「ってなわけだったんだよ。」
青いフェイスベールの下で、アオハは苦い顔をして笑う。
ラクレスもそれに合わせて苦笑いをした。
「ま、この馬鹿力との19年も悪いもんじゃなかったけどな。」
「誰が馬鹿力だ。そっちのほうだろ。」
「お前に言われたかねぇよ。」
小突きあい、軽く喧嘩しているようだが、二人の目は笑っていた。
その姿に、王たちは年の離れた兄妹を見た。
「ごめんな、ヤンマ。お前を優先できなかった。」
一通り小突きあったあと、小さな体で大きなヤンマを見上げ、アオハは言う。
ヤンマは、そっと姉を見ると、震えた声で言葉を発した。
「……姉ちゃんがああやって笑ってんの、初めて見た。」
「へ?」
「喧嘩で姉ちゃんがあんなに楽しそうに笑うんだって初めて知った。
あんなに嬉しそうに笑えるって初めて知った。
俺、姉ちゃんのあんな顔、あんまり知らないから………。」
その目に浮かぶのは、涙にほかならない。
アオハはそっとヤンマの背中を叩く。
「総長の仕事、ご苦労さん。」
「俺に務まってる?」
「だーいじょうぶ。ってかなんで私の前だとそんな弱気になるんだよ。
普段のヤンマ総長はどこ行ったの。」
ヤンマには似合わないでしょ、とアオハはヤンマの膝を蹴る。
「るっせーよ。」
「ふふっ……変わんねぇのな。」
人の前では強がって。私の前では甘えたがる。
アオハはそっとヤンマの肩に飛びついた。
「さぁさ、総長様よ、シュゴッダム宰相と前王を新たなるンコソパ国へ連れて行け!」
「へ、はぁ!?」
アオハを見つめながら、驚きを隠せないヤンマ。
色々情報が多すぎて頭の回路がショートしているようである。
「ね、姉ちゃん!?ら、ラクレスもかよ!?」
ヤンマが焦りながらアオハに向かって叫ぶが、アオハがだめだよとヤンマを制する。
「ラクレスも行くよ。いや、行かなきゃだめ。
……ギラくんも来てくれる?ちょっと話さなきゃいけないことがあるんだ。」
「え、う、うん。」
「ロゼアについての資料はもう、
紙に書かれているものは全部スマホに送っといてあるよ。」
そう言ってアオハは駆け出す。
リタが手を伸ばしてアオハを引き留めようとするが、アオハはその手を振り払う。
「待て!!まだ聞けていないことが「君たちにもちゃんと話すよ。
だからちゃんと待ってて。いい子でいて。」
小さな子供に諭すように、アオハは言った。
ヤンマはその声に聞き覚えがある。
危ない仕事に行くときに、ヤンマにいつも言っていた言葉。
「君たちに話さないつもりはない。君たちを信頼していないわけじゃない。
でもね、今はその時じゃない。わかって。お願い。」
リタに、ヒメノに、カグラギに、ジェラミーに、その言葉が届いたかどうかはわからない。
その言葉の意を、理解しているとも限らない。
「ね、姉ちゃん。」
「さ、行こっか、ヤンマ。ギラくん。」
ヤンマたちに伸ばしたその手は、少し震えていた。
巻き込むことが怖い。そう言っているかのようだった。
「アオハ。一人で行くな。私もいる。」
「ははっ……ごめんね、ラクレス。」
悲しい。苦しい。彼女の目が、そう言っていたのを、ラクレスが見逃すことはなかった。
「何謝っているんだ。さっさと行くぞ。」
「りょーかい。」
10年を超えるであろうという時は、二組の兄弟関係をまるきり変える。
大体の場合は。
それでも、アオハは弟を巻き込むことに消極的であった。
もちろん、ラクレスも。
けれどこれしかないとわかっているから。
覚悟を決めてこの場にいる。
「大丈夫か?」
「誰に言ってんの。」
邪智暴虐の最強コンビは誰にも止められない。
青いフェイスベールの下で、アオハは苦い顔をして笑う。
ラクレスもそれに合わせて苦笑いをした。
「ま、この馬鹿力との19年も悪いもんじゃなかったけどな。」
「誰が馬鹿力だ。そっちのほうだろ。」
「お前に言われたかねぇよ。」
小突きあい、軽く喧嘩しているようだが、二人の目は笑っていた。
その姿に、王たちは年の離れた兄妹を見た。
「ごめんな、ヤンマ。お前を優先できなかった。」
一通り小突きあったあと、小さな体で大きなヤンマを見上げ、アオハは言う。
ヤンマは、そっと姉を見ると、震えた声で言葉を発した。
「……姉ちゃんがああやって笑ってんの、初めて見た。」
「へ?」
「喧嘩で姉ちゃんがあんなに楽しそうに笑うんだって初めて知った。
あんなに嬉しそうに笑えるって初めて知った。
俺、姉ちゃんのあんな顔、あんまり知らないから………。」
その目に浮かぶのは、涙にほかならない。
アオハはそっとヤンマの背中を叩く。
「総長の仕事、ご苦労さん。」
「俺に務まってる?」
「だーいじょうぶ。ってかなんで私の前だとそんな弱気になるんだよ。
普段のヤンマ総長はどこ行ったの。」
ヤンマには似合わないでしょ、とアオハはヤンマの膝を蹴る。
「るっせーよ。」
「ふふっ……変わんねぇのな。」
人の前では強がって。私の前では甘えたがる。
アオハはそっとヤンマの肩に飛びついた。
「さぁさ、総長様よ、シュゴッダム宰相と前王を新たなるンコソパ国へ連れて行け!」
「へ、はぁ!?」
アオハを見つめながら、驚きを隠せないヤンマ。
色々情報が多すぎて頭の回路がショートしているようである。
「ね、姉ちゃん!?ら、ラクレスもかよ!?」
ヤンマが焦りながらアオハに向かって叫ぶが、アオハがだめだよとヤンマを制する。
「ラクレスも行くよ。いや、行かなきゃだめ。
……ギラくんも来てくれる?ちょっと話さなきゃいけないことがあるんだ。」
「え、う、うん。」
「ロゼアについての資料はもう、
紙に書かれているものは全部スマホに送っといてあるよ。」
そう言ってアオハは駆け出す。
リタが手を伸ばしてアオハを引き留めようとするが、アオハはその手を振り払う。
「待て!!まだ聞けていないことが「君たちにもちゃんと話すよ。
だからちゃんと待ってて。いい子でいて。」
小さな子供に諭すように、アオハは言った。
ヤンマはその声に聞き覚えがある。
危ない仕事に行くときに、ヤンマにいつも言っていた言葉。
「君たちに話さないつもりはない。君たちを信頼していないわけじゃない。
でもね、今はその時じゃない。わかって。お願い。」
リタに、ヒメノに、カグラギに、ジェラミーに、その言葉が届いたかどうかはわからない。
その言葉の意を、理解しているとも限らない。
「ね、姉ちゃん。」
「さ、行こっか、ヤンマ。ギラくん。」
ヤンマたちに伸ばしたその手は、少し震えていた。
巻き込むことが怖い。そう言っているかのようだった。
「アオハ。一人で行くな。私もいる。」
「ははっ……ごめんね、ラクレス。」
悲しい。苦しい。彼女の目が、そう言っていたのを、ラクレスが見逃すことはなかった。
「何謝っているんだ。さっさと行くぞ。」
「りょーかい。」
10年を超えるであろうという時は、二組の兄弟関係をまるきり変える。
大体の場合は。
それでも、アオハは弟を巻き込むことに消極的であった。
もちろん、ラクレスも。
けれどこれしかないとわかっているから。
覚悟を決めてこの場にいる。
「大丈夫か?」
「誰に言ってんの。」
邪智暴虐の最強コンビは誰にも止められない。
- 1.始まり
- 2.ブレスレット
- 3.ロゼアという国
- 4.ゴッドホッパーの反乱?
- 5.ラクレスの隠し事?
- 6.悲劇の始まり
- 7.行方知れず
- 8.ンコソパ国王の過去 【前編】
- 9.ンコソパ国王の過去 【後編】
- 10.マフィアを動かせ
- 11.ハッキング
- 12.マフィアとシエボル?
- 13.ロゼアへの道
- 14.宝石の国
- 15.戦慄のシエボル
- 16.力を以って
- 17.宰相様と国王サマ
- 18.邪智暴虐の
- 19.シスコン総長と呑気な女宰相
- 20.お姉ちゃん
- 21.二人のお兄ちゃん
- 22.スズメのご飯はチキュー1 byアオハ
- 23.スズメとアオハ【前編】
- 24.スズメとアオハ 【中編】
- 25.スズメとアオハ 【後編】
- 26.選ぶ結末、選ぶ未来
- 27.子守唄
- 28.眠る宰相、明けのカラス
- 29.宰相の異変
- 30.終わりの始まり、
- 31.目覚まし時計
- 32.生きる意味ってなんですか
- 33.戦闘民族(?)
- 34.太古の守護神
- 35.王と王妃
- 36.フィナーレ開幕
- 37.宰相の遺産
- 38.ラポネ・リバナラクという男
- 39.宰相たちの墓場【前編】
- 40.宰相たちの墓場【中編】
- 41.宰相たちの墓場【中編その2】
- 42.宰相の墓場 【後編】
- 43.冷却、そして覚悟
- 44.物語の終わりへ結末へ。
- 45.アオハとシエボル【前編】
- 46.アオハとシエボル【中編】
- 47.落下、そして墜落