「スズメ。」
「ここにおりますわ。ラクレス様!」
あれから数年。スズメはすっかりラクレスに恋をしていた。
それを面白く思わないのはもちろんアオハ。
いつも腕を組んでは気に入らなそうな目で彼らを見つめている。
「どうしたんだ、アオハ。お前らしくもない。」
「黙ってろ。」
二人きりのときにラクレスが言っても目をそらすばかり。
スズメとイチャイチャするラクレスを見たくないのだろうが、鈍い彼は気づかない。
「なんかあったのか。」
「そんなんじゃねぇし!!!」
アオハは叫ぶと部屋を後にする。
「あー、ちょっ!!
成人の儀どうするんだよ……。」
ラクレスの声はアオハには届かなかった。
[水平線]
「もーやだ!!あいつなんでわかってくんないんだよ!」
城の中庭。アオハは全力で叫んでいた。
はぁぁという深い溜め息がこだまする。
相当ラクレスが自らの気持ちに気づいてくれないのが嫌らしい。
ほんとに……と静かに頭を抱えた、そのとき。
「いががいたしたのです?」
「……ぅわ!!!!!」
顔を上げると、そこにいたのは着物姿の女性。
またの名を、スズメ。
「す、スズメ様!?なぜこちらに!?」
反射的に声を変え、アオハはスズメの顔を見つめる。
「外を歩いてみたくなりましたの!良いところですね、ここは。」
ニコっと笑うスズメに人質の自覚あるんだろうかとまたまた深めのため息をつくと、アオハは立ち上がった。
「それなら私が邪魔するわけにも参りませぬ。では、私はこれで。」
彼女に背中を向け、去ろうとすると、スズメはアオハの手をぎゅっと掴んだ。
まだ何かあったのか、とアオハがそちらを振り向けば、そこにはキラキラとした目でこちらを見つめるスズメの姿があった。
「お待ち下さい。私は、あなた様とお話がいたしたいのでございます。」
あぁ、兄に似て腹の底がやっぱり読めない奴だ。
アオハは心底そう思った。
「それで、そういうところがラクレス様は素晴らしいのでございまして!」
【お話】というのはラクレスのことだったらしい。
かれこれ一時間は経っている。
流石のアオハも引くペースでスズメはラクレスのことを話し続けている。
「なるほど?」
「……あなた様は?」
話に触れないように返してきたアオハに、スズメがそう問う。
アオハはそれに答えたくなかった。
答えた瞬間止まらないとわかっているから。
所詮自分もスズメと同類。
いや、思いを言葉にできる分スズメのほうが五枚くらいは上手か。
と思考を巡らせていると、スズメがニコっとまた笑った。
「ラクレス様は、あなた様のことが大好きであらせられますよ、アオハ様。」
「な!?なんでそれを!?」
いきなり爆弾発言。
アオハの名はラクレス以外誰にも知られていないはずだ。
なのに、どうして。
「あの御方はあなた様のことをよくお話になられますので。
かっこいいとか、憧れてるとか、大好きとか。そんな話ばかりで嫉妬してしまいます。」
プクリと膨らませた頬は、彼女の言葉に嘘がないことを物語る。
彼女はラクレス関連だとなかなか嘘はつかない。
数年経って、アオハが彼女を信頼できると思ったことの一つである。
……きっと、ラクレスは気づいてないだろうけれど。
「そういえば、ラクレス様が仰られておりましたよ。
アオハ様の成人の儀を執り行いたいと。」
「成人の儀ぃ!?」
聞いてねぇ!!!アオハは普段以上の声でそう叫ぶ。
「なので、ドレスを選びたいのだけれど、アオハ様が着てくれるとは思えないと。」
「そりゃぁ……嫌いなんだよ、ドレスが。」
そっぽを向きながら、アオハは小さな声で言う。
そんなアオハに、スズメはふふっと笑うと、手を握った。
「ラクレス様はあなた様に着てほしいのでは?」
「……いつかアイツが私の役に立ったらな。」
連れない御方。またスズメは笑った。
不思議と、その笑いにつられてアオハも笑ってしまった。
[水平線]
「宰相アオハ。二十歳の年を迎えたお前を、改めて宰相に任ずる。
これを受けより励み、シュゴッダムのために尽くすよう。」
「御意に。」
アオハ二十歳の誕生日の日。
成人の儀は執り行われた。
流石にアオハはドレスは着ず、ローブで王にひざまずいていた。
ラクレスの手でアオハに被せられたのは、成人の宰相がかぶる冠。
宰相の人数分あるらしく、アオハのものは蒼のサファイアと透明な水晶とダイヤが所々に散りばめられている。
青いベールと合わさり、立ち姿は美しいと言わざるを得なかった。
「似合うな。」
「お世辞を。」
ラクレスの隣には、そんな二人の様子を微笑ましく見守るスズメがいた。
「ここにおりますわ。ラクレス様!」
あれから数年。スズメはすっかりラクレスに恋をしていた。
それを面白く思わないのはもちろんアオハ。
いつも腕を組んでは気に入らなそうな目で彼らを見つめている。
「どうしたんだ、アオハ。お前らしくもない。」
「黙ってろ。」
二人きりのときにラクレスが言っても目をそらすばかり。
スズメとイチャイチャするラクレスを見たくないのだろうが、鈍い彼は気づかない。
「なんかあったのか。」
「そんなんじゃねぇし!!!」
アオハは叫ぶと部屋を後にする。
「あー、ちょっ!!
成人の儀どうするんだよ……。」
ラクレスの声はアオハには届かなかった。
[水平線]
「もーやだ!!あいつなんでわかってくんないんだよ!」
城の中庭。アオハは全力で叫んでいた。
はぁぁという深い溜め息がこだまする。
相当ラクレスが自らの気持ちに気づいてくれないのが嫌らしい。
ほんとに……と静かに頭を抱えた、そのとき。
「いががいたしたのです?」
「……ぅわ!!!!!」
顔を上げると、そこにいたのは着物姿の女性。
またの名を、スズメ。
「す、スズメ様!?なぜこちらに!?」
反射的に声を変え、アオハはスズメの顔を見つめる。
「外を歩いてみたくなりましたの!良いところですね、ここは。」
ニコっと笑うスズメに人質の自覚あるんだろうかとまたまた深めのため息をつくと、アオハは立ち上がった。
「それなら私が邪魔するわけにも参りませぬ。では、私はこれで。」
彼女に背中を向け、去ろうとすると、スズメはアオハの手をぎゅっと掴んだ。
まだ何かあったのか、とアオハがそちらを振り向けば、そこにはキラキラとした目でこちらを見つめるスズメの姿があった。
「お待ち下さい。私は、あなた様とお話がいたしたいのでございます。」
あぁ、兄に似て腹の底がやっぱり読めない奴だ。
アオハは心底そう思った。
「それで、そういうところがラクレス様は素晴らしいのでございまして!」
【お話】というのはラクレスのことだったらしい。
かれこれ一時間は経っている。
流石のアオハも引くペースでスズメはラクレスのことを話し続けている。
「なるほど?」
「……あなた様は?」
話に触れないように返してきたアオハに、スズメがそう問う。
アオハはそれに答えたくなかった。
答えた瞬間止まらないとわかっているから。
所詮自分もスズメと同類。
いや、思いを言葉にできる分スズメのほうが五枚くらいは上手か。
と思考を巡らせていると、スズメがニコっとまた笑った。
「ラクレス様は、あなた様のことが大好きであらせられますよ、アオハ様。」
「な!?なんでそれを!?」
いきなり爆弾発言。
アオハの名はラクレス以外誰にも知られていないはずだ。
なのに、どうして。
「あの御方はあなた様のことをよくお話になられますので。
かっこいいとか、憧れてるとか、大好きとか。そんな話ばかりで嫉妬してしまいます。」
プクリと膨らませた頬は、彼女の言葉に嘘がないことを物語る。
彼女はラクレス関連だとなかなか嘘はつかない。
数年経って、アオハが彼女を信頼できると思ったことの一つである。
……きっと、ラクレスは気づいてないだろうけれど。
「そういえば、ラクレス様が仰られておりましたよ。
アオハ様の成人の儀を執り行いたいと。」
「成人の儀ぃ!?」
聞いてねぇ!!!アオハは普段以上の声でそう叫ぶ。
「なので、ドレスを選びたいのだけれど、アオハ様が着てくれるとは思えないと。」
「そりゃぁ……嫌いなんだよ、ドレスが。」
そっぽを向きながら、アオハは小さな声で言う。
そんなアオハに、スズメはふふっと笑うと、手を握った。
「ラクレス様はあなた様に着てほしいのでは?」
「……いつかアイツが私の役に立ったらな。」
連れない御方。またスズメは笑った。
不思議と、その笑いにつられてアオハも笑ってしまった。
[水平線]
「宰相アオハ。二十歳の年を迎えたお前を、改めて宰相に任ずる。
これを受けより励み、シュゴッダムのために尽くすよう。」
「御意に。」
アオハ二十歳の誕生日の日。
成人の儀は執り行われた。
流石にアオハはドレスは着ず、ローブで王にひざまずいていた。
ラクレスの手でアオハに被せられたのは、成人の宰相がかぶる冠。
宰相の人数分あるらしく、アオハのものは蒼のサファイアと透明な水晶とダイヤが所々に散りばめられている。
青いベールと合わさり、立ち姿は美しいと言わざるを得なかった。
「似合うな。」
「お世辞を。」
ラクレスの隣には、そんな二人の様子を微笑ましく見守るスズメがいた。
- 1.始まり
- 2.ブレスレット
- 3.ロゼアという国
- 4.ゴッドホッパーの反乱?
- 5.ラクレスの隠し事?
- 6.悲劇の始まり
- 7.行方知れず
- 8.ンコソパ国王の過去 【前編】
- 9.ンコソパ国王の過去 【後編】
- 10.マフィアを動かせ
- 11.ハッキング
- 12.マフィアとシエボル?
- 13.ロゼアへの道
- 14.宝石の国
- 15.戦慄のシエボル
- 16.力を以って
- 17.宰相様と国王サマ
- 18.邪智暴虐の
- 19.シスコン総長と呑気な女宰相
- 20.お姉ちゃん
- 21.二人のお兄ちゃん
- 22.スズメのご飯はチキュー1 byアオハ
- 23.スズメとアオハ【前編】
- 24.スズメとアオハ 【中編】
- 25.スズメとアオハ 【後編】
- 26.選ぶ結末、選ぶ未来
- 27.子守唄
- 28.眠る宰相、明けのカラス
- 29.宰相の異変
- 30.終わりの始まり、
- 31.目覚まし時計
- 32.生きる意味ってなんですか
- 33.戦闘民族(?)
- 34.太古の守護神
- 35.王と王妃
- 36.フィナーレ開幕
- 37.宰相の遺産
- 38.ラポネ・リバナラクという男
- 39.宰相たちの墓場【前編】
- 40.宰相たちの墓場【中編】
- 41.宰相たちの墓場【中編その2】
- 42.宰相の墓場 【後編】
- 43.冷却、そして覚悟
- 44.物語の終わりへ結末へ。
- 45.アオハとシエボル【前編】
- 46.アオハとシエボル【中編】
- 47.落下、そして墜落