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消失の帝王  〜とある女海賊の記録(ログ)〜

#10

うたの始まり

ごくごく小さな島だった。
その島は、魔王により殆どを廃墟にされていた。
[漢字]偉大なる航路[/漢字][ふりがな]グランドライン[/ふりがな]、新世界。
その島は名を、『[漢字]音楽の島[/漢字][ふりがな]エレジア[/ふりがな]』という。
魔王の破滅の歌唱は、この島で少し前まで続いていたが、●●がその島についたときにはすでに、その島は廃墟と化し、あちこちで火の手が上がっていた。
そして海には、赤髪海賊団の船、レッドフォース号。
しかし、その船が自らの弟子の船であることを●●はまだ知らない。
「……トットムジカ、か。」
復活したか、そう言い、●●が地面に手を当てると、
ゴゴッと音がして、瓦礫が空を飛び交い始めた。
「[漢字]変形、復元[/漢字][ふりがな]トランスフォーム・リストア[/ふりがな]。」
パチパチと弾ける電気とともに、街がどんどん復元されていく。
それと同時に瓦礫の下から、多くのむごたらしい遺体がでてくる。
それを見た●●は、地面を押す力を強くして、叫んだ。
「[漢字]燃えよ、命[/漢字][ふりがな]リバイバル[/ふりがな]!」
[/中央寄せ][太字][大文字]ドンッ[/大文字][/太字][/中央寄せ]
そんな大きな音と土煙が街を覆う。
パチパチと弾ける雷は止まることを知らず、大きな一つの雷となり、雲をはじき飛ばす。
「よぉし。」
●●の声に呼応するように、雷鳴はやみ、土煙も幾分かおさまった。
土煙が完全に晴れると、廃墟だったエレジアは、普段通りの姿であった。
人々も戻り、街は完全に再生。炎もいつの間にか消えていた。
「後は。復活した[漢字]魔王[/漢字][ふりがな]あいつ[/ふりがな]をどうにかしないとね。」





[水平線]


赤髪海賊団のクルーは、混乱していた。
全壊したはずの島の建物が復活し、死んでしまったはずの人々も生き返り。
島を包んだ炎も消えて。
「何が起こったんだ……?」
そう、唖然とするしかなかった。
双眼鏡でも、何も捉えることはできなくて。
ただただ、強大な何かが島を復活させたことだけは理解していた。
「何……?」
シャンクスの見聞色が、何かを捉えた。
それは、懐かしいある人の覇気。とても強い覇王色。
[ら〜ららら〜らららら〜🎶]
懐かしい、子守唄。大好きな、あの人。
「……!?」
[私に、任せて。]
あの人が、帰ってきたんだ。そうだ。絶対にそうだ。
師匠が。あの人が。
「……お頭?」
「……いや。なんでもない。」
船長は冷たくベックマンの声を振り払うが、
その声はこれまでベックマンが聞いたどの声よりも高揚に満ちていた。





[水平線]




〈ねーんねーこー
 ねーんねーこー
 ねーんねーこーよー🎶〉
何か、子守唄が聞こえる。
この歌、シャンクスが歌っていた歌だ。
でも、この声シャンクスじゃない。
女の人の、声だ。
「う…………?」
「あ、起きた?ウタちゃん。」
私を覗き込むのは、私より、少しだけ大きい子ども。
その子は、私と同じくらいの大きさの手で、私を抱えて歩いている。
「だぁれ?」
「私はね、●●。」
「●●……?」
●●、っていったその人は、そう言うと私を地面におろした。
そこは、エレジアではなかったけれど、安心するなにかがあった。
「●●さんは、海賊なの?」
「……ん〜。まぁ、そんな感じ?」
言葉と同じくらい、ふらふらとしっかりしない足取りで歩いていく●●と、私の間はどんどん開いていく。
「来ないのか?迷っちゃうぞ?」
「あ、……ねぇ、シャンクスは、どこにいるの?」
先程から姿の見えないシャンクスの行方を、私は聞く。
でも、●●は、気まずそうにいたずらっぽく笑った顔をしかめて、また歩き出した。
「あ、待ってよ!!」
私は、手を伸ばして、●●の服をつかもうとする。
けれど、その手は掴めない。私は、覚悟を決めて、言った。
「教えてよ!」
そして私は、歌う。
それは、シャンクスに教えてもらった子守唄。
「ら〜ららら〜らららら〜🎶らら〜ら〜」
その歌で、●●の足が止まる。
「ねぇ、教えてよ。」
「知ることが、全て良い事とは限らないだろう?」
背中越しで、苦笑交じりの笑い声が聞こえる。
まるで、知ることが私を苦しめるかのように。
でも、でも、私は。
「それでも、私は知りたいよ!シャンクスはどこにいるの?シャンクスは……私を置いていかないよ。」
そう叫ぶと、●●は諦めたかのように肩を落とす。
「…君はショックを受けるかもしれないよ?それでも良い?」
「いいよ。だって、シャンクスが私を置いていくはずないでしょ!?理由を知りたい、どうして。どうして、ここにシャンクスはいないの?」
そうまくしたてれば、●●はくるりとこちらを向く。
「……あぁ。教えてあげるよ。」
そうして私は知った。
エレジアでの事件。
私の能力の内容。
シャンクスはなぜ、私を置いていったのか。
すべてを知ることは、確かに私にとって、辛いことだったのかも。
たしかに私は、ちょっと聞かなければよかったかもなんて後悔した。
けれど、後から言ってても仕方のないこと。
……ゴードンさん、大丈夫かな。
それより強くシャンクスを一発殴ってやりたいと思ったしね。
シャンクスはそういうとき、すごく優しい。
仲間を守ることには死力を尽くすのがシャンクスだから。
でも、私の気持ちもちょっとは考えてよね!!
「ほんっと。そういうところが子供っぽいんなぁ。」
「……?」
「いこう、●●さん!」
そう言って私は●●の隣へと駆けていった。
「……あぁ。」
●●も、私の手を引いて走り出す。





森を抜けたところで、●●は止まる。
「大丈夫かぁ〜?」
「大丈夫じゃない!!」
何分走っただろう。
ふらふら歩いているだけなのに、この人速い。
もしかしたら、いやもしかしなくても、シャンクスより速い。
「そう怒るなって。お腹すいたろ。ご飯にしよう。」
笑い方はシャンクスそのもの。
本当に、そっくりだった。
「……●●さんは、シャンクスの家族なの?」
「…………そうだな。何なんだろうな。」
●●は、少し悩んで、口を開いた。
「……私が決めることじゃない。あいつが決めることだ。」
その目は、海みたいで、空みたいで、綺麗だった。
世界中の全ての青を集めても、こんな色はないだろう。
この瞬間、私に夢ができた。
(シャンクスの船で、この子と一緒に歌いたい!!)
「ねぇ!●●さん!私と一緒に、歌わない?」
「……はぁ?」
「シャンクスの船で、一緒に歌おうよ!」
目をまん丸くして驚く●●に、私はニコッと笑いかける。
「……あいつはきっと、悪者顔して、追い返すけどな。」
それはわかってる。シャンクスは、私を置いていった。
でもそれは、[打消し]私は望んでないけど[/打消し]私を守るためで、
その証拠に●●っていう、シャンクスの大切な人を残していってくれた。
シャンクスは私をまだ、家族としてみてくれている。
だから絶対大丈夫。

シャンクスに会うためなら

この世界だって揺るがしてみせる。
私が歌の女王になって、●●が歌の皇帝になって、世界を揺るがす。
「歌を歌おう!
みんなに私たちの歌を届けて、シャンクスたちにも届けよう!
そしたら、私達のところに戻ってきてくれるよ!」
全部伝えよう。メロディで、踊りで、音楽で!!!
シャンクスに、[漢字]赤髪海賊団のみんな[/漢字][ふりがな]お父さんたち[/ふりがな]に、この歌を!!
「……わかったよ。一緒に歌おう。ウタ。」
「……わっ!!やったぁ!」
フッと笑って、私の頭に手を置いた●●は、でもね、と続けた。
「私はお尋ね者だからね。新しい名前、考えてくれるかな?」
「え〜……名前、名前……あ!」
その無茶ぶりに私は、一つ名案を思いついた。
「私はウタ(歌)だから、メロディ……いや!!リズム!!
今日からあなたの名前は、リズムだよ!!」
「……リズム。いい名前だな。」
でも、これは、みんなに伝える名前。私が呼びたい名前は、もっと別。
そう、もっと別にある。
「さぁて、じゃぁ今日から私はリズムとして……「ねぇ!!お母さんって呼んでいい?」
「え?」
よろしくね、“お母さん”

作者メッセージ

え〜、夢主の偽名はリズムになりました。
そして、ウタからの呼び名はお母さんです。
夢主が「私の意見は!?」と叫んでおります。報告以上。

2024/08/17 18:18

ミコト
ID:≫ 8t/IaoonNB37w
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