「はぁ!?」
ギラ曰く、レガシーは一度完成するとロゼアの生命活動停止が確認されるまで止まらないらしく。
発進させるしかない上に発進させた場合エネルギー核はもちろん加熱され……。
これ以上は考えないでおこうか。
「っつったって……。姉ちゃんいるんだぞ!!!」
「わかってるよ!!」
宰相たちはもう生贄になった。つまりあと一人生贄がいる。
無理だろ。うちの姉ちゃん殺せと?できねぇよ!!!
いやもういっそのことロゼアの奴ら無理やりこっち連れてくるか?予備あんならやっても生きてるだろ。
「落ち着いて!?ヤンマ!?」
「俺の姉ちゃん傷つけられっか!!」
「それは僕もそう思うけど!!」
やいのやいのやってるうちに、揺れがどんどんひどくなっていく。
まずいまずいまずい。リニエッラ海底火山に一番近いのはンコソパ。
真っ先に国民が被害を食らう。さっさと止めなくちゃなんねぇが。
ヤンマの頭は混乱中で、自慢の叡智も役に立たない。
ふと、ヤンマの頭の中をとある考えがよぎった。
「……俺なら、いけるんじゃね?」
「え?!何言ってんの!?」
アオハはヤンマの姉だ。血筋が関係ないとしても、自らが宰相の証に選ばれる可能性は高まる。
しかも自分は宰相の証を目覚めさせた人間だ。選ばれたと言っても過言でない。
そんな思考回路で、生贄、俺でいいんじゃね?という考えに至った。
誤解しないでほしいのだが、ヤンマは決して自らの存在を軽く考えてはいない。
むしろ『今俺いなくなったら国傾くだろ』思想なのである。
というか冗談抜きでこの言葉は正しいのである。
ただ、アオハというのはヤンマにとって、絶対であり至高であり、もはや全てなので、
少しバグってしまっただけなのだ。ヤンマが悪いが悪くない。
つまるところシスコンである。
「それなら話が早ぇわ。」
ボロを取り出して何やらプログラムをいじりだす。
揺れる地面と画面。
カタカタ。カタカタ。
その音とともに、ギラの頭の中はぐるぐると回っている。
今止めるべきは姉なのか、ヤンマなのか。どっちもなのか。
ちなみにどうやって止めるのか。デコピンでもするか。
外の危機的状況を横目に、空気は混沌と化していた。
「しゃ!」
「ちょ、ヤンマ本気でやるk」
ヒュン。ギラが聞く前に、ヤンマはテレポートしてしまった。
まさかヤンマ、人知を超えた力でも使えるようになったのか。
なんか【しつりょうほぞんのほうそく】っていうのはどうしたんだ。
それが何なのか知らないけど。ギラの頭はまたぐるぐると回りだした。
もはや誰か時間とあの姉弟止めてくれないかな、と本気で思った。
[水平線]
「よ、姉ちゃん。」
「……馬鹿なの?天才なの?どっちなの?」
開口一番姉から発された言葉は、けなしに近かった。
「うるせー!スカポン姉ちゃん!」
「いやこれから墓場になるところに来るなよ!!
ってか何しれっとテレポ使ってんだよ!!」
もう一度言おう。ヤンマは悪くない。
テレポートは、アオハの宰相の証の力である。
全ての宰相の証の能力をプログラム式にしてみていたらうっかりコピーできてしまったのである。
決して悪意があったわけではない。
断じて後で悪用しようと思っていたわけでもない()。
「んなことより、さっさと戻ってこいよ、姉ちゃん。」
「やだよ。宰相の最期の仕事だから。」
だろうな、ヤンマは少し納得した。
自らとそっくりな姉は、自分の決めたことならどこまでもやり切る。
たとえ自らの死につながろうが、どれだけの犠牲を出そうが。
だから、俺だって引き下がらない。ヤンマは、わかっている。
「姉ちゃんは、優秀な宰相だったんだろうな。」
「知らね。ラクレスにでも聞いてみたら?あ、でもあいつ私に甘いからな。」
暗い中で笑うその顔は、いつだってヤンマを照らす太陽だった。
スラムの暗闇で。誰もいないアジトで。月明かりの喧嘩屋で。
「姉ちゃんも、大概ラクレスに甘ぇよ。俺にも、だけどな。」
「ったりめーだろ。弟なんだから。」
ヤンマは、知っている。
[太字]姉と自分との間に、血縁関係なんかないことを。[/太字]
生まれたときから一緒だった、ただそれだけであることを。
『DNAから見れば、全くの別人ね。』
ヒメノの言葉を思い出す。少し前のことだ。
姉の生活道具やらを持って、ヒメノにDNA鑑定をしてもらった。
ただ、姉の存在証明が欲しかっただけであった。
なのに、ヤンマに突きつけられたのは、存在証明どころか冷たい現実だった。
「そう、だな。」
まるで似ていない、と思う。
子供のように小さな姉。ンコソパ国内では大柄な自分。
喧嘩上手な姉。喧嘩下手な自分。
性格的な部分は、育った環境が同じだからだろうか。少し似ているけれど。
やっぱり姉弟じゃないんだなって。再会してからずっと思う。
「なぁ、姉ちゃん。生まれ変わったらまた、ヤンマって呼んでくれるか?」
「もちろんだよ。……いやでも、お前も生まれ変わりとか信じるんだな。」
何も知らないままで。その純粋な笑顔で。
ラクレスと、スズメの隣で。ギラのお姉ちゃんとして、ずっと。
そこにいてくれ。
「まぁ、な。」
それで、俺が、姉ちゃんの弟だったって証明してくれ。
アオハがいつの間にかつけていたイヤリングに手をかける。
けれども、ヤンマの動きは、それより早かった。
持っていたボロのエンターキーをパチリ。
一瞬でアオハがコックピットに転送される。
「え、、、。」
「あれ!?お姉ちゃん!?」
アオハが状況を悟るより前に、ヤンマはレガシーの強制起動プログラムを起動した。
ゆっくりとレガシーが動き出す。五人の宰相と、一人の王の、墓場がゆっくりと。
「じゃあな。ンコソパとアイツラ任せたぜ。姉ちゃん。」
半ば丸投げとも言えるヤンマの言葉が、エネルギー核の中で響いていた。
「やん、ま……!?」
アオハの声は、届かない。
ギラ曰く、レガシーは一度完成するとロゼアの生命活動停止が確認されるまで止まらないらしく。
発進させるしかない上に発進させた場合エネルギー核はもちろん加熱され……。
これ以上は考えないでおこうか。
「っつったって……。姉ちゃんいるんだぞ!!!」
「わかってるよ!!」
宰相たちはもう生贄になった。つまりあと一人生贄がいる。
無理だろ。うちの姉ちゃん殺せと?できねぇよ!!!
いやもういっそのことロゼアの奴ら無理やりこっち連れてくるか?予備あんならやっても生きてるだろ。
「落ち着いて!?ヤンマ!?」
「俺の姉ちゃん傷つけられっか!!」
「それは僕もそう思うけど!!」
やいのやいのやってるうちに、揺れがどんどんひどくなっていく。
まずいまずいまずい。リニエッラ海底火山に一番近いのはンコソパ。
真っ先に国民が被害を食らう。さっさと止めなくちゃなんねぇが。
ヤンマの頭は混乱中で、自慢の叡智も役に立たない。
ふと、ヤンマの頭の中をとある考えがよぎった。
「……俺なら、いけるんじゃね?」
「え?!何言ってんの!?」
アオハはヤンマの姉だ。血筋が関係ないとしても、自らが宰相の証に選ばれる可能性は高まる。
しかも自分は宰相の証を目覚めさせた人間だ。選ばれたと言っても過言でない。
そんな思考回路で、生贄、俺でいいんじゃね?という考えに至った。
誤解しないでほしいのだが、ヤンマは決して自らの存在を軽く考えてはいない。
むしろ『今俺いなくなったら国傾くだろ』思想なのである。
というか冗談抜きでこの言葉は正しいのである。
ただ、アオハというのはヤンマにとって、絶対であり至高であり、もはや全てなので、
少しバグってしまっただけなのだ。ヤンマが悪いが悪くない。
つまるところシスコンである。
「それなら話が早ぇわ。」
ボロを取り出して何やらプログラムをいじりだす。
揺れる地面と画面。
カタカタ。カタカタ。
その音とともに、ギラの頭の中はぐるぐると回っている。
今止めるべきは姉なのか、ヤンマなのか。どっちもなのか。
ちなみにどうやって止めるのか。デコピンでもするか。
外の危機的状況を横目に、空気は混沌と化していた。
「しゃ!」
「ちょ、ヤンマ本気でやるk」
ヒュン。ギラが聞く前に、ヤンマはテレポートしてしまった。
まさかヤンマ、人知を超えた力でも使えるようになったのか。
なんか【しつりょうほぞんのほうそく】っていうのはどうしたんだ。
それが何なのか知らないけど。ギラの頭はまたぐるぐると回りだした。
もはや誰か時間とあの姉弟止めてくれないかな、と本気で思った。
[水平線]
「よ、姉ちゃん。」
「……馬鹿なの?天才なの?どっちなの?」
開口一番姉から発された言葉は、けなしに近かった。
「うるせー!スカポン姉ちゃん!」
「いやこれから墓場になるところに来るなよ!!
ってか何しれっとテレポ使ってんだよ!!」
もう一度言おう。ヤンマは悪くない。
テレポートは、アオハの宰相の証の力である。
全ての宰相の証の能力をプログラム式にしてみていたらうっかりコピーできてしまったのである。
決して悪意があったわけではない。
断じて後で悪用しようと思っていたわけでもない()。
「んなことより、さっさと戻ってこいよ、姉ちゃん。」
「やだよ。宰相の最期の仕事だから。」
だろうな、ヤンマは少し納得した。
自らとそっくりな姉は、自分の決めたことならどこまでもやり切る。
たとえ自らの死につながろうが、どれだけの犠牲を出そうが。
だから、俺だって引き下がらない。ヤンマは、わかっている。
「姉ちゃんは、優秀な宰相だったんだろうな。」
「知らね。ラクレスにでも聞いてみたら?あ、でもあいつ私に甘いからな。」
暗い中で笑うその顔は、いつだってヤンマを照らす太陽だった。
スラムの暗闇で。誰もいないアジトで。月明かりの喧嘩屋で。
「姉ちゃんも、大概ラクレスに甘ぇよ。俺にも、だけどな。」
「ったりめーだろ。弟なんだから。」
ヤンマは、知っている。
[太字]姉と自分との間に、血縁関係なんかないことを。[/太字]
生まれたときから一緒だった、ただそれだけであることを。
『DNAから見れば、全くの別人ね。』
ヒメノの言葉を思い出す。少し前のことだ。
姉の生活道具やらを持って、ヒメノにDNA鑑定をしてもらった。
ただ、姉の存在証明が欲しかっただけであった。
なのに、ヤンマに突きつけられたのは、存在証明どころか冷たい現実だった。
「そう、だな。」
まるで似ていない、と思う。
子供のように小さな姉。ンコソパ国内では大柄な自分。
喧嘩上手な姉。喧嘩下手な自分。
性格的な部分は、育った環境が同じだからだろうか。少し似ているけれど。
やっぱり姉弟じゃないんだなって。再会してからずっと思う。
「なぁ、姉ちゃん。生まれ変わったらまた、ヤンマって呼んでくれるか?」
「もちろんだよ。……いやでも、お前も生まれ変わりとか信じるんだな。」
何も知らないままで。その純粋な笑顔で。
ラクレスと、スズメの隣で。ギラのお姉ちゃんとして、ずっと。
そこにいてくれ。
「まぁ、な。」
それで、俺が、姉ちゃんの弟だったって証明してくれ。
アオハがいつの間にかつけていたイヤリングに手をかける。
けれども、ヤンマの動きは、それより早かった。
持っていたボロのエンターキーをパチリ。
一瞬でアオハがコックピットに転送される。
「え、、、。」
「あれ!?お姉ちゃん!?」
アオハが状況を悟るより前に、ヤンマはレガシーの強制起動プログラムを起動した。
ゆっくりとレガシーが動き出す。五人の宰相と、一人の王の、墓場がゆっくりと。
「じゃあな。ンコソパとアイツラ任せたぜ。姉ちゃん。」
半ば丸投げとも言えるヤンマの言葉が、エネルギー核の中で響いていた。
「やん、ま……!?」
アオハの声は、届かない。
- 1.始まり
- 2.ブレスレット
- 3.ロゼアという国
- 4.ゴッドホッパーの反乱?
- 5.ラクレスの隠し事?
- 6.悲劇の始まり
- 7.行方知れず
- 8.ンコソパ国王の過去 【前編】
- 9.ンコソパ国王の過去 【後編】
- 10.マフィアを動かせ
- 11.ハッキング
- 12.マフィアとシエボル?
- 13.ロゼアへの道
- 14.宝石の国
- 15.戦慄のシエボル
- 16.力を以って
- 17.宰相様と国王サマ
- 18.邪智暴虐の
- 19.シスコン総長と呑気な女宰相
- 20.お姉ちゃん
- 21.二人のお兄ちゃん
- 22.スズメのご飯はチキュー1 byアオハ
- 23.スズメとアオハ【前編】
- 24.スズメとアオハ 【中編】
- 25.スズメとアオハ 【後編】
- 26.選ぶ結末、選ぶ未来
- 27.子守唄
- 28.眠る宰相、明けのカラス
- 29.宰相の異変
- 30.終わりの始まり、
- 31.目覚まし時計
- 32.生きる意味ってなんですか
- 33.戦闘民族(?)
- 34.太古の守護神
- 35.王と王妃
- 36.フィナーレ開幕
- 37.宰相の遺産
- 38.ラポネ・リバナラクという男
- 39.宰相たちの墓場【前編】
- 40.宰相たちの墓場【中編】
- 41.宰相たちの墓場【中編その2】
- 42.宰相の墓場 【後編】
- 43.冷却、そして覚悟
- 44.物語の終わりへ結末へ。
- 45.アオハとシエボル【前編】
- 46.アオハとシエボル【中編】
- 47.落下、そして墜落