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消失の帝王  〜とある女海賊の記録(ログ)〜

#13

弟たち

[水平線]

ルナとヘリオスは、私の弟だ。
元気で活発なヘリオスと、静かでのんびり屋のルナ。
二人共、私の大切な弟だった。
生まれたときから、私達は奴隷だった。
確か、[邪神の子ども]だったか。
だから私はずっと、今で言う天竜人に支配されていた。
「姉さまぁ……。」「姉ちゃん!」
「ルナ!ヘリオス!あいでっ……。」
だから、二人は私の生きる意味だった。
……でも、牢獄生活は悪いものでもなかった。
二人以外にも、大切な人ができたから。
「おーおー、またボロボロにされたなぁ。ルナ。こっち来い。」
「ほら、ヘリオスもこっちに来い。」
アンタレスと、アステル。
私より二つ年上で、私よりずっと強い男の子。
……喧嘩ばっかりしていたけど、二人のチームワークは抜群だった。
それもそのはず。
ふたりは、住んでいた村が戦争によって滅んで、[漢字]聖地[/漢字][ふりがな]マリージョア[/ふりがな]に奴隷として売られてきた、幼馴染なのだから。
「ありがと〜、頼むよ、アステル、アンタレス。」
「おいおい、●●。お前もボロボロだろ。こっち来いよ。」
そして、リゲル。私の大切な、人。
最初の仲間で、家族。私に生きることの良さを教えてくれた人。
「はぁい。ありがと、リゲル。」
「いいや。アンタレス、包帯どこだ?」
「そこの箱に入ってる。」
いろいろなものが入った大きな箱を指さし、アンタレスが言う。
リゲルの膝の上は、私が座っても、まだ余る。
リゲルはとても大きい。私よりずっと。
……でも、彼はまだ一三才。私と、同い年。
「ほら、消毒するからちょっと顔向けろ。」
「ん。」
彼の特徴的な赤い髪の毛が、目につく。
最近切っていないから、とても長くて、そして……
「綺麗………。」
「ん?」
「お前の髪、綺麗だよ。」
そうか、とリゲルは言う。
「でも、あんたも輝いてるぜ。」
「そこぉ!!いちゃつくな!!キョーイクに悪いだろ!キョーイクに!!」
アステルのツッコミが飛ぶ。
いつの間にかルナとヘリオスの目が、彼らの手で塞がれている。
「キョーイクってなんだ?」
「そりゃぁ……あれだ、雰囲気みたいな感じだろ!」
首を傾げたアンタレスへ、アステルがとんちんかんな答えを言ったので、私達はつい笑い出す。
「何だそりゃ!ケッサクだな!」
「いいな〜。それいいな!面白すぎだろ、アステル!」
わっはっは、という笑い声が、牢獄中に響き渡る。
「しー!また来るぞ。前やられたばっかだろ。」
アンタレスが私達の笑い声を止める。
しかし、遅い。
うるさいえ〜という声とともに、あの天竜人がやってきた。
私達はとっさにルナとヘリオスを箱の中に隠し、アンタレスとアステルがそこを囲い、私とリゲルがその前に立って身構える。
「なんだえ〜。本当に反抗的な奴隷だえ〜。」
見下すようなその目に一発蹴りを食らわせたいのをぐっとこらえ、リゲルの方に顔を向ける。
リゲルも覚悟を決めているような目をしていた。
「アンタレス、アステル。箱、ちゃんと閉めとけよ。」
「お前らも、見ざる聞かざる言わざるだぞ。」
二人にきつく言い聞かせると、リゲルは、強い覇王色の覇気で天竜人を気絶させる。
「縛れ。」「任せろ。」
この淡々とした慣れた手つき。
もう何十回も繰り返した拷問を逃れる方法。
こうでもしないと死ぬほどやられるからな。
「よし、アステル、アンタレス、リゲル。留守番頼む。」
天竜人を抱えつつ、コピーしてある能力を使い、こいつの部屋へワープ。
ベッドにそっと寝かせる。
「おやすみな。」
縄を解き、布団をかけると、もう一度牢へワープする。
「おかえり、●●。」
「ただいま。」
ルナとヘリオスがひょっこり箱から顔を出す。
「あいつ、もういない?」
「いない?」
「いないさ。」
恐がる二人の頭をなで、リゲルが笑う。
でも、その目には不安が混じっていた。
「なぁ、●●。」
「あぁ、そろそろかもな。」
ここ最近で、狙われているような気がすることが増えた。
狙っているのは主にルナとヘリオス。
きっと、ルナのオペオペの実の能力狙いか、ヘリオスの特殊な体狙いかどちらかだろう。
「……逃げないとな。」
「だな、……早いにこしたことはない。いますぐにでも逃げるぞ。アステル、アンタレス、ルナ、ヘリオス。荷物まとめろ。」
「「「「りょーかい!!」」」」
といってもまとめる荷物なんてない。
包帯がいくつかと少しの食料くらいだろうか?
「OK,できたぜ!」
「こっちも!」
「リゲル、ヘリオス背負ってくれ。」
「りょーかい、任せろ。」
私はルナを背負い、能力の範囲をできるだけ広げる。
「行くぞ、掴まれ!」
絶対にはぐれないように、夜のマリージョアに着地する。
「見つからないようにしろよ、見つかったらまずい。」
「おれらで薙ぎ払う。あんたが海まで行けばこっちの勝ちだ。」
任せろ。といい、私は海まで走る。
「ルナ、行けるか?」
「うん!るーむ!しゃんぶるず!」
いろいろな材料が私のもとに滝のように降り掛かってくる。
それを使い私は、小さめの船を一隻作り上げる。
そして……。
「ルナ、ワープ!!」
「しゃんぶるず!」
とんっという音とともに、私達は港に着地する。
そして、船を海に浮かべ、
「[漢字]変化[/漢字][ふりがな]コンバージョン[/ふりがな]!!」
と技をかける。
どんどんと船は大きくなり、何人も乗れるほどに成長した。
「ルナ、下がってろ。Room!シャンブルズ!!」
どんっ
と四人が一気にこちらにワープしてくる。
「よっしゃ!おれのほうが倒したほうが多い!勝ったぜ!」
「いーや!おれだ!」
「お前ら落ち着け、乗るぞ。ヘリオス。」
「うん!」
見ればアンタレスとアステルは返り血だらけで、それが戦いが激しかったことを教えてくれる。
「大丈夫か?」
「あぁ!これはあいつらの血だからな。おれらには怪我はねぇ。」
「もちろんだ。ヘリオスもな。」
「うん!」
船に乗りつつ、彼らが言う。
ヘリオスも元気にリゲルの背中で遊んでいる。
「早く乗れ、護衛隊が来るぞ。」
「もう全員倒しちまったけどな〜。」
「他のがくる。」
全員を船に乗せると、私はエンジンをかける。
ゴゴゴッという音とともに船が動き出す。
「よーし!自由への出港だ〜!!」
「だ〜!」
私の声に、二人が答える。
……これが、始まりの海賊、スター海賊団のスタートなんだ。


「●●、見ろよ。これが海だぜ!」
「●●、飯作ってみた!」
「剣だ!!ありがとな、●●!」
「姉さま!本がたくさんある!」
「姉ちゃん、この船すごいや!」
出港初日。ぎゃーぎゃーと船内は大騒ぎ。
初めての自由に、ちょっと浮かれているようだった。
「ちょっと静かにできんか!」
「ごめんごめん。人目気にせず叫べるの楽しくて。」
「楽しくて。」「面白くて。」「嬉しくて。」
「いや。加減を知れ。」
初めての自由に浮かれるみんなに、私はげんこつを一発ずつ。
全員が頭を抱える。頭には大きなたんこぶが。
「いでぇ……。」
「何すんだよぉ……。」
「まだ追手が来るかもしれないんだぞ?まずはさっさと拠点を……。」
「●●、あれ見ろ!!」
そして、私達は見つけた。
最初のナワバリ、ナイトランドを。

[水平線]


「……ど、どうしたんだ?」
青年が、戸惑ったように言う。
その青年は、ルナなんだ。
あのときはまだ、10才だったのに。
20を超えてから、私の身長をすぐ抜かしてしまった。
また、大きくなってくれた。
「ルナ。」
グニュグニュとした感触の少年は、ヘリオス。
ルナと双子なのに、全然似てなくて、子供っぽくて、
でも可愛くて。
ふたりは、ずっと、ずっと、私の弟。
「ヘリオス。」
「……おれは、あんたの言うルナってやつじゃねぇ。」
「おれはモンキー・D・ルフィだぞ?」
私の大切な、弟たち。
私の大切な、家族。
「おかえり、おかえり、二人共。」
もう、離さない。もう、誰にも渡さない。











ワタシが、守らなきゃ。






[水平線]
この日、世界は[漢字]踊りの王[/漢字][ふりがな]ナタラージャ[/ふりがな]による死の踊りを知る。

2024/06/09 10:47

ミコト
ID:≫ 8t/IaoonNB37w
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