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消失の帝王  〜とある女海賊の記録(ログ)〜

#6

思い出そして、現在の姿

怖かった。
もう、失うのが怖かった。
「シャンクス。」
その赤い髪が、その笑顔が、この寝顔が、あいつにそっくりだから、
全部あいつに、あいつに、そっくりだから。
「起きろ。」
いつか、死んでしまうんじゃないかと怖いから。
「ほら。そろそろロジャーは最果てにつくんじゃないかな。」
青空の果てを指差す。
この向こうに、自分の今の船長が、いるんだ。
「ん〜。ししょ〜?」
「そうだよ。起きろ。」
「は〜い。」
バギーと、シャンクスと、私しかいない、この場所。
「飯何がいい?」
「ロブスター。」
「朝から!?」
「朝から。」
そんな言葉に、呆れるが、あいつもそうだったな、
と思ってしまえば、その呆れも何処かへと吹っ飛んでいった。
「……師匠?」
「?どーした、シャンクス。」
シャンクスが私の腕を掴む。
「……いいや!そういえばこの海、ロブスターがたくさんいるらしいよ!
ちょっとおれ、3人分取ってくる!」
そうしてシャンクスは服を脱ぐと、海の中へと、



[斜体]ドボン[/斜体]



その姿も、あいつにそっくりだった。
「リゲル。」


[水平線]

「おーい、●●!!」
「なんだよ、リゲル。」
「アステルがロブスター、飯に出してくれねぇ!!」
「前も食っただろ?そろそろデネブに怒られるぞ。」
ずっと昔。私達は相棒だった。
私とリゲル。ルナとヘリオス。四人で船を支える。
仲間はたくさんいたけれど、旗揚げの時からずっと一緒だった五人とは、すごくあったかい時を過ごした。
「船長!!ルナさんが呼んでます!」
「??どーしたんだよ〜、ルナ!」
ルナは、素晴らしい医師だった。
海賊なんかに興味はない、優しくて、強い、最強の船医。
「この抗生物質なんだが、どうしたらいいと思う?」
「え〜。私にはわからないよ。」
「んなわけ無いだろう。医学書読みふけってんの知ってるんだからな。」
げ、と喉の奥から声が漏れる。
こいつにはきっと、一生かなわない。
「ん〜…こういうのとか?」
「あ〜。それは使える。」
「これは?」
「ちょっと安全性で無理だろ。」
「え、私大丈夫だったけど。アステルも、アンタレスも、リゲルも。ヘリオスも。」
「いや、それは。あいつらとお前がおかしい。」
ってか、また船医に無断で薬使ったのか?
というルナの[打消し]もれなく覇王色つきの[/打消し]睨みをどうにかかわす。
「しょうがないだろ!あのときは……あのときは……
お前もいないし!誰もいないし!まじで、ま・じ・で!!大変だったんだからな!!」
あの血まみれドロドロ、まさかの毒まで食らってきやがった奴らが目に浮かぶ。
私も毒は少し食らったから、人のことは言えないけど、あいつらの危機管理能力は、どうかしてると思う、まじで。
今でもそう思うんだから、昔はもっとそう思っていたのかといえば、そうじゃない。
今はきっと、怖がっているのだ。失うことを。
あのときはそうじゃなかった。こいつらは死なないという、妙な自身があった。
どんなときでも笑って、帰ってきてくれる気がした。
「はぁぁぁぁ。知ってる。……お前は悪くねぇよ、●●。」
「お、ルナくんの久しぶりのデレ〜!!」
「デレじゃねぇ!!っつーか、お前にデレるとろくな事がねぇ!!」
デレるのは認めるんだ。なんて思いながら、背伸びして、ルナに目線を合わせようとする。
成長期なのだろうか。あの数年で、何十センチも身長が伸びていた。
もう、背伸びしても、届かない。
「何だよ。」
必死に背伸びしているのがわかったのか、ルナは私に目線を合わせる。
ほら。見た目全然怖い人なのに、こういいやつだから手放せない。
「ねぇ、ルナ。」
「なんだよ。」
むすっとしてしまったルナに、私は笑いかける。
「最果て、行こっか。」











「アイアイ、キャプテン。」
ルナは、間髪入れずに敬礼の姿勢を取った。
やる気がなさそうな態度だが、目には炎が燃えて。
顔はどこか、笑っている気がした。
「よ〜し!!」
そうして私は、拡声器を[漢字]”そうぞう“する[/漢字][ふりがな]作り出す[/ふりがな]と、船内全てのクルーに聞こえるように言う。
「野郎ども!!!!最果てへ向かうぞ!!!!」
おー!!という声が、船内じゅうに響いていた。






[水平線]

「おーい!!師匠!」
「……?どうした、シャンクス。」
シャンクスの大きな声で、私は我に返る。
「取れた取れた!大漁だ!!」
手にもったかごには、これでもかとロブスターとその他の魚、そして貝。
「おー。……じゃぁ、飯にすっか。」
「バギーの飯はどうしよう。」
「粥とりんごは用意してあるぞ。」
あぁ、もう、もう。
〈逃げろ、●●〉〈逃げて!!〉
失いたくない。
一人ぼっちには、もう。なりたくない。
この子たちとどこかでつながっていられたら、私はそれでいい。
「……よし、キッチン用意するから、シャンクスはなんか作り置きでも食べててくれ。ちゃんとメインはロブスターにするからさ。」
「はーい!!!」
なんて、なんて、なんて。
「[小文字]なんて、欲張りなんだろう。[/小文字]」
「……師匠?」
もう、破滅のメロディに身を任せてしまおうか。

作者メッセージ

さて、過去編第二弾!!
シャンクスを見るたび、夢主はリゲルという青年を思い出していきます。
リゲル、とは?ルナ、とは?アステル、とは?
夢主が言った、”そうぞう“とは?
何なんでしょう、次回もお楽しみに!

2024/07/07 17:46

ミコト
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