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消失の帝王  〜とある女海賊の記録(ログ)〜

#12

キミへ伝えるメッセージ

見つけた。


たった数秒間だけだった。
私は、たった一人の家族をそこに見た。
いや、家族全員をそこに見た。
「……ルナ?」
その青年は、私を見る。
「人違いじゃないか?」
彼は表情を変えず、そう言った。


[水平線]


ことは、数日前に遡る。
私達の初ライブ。ウタも大きくなったし、やってもいいだろうと判断して、私の故郷、ナイトランドで行うことにしたのだった。
観客席、ステージなどなど、私が作成して、準備は万全。
観客も、思った以上の人々が来てくれた。
『海賊も、海軍も、普通の人も、みんなおいで!ライブでは仲良くしよう!』
『喧嘩はダメだぞ。喧嘩したら私達が止めるからな?』
なんて言っておいたから喧嘩はないだろう。
むしろ熱狂しすぎて怪我人が出ないか心配であるほどに。
ここはずっと夜の島。
いつもは真っ暗なはずなのに、今日ばかりは明かりがつき、まるで昼間のようだった。
「よーし!!じゃあ一曲目!いっちゃおうか!!」
ウタの威勢のよい声が響く。
🎶 ♫ ♪ 
私はいつもどおり地面に巨大なピアノを出現させ、ステップで音楽を奏でる。
ウタの曲は、観客を魅了し、一人ひとりをウタの世界へ引き込んでいく。
「[斜体]信じてるわ キミのこと[/斜体]」
曲をつくり始めたときは、ウタが徹夜始めたり、私が配信をすっぽかしたりと大変だった。
けれど、楽しかった。
「[斜体]私は キミの信じた私? キミが守った私? 私にはわからないよ[/斜体]」
たった一言、私が歌う。私が歌うのは、たったこれだけ。
これだけが、私の言いたかったこと。
この曲の名前は……。
「[斜体]ずっと 信じてるわ[/斜体]」

〈Natural chart〉


「みんな〜!!ありがとー!!」
「ありがとな。」
もういない、仲間に送る、私の[漢字]うた[/漢字][ふりがな]メッセージ[/ふりがな]。
「じゃあ、二曲目いっくよー!!」



五曲は歌っただろうか。これで午前の部が終了だ。
午後の部は休憩を挟んでもう少し後だ。
「ウタ、寝ちゃったなぁ。」
控室のベッドでクークーと眠るウタを私は眺める。
ウタウタの実の能力を[漢字]最大限[/漢字][ふりがな]フル[/ふりがな]活用してのライブだ。
疲れて当然だろう。
「おやすみ。ウタ。」
ウタに毛布をかけ、トントンとしてから控室を出る。
ウタを邪魔しちゃ悪いし、屋台で暇を潰そうか。そう考えたのだ。
覇王色と見聞色をうまく使い、気配を消す。
髪型だって私が創ったものだから、衣装を着替えてもとに戻せば全くの別人になる。
声だって、私だと認識しづらくなるんだ。
と変装のできる限りを尽くして私は外に出た。


[水平線]


そうして、【彼】に出会ったのだった。
「トラ男!あっちにうまそうな肉あった!」
「一人で食えよ。」
太陽のような明るい声の少年が、彼を呼ぶ。
少年の呼びかけに、彼は、興味なしと言うかのように向こうを向き、歩き出す。
「焼きおにぎりもあったんだ!一緒に食べよう!」
そんなことはお構いなしに、彼の腕を少年が掴む。
少年の腕は、まるでゴムのように伸びていた。
「……はぁ。行くぞ。麦わら屋。」
諦めたように肩を落とし、少年の指差す方へ歩き出した彼を、私は呼び止められなかった。
「……ルナ?ヘリオス……?」
姿が重なって、ぐらついて、離れて、ぐちゃぐちゃで。
―姉様!―  
―●●。いい子ね。―  
―お前の名前は、●●だ!―
体が、ふらつく。風景が、ぼやける。
何なんだ、この気持ち?
止めようと思った。踏みとどまろうと思った。
でも、止められなかった。
ガシッ
私の腕が、青年たちを抱きしめた。
「うおっ!?」「!?!?」
青年たちの顔が困惑に満ちる。
でも私は、そんなことにかまっていられなかった。
「ルナ……ヘリオス……。」
青年たちを抱きしめたまま、掴む力を強くする。
彼らは困惑の表情のまま、私を見つめる。
「おかえり!!」
なんて、言ったって、君たちは戻ってこやしないのに。

2024/06/09 10:49

ミコト
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