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消失の帝王  〜とある女海賊の記録(ログ)〜

#21

だから私達は最強

有毒ワライダケ?皆が首を傾げる中、チョッパーとサンジが慌てたように鉄格子の外を覗く。
「有毒ワライダケって、それ!!」「リズムちゃん!?」
「アッヒャッヒャッヒャ!!」
有毒ワライダケは、ワライダケにとんでもない毒を混ぜた代物であるという説明を、チョッパーが始める。
「えっとな、見た目はネズキノコってやつに似ていて、
毒性も同じようなものなんだけど、その強さがずっとずっと強いんだ!
しかも、一個食ったらどんなに毒に耐性があるやつでも
死んじまうぐらい毒が強ぇんだぞ!?」
「[漢字]風の帯[/漢字][ふりがな]カームベルト[/ふりがな]一帯に生息しているから、
ここまであうことはなかったが、こんなところで初対面か。」
呆れたように、サンジが言う。ローも、気にはなるのか、ルフィとリズムを交互に見つめている。
「アッヒャッヒャッヒャ!!アッヒャッヒャッヒャ!!
あひゃひゃっ……。あひゃ……アヒャ?アッヒャッヒャッヒャ!!」
そのうち、リズムの笑い方が、どんどんおかしくなっていく。
その変化に一番初めに気づいたのはローだった。
「!?!?やべぇ、笑うことしかできなくなってやがる。」
そう言うと、頭を抱え、なんでこんなにも手に負えねぇやつが多いんだ、とローはつぶやく。
「麦わら屋と言い、こいつといい。」
「!?ルフィは?」
ローのつぶやきにナミが、みんなが聞き損ねていたことを聞く。
隣を見れば、ルフィはあの映像のとおり、力なく浮かんでいる。
これには絶対、何かある。
「標本化中だ。こいつの能力でな。
……このままだと、本当に一生目覚めない標本になるぞ。」
「標本化!?」
「……本当に?」
信じられない。そんな声が、響く。
ローだって信じたくない。けれど、それが真実なのだ。
「アッヒャッヒャッヒャ!!サイッコーだな、そのかアッヒャッヒャッヒャ!!」
もう、まともな言葉を発することもできなくなるほど狂ってしまったリズムを一味たちは恐怖の目で見つめる。
10にもならない少女。
本当なら、一味の敵にもなり得ない少女。
けれども今は違う。
「アヒャ?アッヒャッヒャッヒャ!!」
その強さも、覇気も、何もかも、未知数であった。
「……!!!」
その笑い声とともに、会場が歪んでいくのがわかる。
ここは[漢字]現実世界ではない[/漢字][ふりがな]リズムの精神の中である[/ふりがな]ので、
リズムの精神とともに歪んでいくのはしょうがないことなのだが、
彼らがそんなことを知る由もない。
「🎶 ♬ ♪」
どこからか、音楽が聞こえる。
それは、リズムの奏でる狂ったように明るい拍子ではなく、どこか温かく、どこか懐かしい、そんな声だった。
リズムの声で冷たくなった背筋を、
大丈夫だよと言うかのように温かい何かが包みこむ。
「[太字][斜体]さあ 
怖くはない 不安はない
私の夢は みんなの願い
歌唄えば ココロ晴れる
大丈夫よ 私は最強[/斜体][/太字]」
すとんと耳に落ちる、綺麗な音色。
歪んだ音楽ばかり聞き続けていた耳が、ほんわりと暖かくなるのがわかる。
「みんな、お待たせ!!ウタだよ!
ここから最高のライブにしていこう!!
行くよ!【私は最強】!」
そこにいたのは、リズムの相棒、歌姫ウタ。
彼女の奏でる美しい音楽とともに、浮かぶ牢に少しづつヒビが入っていく。
「[太字][斜体]見たことない 新しい景色
絶対に観れるの なぜならば
生きてるんだ今日も[/斜体][/太字]」
会場の目は、リズムを離れ、ウタに注がれる。
ウタ、という声も、どこからかする。
「[斜体][太字]さぁ 握る手と手 ヒカリの方へ
みんなの夢は 私の幸せ
あぁ きっとどこにもない アナタしか持ってない
その温もりで 私は最強[/太字][/斜体]」
その歌で、歪んだ会場は、元通りになっていく。
そして、一味の入った牢も、一瞬のうちに粉々に砕け、消えていく。
「[斜体][太字]最愛の日々 忘れぬ誓い
いつかの夢が 私の心臓
何度でも 何度でも 言うわ
『私は最強』
『アナタと最強』



[大文字]『アナタと最強』[/大文字][/太字][/斜体]」
その声は、世界中を包み込み、世界を沸かせる。
その姿は、まさに【歌姫】。
「[小文字]迎えに来たよ、お母さん。[/小文字]」
会場の皆には聞こえることのない小声とともに、歌は終わる……。



[水平線]

数分前、


「シャンクス、私が[漢字]あっち[/漢字][ふりがな]お母さんの中[/ふりがな]に行く。」
「……だめだ!!危険すぎる。」
赤髪海賊団(?)内ではちょっとした親子の諍いが起きていた。
リズムによる攻撃を避けながら行っているので、距離は縮まったり、広がったり……。
会話の内容も、歩み寄ったり、離れたり。
「シャンクス!!私はもう、子どもじゃないんだよ!」
「娘には無茶させたくないってのが親の心情なんだよ!」
言っていることとしては、どちらも正しいのだが、この言い争いが続くとなると。
ちょっと大変なことになりそうだ。
どちらに味方するのがいい?と攻撃を捌きながらクルーが考え始めた、その時。
「お母さんは私が止める!……私しか止められない。
お母さんのウタウタの能力は、[漢字]私[/漢字][ふりがな]オリジナル[/ふりがな]には敵わない。
だから、私がやるの!……[漢字]現実世界[/漢字][ふりがな]こっち[/ふりがな]は、任せたよ!」
言うが早いかウタは、リズムの方に駆け寄り、ヘッドホンを外す。
そうして、ウタは、背骨が抜けたようにバタリと崩れおちる。
奥には、三日月のような口で笑顔を見せる、リズムがいた。
「……お頭。」
シャンクスは、一瞬のうちに黙りこくる。
どういう感情なのか、クルーたちには理解し難い。
しかし、ウタの覚悟を踏みにじるほど、
器が小さい男ではないことを、彼らは知っていた。
「……[小文字]ぞ[/小文字]」
「なんだ、お頭。」
「ウタを援護するぞ。師匠に罪を犯させるな!!」
その目には、覚悟と、決意、
そして、彼には珍しく、少しの不安があったことを、クルーたちは忘れないだろう。

作者メッセージ

「」内の太字で斜線のやつが歌詞です。

【私は最強】
作詞・作曲 大森元貴
歌 Ado

2024/06/15 18:55

ミコト
ID:≫ 8t/IaoonNB37w
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