫かよ。」
心配そうに言うライダーの顔も、あまり良く見えない。
……あー、まずいかもしれない。
これ、本当に低血圧か…?
……ん?違う、これ、そうじゃないか!?
「らいだ、」
あいつの肩から乗り出して、とりあえず手を伸ばす。
こいつなら知ってるだろ。……いや、あいつも知ってるけどな。
ライダーはすぐ気づいたようで、あいつもやっぱりすぐ気づいて、
「ほら、飴玉、口開けろ。」
ひょいっと口に甘い固形物が放り込まれた。
全身に染み渡るような糖分をじっくり味わいながら口の中で転がす。
でもまだやはりフラフラするし、今にも倒れそうだし……。
あ、嘘だろ……。何年ぶりだ、こんなの……。
低血圧と、重度の低血糖のコンボ……。
やべ、と思ったときには遅くて、ブラックアウト。
その前にちょっと、さっき上記したような事を考えていたからよほどのスローモーションだった。
ガタッ。なんとかどちらかが支えてくれたのだろう。
床に激突まではしなかった。




[水平線]

「食べねぇのか?」
「うん、いいかな。」
病室でそっと眠るエンペラーを眺めているあいつは、そう言う。
朝飯も、昼飯も食ってねぇのに、よく言える。
無理矢理にでも口に突っ込みたい気分なんだが……。
昼間はシンペラーチームの奴らと、
ブルーチームの奴ら、
グローブとか、S4も来てたな。
……弟は、半分泣きそうだったよな。
「ちゃんと食えよ。」
ただでさえ真っ白いあいつの肌が、
ただでさえ細いあいつの腕が、
もっと白く、細く見えてしまう。
「……うん。」
あの馬鹿は、あのマイペースキングは、心配をかけ過ぎだろう。
よくあれで今まで一人暮らしできてたな……。
家族の心労いかばかりか……。
エンペラーの白い肌には血が通っているような赤みもなく、
ただすぅすぅと寝息だけを立てていた。
「……。」
早く起きろよ。そんな事を言うことさえできなかった。
気まずい中、オレは病室を出る。
『らいだ、』
エンペラーは、オレに頼った。それはなぜだ?
なんであいつに頼らなかったんだ?
『一緒にあいつを助けよう。』
『次は一緒にバトルしようか。』
あの、あの、マイペースキング。
お前はいつだって、あいつのことばかり。
……自分のことなんて考えないからいつだって消耗してギリギリ。
いつだって死にかける。
やっぱりお前の後ろには、[漢字]オレ[/漢字][ふりがな]騎士[/ふりがな]がいなけりゃだめなのかよ?
「[小文字]ほんっと、バカキングだよな。[/小文字]」
こんな軽口を叩けるのもお前ぐらいかな。
苦笑しながら、オレは病棟を後にする。




[水平線]

「王が復活したぞ!」[斜体]スパーンッ!![/斜体]「……!?」
「兄さんのバカバカバカ!!心配したんだからね!!」
「そうだぞ、プリンツよく言った。」
「オレたちがどれぐらい心配したかわかってんだろうな?!」
思いも寄らないシンペラーチームからの洗礼を受けていると、
遠くからライダーがやってきた。
「すまなかったな。心配かけた。」
「ホントだよ。」
呆れたように、ため息を付いてライダーは言う。
「帰るか?」
三人をあやしつつ(?)ライダーに問う。
あいつにも心配かけてしまったしな。
なんて思いながらライダーの方へ行く。
するとライダーは、オレを(シンペラーチームの隙をついて)抱えると、歩き出した。
「……?!は、ちょ、何する、愚民!?」
「ちゃんと食えよ。無理すんなよ。」
驚き、まともに動けないオレに、ライダーは語りかける。
「……このバカキング。人を頼ることすらできねぇのか。
前ばっか突っ走っていきやがって。」
ブツブツと、まるで自分に言い聞かせでもするかのように[漢字]彼[/漢字][ふりがな]ライダー[/ふりがな]は……。
「わ、わかったから降ろせ!目立つだろ、こんなの……。」
「目立つぐらいがちょうどいいんだよ。
お前にはたっぷり反省してもらわなきゃいけねぇんだ。」
ほとんど無に近い表情。感情をよく出すいつもとは違う。
……でも、無表情なのに、その目からはいろいろな気持ちがこぼれ落ちている。
それが混ざり混ざって、[漢字]濁った緑色[/漢字][ふりがな]ブルーグリーンジルコン[/ふりがな]となっていた。
「わかった。」
そんな目をされたらこっちだって、黙って言うことを聞くしかない。
「[小文字]心配かけさせんな。[/小文字]」
「[小文字]ぶっ倒れた時オレがどれだけ……。[/小文字]」
小さな声が、オレを包み込む。
その言葉は、説教にしてはなぜか温かく、眠るのにちょうどいい温度だった。

作者メッセージ

無性に書きたくなってしまって書きました!
更新遅くてすいません。
ライダーは無意識にエンペラーのことを大切に想っていて、エンペラーはライダーを安心できる人として認定してるということの確認のための回です。
なんでエンペラーがインペリアルに頼らなかったかと言うと___。
本編のネタバレになるので、ここでは言わないでおきましょう。
では、See you again!!

2024/07/11 18:44

ミコト
ID:≫ 8t/IaoonNB37w
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