閲覧前に必ずご確認ください

ネタバレあり注意

文字サイズ変更

消失の帝王  〜とある女海賊の記録(ログ)〜

#17

永久愛歌

「ルフィ!トラ男くん!」「ルフィ!!」
「危ねえ!下がれ、お頭!ウタ!」
席の上で気絶したように眠るルフィとローを見て、シャンクスとウタが取り乱す。
そして、そんなウタの脳内には、ものの数時間前の出来事が蘇ってきていた。


[水平線]

「おー!!ウタ!」
「ルフィ!?」
幼馴染に会ったのは、何年ぶりだろうか。
あの笑顔も、あの声も、何もかも、変わっていなかった。
「ウタ!聞いてたぞ!やっぱ、いい歌だな〜!」
「あ、りがとう。……ルフィ、その横の人は?」
ウタは、ルフィの隣にいる怖い顔をした青年を指差す。
不機嫌オーラ全開で、足踏みをしている青年を。
「あー。こいつはトラ男だ!おれを助けてくれたいいやつだ!」
「トラ男……くん?」
「……トラファルガー・ローだ。」
よっぽどトラ男と呼ばれたくないのか、ローが付け足す。
でも、ウタはトラ男という呼び方が気に入ったのだろう。
トラ男くん、トラ男くん、とローに呼びかけまくる。
「うるせぇ!!歌姫屋!!」
「うたひめや?」
ローの特徴的な呼び方にウタが首を傾げる。
「……はあ、どういう風の吹き回しだ?」
なんで歌姫がこんなところにいるんだ、とローが言う。
「ウタはな〜。シャンクスの娘なんだ!」
「はぁぁぁ!!!?????」
ローの叫び声が、会場中に響き渡る。
「しー!!今はお忍びなの!
まぁ、気配消してるし、私と二人の会話は聞かれてないから大丈夫だけど!」
いたずらっぽい笑み。しーっと人差し指を立てる仕草。
変わってねぇなぁとルフィが言う。
「あ、そろそろ時間だ!
じゃぁルフィ!トラ男くん!ここからが本番だから、楽しんでいってね!」
ステージで会おう!そう言って、二人と別れたのだった。


[水平線]

「ルフィ!!トラ男くん!!」
午前ライブの後、少しだけ新聞を読んだ。
昔のやつで、ところどころボロボロで読めなかったけど、ルフィの言ったことに間違いはなかった。
〈トラファルガー・ロー……。〉
ルフィを助けて、後に同盟まで組んだ男。
いい奴。
そんな言葉が、トラファルガー・ローを表す、本当に唯一の言葉なのだろう。
「行かなきゃ!助けなきゃ!」
「落ち着け!!ウタ!」
ヘッドホンを振り落とさんばかりに駆け出すウタを、ベックマンが止める。
それでも進もうとするウタを、リズムのおかしな笑い声が止める。
「アッヒャッヒャッヒャ!!
ウタ!シャンクス!お前らも来てくれたのか!私の新世界に!」
「…お、お母さん?」
「師匠?」
空に浮かぶ、リズム。
羽衣、というにしては黒い雷神のような羽衣をつけ、空を舞っている。
「ありがとな!おかげで……。


行く手間が省けたぜ!」

ドンッ
地面が、揺れる。
空間が、揺れる。
聞こえないけど、ウタとシャンクスにはわかる。
リズムが、歌っていると。
「永久愛歌?」
ウタがそんな言葉を口にする。
それは、リズムが初めて作った歌。
明るい曲調にはどうやっても聞こえぬ、暗い[漢字]調[/漢字][ふりがな]しらべ[/ふりがな]。
そして、この早い拍子。
ウタにはその曲しか考えられなかった。
『[斜体][斜体]あぁ 白い光がキミを覆う
ボクの手が 届く前に

ただ 手を伸ばす
キミの名を呼ぶ
空に響く その声に
応えるキミも 振り向くキミも
ボクの前から 消えてしまう

灰色の世界から
キミのいる 世界を見た
手を伸ばしても
力の限り叫んでも
そっちには 届きやしない 

けど

一緒にいたい 側にいてよ
ボクの 隣で笑ってよ
もう一回なんて 届かない夢を
ボクに見せて 見せて
そんなに嫌なら 連れ去ってしまうよ
もうあっちには行かないで!
太陽世界とドラムの音
キミの キミの キミの[/斜体][/斜体]』
その歌に合わせ、リズムはどんどん笑顔になっていく。
その笑顔が、ウタたちを安心させるようなものだったかどうかは別として。
『[斜体]その笑顔と一緒に 堕ちていく
キミの世界に堕ちていく[/斜体]』
歌が終われば、世界はもう、リズム一色に染まっていた。
「わかってるだろ。シャンクス、ウタ。
私にはもう敵わねぇよ。なんてったって私は……
「[漢字]超人系[/漢字][ふりがな]パラメシアけい[/ふりがな]伝説種、コピコピの実の能力者。
及び、覚醒させたから、同種リエリエの実、同種カエカエの実の能力者。」
シャンクスがつらつらと言葉を並べ、その姿を、クルーたちは驚きの目で見つめる。
「前、教えてくれただろ?」
「さすが[漢字]私の二番弟子[/漢字][ふりがな]シャンクス[/ふりがな]!」
じゃぁ、とリズムは、自らのエリアにシャンクスを誘い込む。
「逆らったらどうなるか、賢いシャンクスならわかるよな?」
たった一人でエリアに吸い込まれていくシャンクス。
その姿を、クルーたちは何もできずに見つめていた。
しかし。
「おれは、師匠にだって、従わねぇ。
だっておれは、自由を愛する海賊だぞ?
不自由は嫌いだ。」
そして、シャンクスは、エリアをグリフォンで薙ぎ払う。
後ろからウタも、歌ってシャンクスを援護する。
「そうかー……。アッヒャッヒャッヒャ!!
やっぱお前らおもしれーな!!
もっと閉じ込めたくなってきた!!」
笑いながらとんでもないことを言い出すリズム。
その手にはまた、不思議なキノコが握られていた。
「遊ぼうぜ、シャンクス。ウタ。」
リズムはもう一度、そのキノコを口に放り込んだ。
ごくん、とキノコを飲み込むと、リズムはまた大きな声で笑い出した。
「楽しませてくれよ?」
その笑みは、シャンクスの背筋を凍らせた。

2024/07/07 17:59

ミコト
ID:≫ 8t/IaoonNB37w
コメント

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権はミコトさんに帰属します

TOP