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ネクストステージ! 最強の国の秘密

#27

子守唄

「ふぁぁ……。」
「寝みィか?」
「ちょっと。」
シェルターの中は昼も夜もわからない。
ヤンマのパソコンが受信している時間だと午後の11時。ギラにとっては少々遅い時間だ。
バグナラクやダグデドと戦ってた時期はいつでも神経が張り詰めていたので眠くもなれなかったが、今は違う。
いや、今だって神経が張り詰めていないわけではないが。
「寝ろよ。無理すんな。」
「ヤンマが起きてるなら僕も起きてる。」
「ガキか。」
ヤンマはエナジードリンクの缶を5本ほど転がしてここ2日ほど徹夜をこなしている。
カフェイン過剰摂取とも言えるこの状況を、ギラは知識はないまでも危ないと感じていた。
「あと少し。後ちょっとなんだよ。」
これを2日間、最初に食べたご飯以外エナドリ・エネバーで済まして言っている。
ヤンマはそういう人間だからしょうがないと言えばしょうがない。
けれど、自分の身を犠牲にしてまでやろうとするのはギラにはもう狂気にしか見えない。
「ねーんねーんころりよ、おころりよ。」
「………。」
口をついて出た子守唄は、ラクレスが昔歌っていたもの。
例えどんなに記憶をなくそうと、忘れることはなかった唄。
「守護神降りしはこのチキュー。
王も王子もその守護に〜、護られながらに
眠るでしょう。」
ラクレスは強かった。それこそギラでは太刀打ちできないほどに。
父をも超える、偉大なる王になって、ギラはそれを支えるはずだった。
全ては宇蟲王によって狂った。
母が亡くなった。それがすべての始まりだった。
この唄は、ギラの知らない【母様】が教えてくれたものだとラクレスは言った。
「涙も恐怖も包み込み〜。人を明日へと導き進む。」
誰もいないところでラクレスが泣いていたのをギラは知っている。
コーサスが【母様】のお墓に毎日花を供えていたのも知っている。
だから幼いときから自分の生きる意味を、探していた。
「ね〜むれ眠れ、愛しい子。おやすみおやすみ、良い夢を。」
いつの間にかヤンマは眠っていた。
相当疲れが溜まっていたのか、ちょっとやそっとじゃ起きそうにない。
ヤンマを抱き上げてベッドまで運ぶ。
やはり筋肉質な体は重たい。身長も大きいので持ち上げると言うより抱える格好になってしまった。
「王も王子も良い夢を。
敵には死を、邪悪に罰を、暴虐に終止符を。
ね〜むれ眠れ、愛しい子。恐怖に震えることのなきよう。」
ベッドに横たわり、すうすうと寝息を立てるヤンマを、ギラは見守っていた。
「ね〜むれ眠れ、愛しい子。この子を守れや守護神よ。
ね〜むれ眠れ、愛しい子。悪に堕ちることのなきよう。」
ギラは自分の生きる意味を知らない。
母を殺してまで生まれてきた自分の生きる意味を。
母が死んだ理由はわからない。
産後の病かもしれない。事故かもしれない。
けれど、けれど、自分を産んで母は死んだ。
父の、兄の最愛の人を奪った。それがどうにも苦しかった。


ヤンマはどうだったのかな。
ふと、ギラは思う。
姉を失って自己嫌悪に陥らなかったわけがない。
いや、もしかしたら今でも。
生きていると知った今でも、今だからこそ。
姉への恩返しに必死になっているのかもしれない。
それこそ寝食忘れて考え続けるほどには。
「僕も、同じなのかな。」
つぶやいてそっとベッドに倒れ込む。
目を瞑ると、ラクレスと過ごした日々と、会ったことのないであろう母の姿が浮かんできた。
「かあ、さま……。」
首を振って布団に潜り込んだ。
午前0時。日が変わった今日は、【母様】の誕生日。

作者メッセージ

ギラくん主題です!な〜んか久しぶり。
ヤンマ目線なんてもっと久しぶりだよな〜。そろそろ書きたい……。
ギラくんが母様って呼ぶのなれないんですよ。「お母さん」とか言いそうなんだけど、、ラクレスがずっとずっと【母様】って言ってたからつられて母様呼びになってたらいいなと………。
妄想ですね。いや、妄想以外何も無い。この小説。
ってなわけで短編カフェでも活動しております!
是非遊びに来てね!
では!See you again!

2024/12/11 19:55

ミコト
ID:≫ 8t/IaoonNB37w
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