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ネクストステージ! 最強の国の秘密

#14

宝石の国

「あいててて……。」
「タコメンチ!!変なもん押すなら言いやがれ!!」
「ごめん!!!」
道が枝分かれしていたのか、はたまたそれ以外の理由なのか、その場に落ちていたのは二人だけであった。
薄暗く、奥に続く道は見えるが、それ以外はなにもない、狭苦しいその場。
「みんな、大丈夫かな。」
「心配してる時間もったいねぇぞ。
あいつらがここで御陀仏になるわけねぇだろうが。」
上を見上げるギラの背中を叩いてから、ヤンマは奥へと進んでいく。
待ってよとギラもそちら側へ駆けていく。

光源となるものは一つもないのにどこからかさす薄明かりの方へと足を進めていくと、大きな建造物が目の前に現れた。
「城……。」
「大きい!宝石みたいだね、ヤンマ!」
はしゃぐギラとは対照的に、ヤンマは不安を隠せない。
建造物は城の形をしていたがその材料は、
「これ、宝石で出来てるよな……。」
色鮮やかな宝石たち。
炎のように真っ赤なルビーと海のように青いサファイアが作った門に、
美しく可憐なエメラルドの櫓。
すべてを包み込む黒いダイヤモンドで作られた建物に、それすらも透明化させてしまう水晶の階段。
真上には、金、銀、プラチナで彩られた国章らしきもの。
この世の全ての財宝を注ぎ込んだように荘厳な城が、薄明かりに照らされ佇んでいた。
作るとしたならば、国家予算の数百倍の金がかかる。
そして、そんな宝石をめぐり、5つの王国、いや。国内で争いが起きるだろう。
それなのに、こんなものを作れてしまうロゼア。
ヤンマには少しだけ恐ろしいと思った。
「……ギラ。」
「どうしたの、ヤンマ。」
一旦帰ろう。それを、言い切ることはできなかった。


[太字]ヒュドン[/太字]。
ヤンマの顔の横を何かが通り抜ける。
それは通路をずーっと通り抜けていき、最後には、爆発した。
「なっ……。」
反射的にヤンマはギラを倒し、地面へと伏せる。
頭の上スレスレを銃弾が通り抜け、心臓の音が高くなる。
「や、ヤンマ。」
「一旦下がるぞ。ここじゃあ分が悪い。」
「う、うん。」
自身も銃を構えながら、ヤンマはそっと後ろへと後退りする。
その間にも銃弾は二人のスレスレを通り抜け、ヤンマの革ジャンには数個の穴が空く。
「こいつ……武器の扱い心得てやがんな……?」
ヤンマの言葉通り、相手は銃の弾数まで把握しているのか、その銃声は鳴り止むことを知らない。
「ンコソパ舐めんな……。」
ンコソパの大切な仕事は、
各国への電気配給にテクノロジー及び機械の設計と製造。
そしてもう一つ。
武器の設計、貯蔵、輸出。
一つ一つ、王は確認し、全てを総括する、
だから、ヤンマは武器の特性を全て把握している。
銃声の種類から一つ一つの装弾数まで。だからわかる。
この銃の種類。これは、ンコソパ史上最高傑作の武器、その名も【プレミア】。
ラクレスに頼まれヤンマ直々に作り上げたもの。
ヤンマははっきり覚えている。あれを作れと頼まれた日のことを。
まるで魔法のような設計図だった。
全てが計算し尽くされていた。まるで神が作り出したかのように完璧な。
ヤンマはあれをラクレスが作ったとは今でも思っていない。
あの設計図を作ったとは思えないのだ。
機械を全て知り尽くしている人物が作っている。
俺よりずっと、金属の性質から熱での変化まで。全て知ったものが設計している。
「ヤンマ?」
けれど、創り上げたのはヤンマだ。
性質は全て理解している。
弱点。それは、射程が長すぎるが故のブレ。
相当な使い手……上下左右移動もコントロールできるほどの……でなければ当てることは難しいもの。
「[小文字]いける。[/小文字]」
走ればいける。そして弾はまっすぐにしか飛ばない。
右左、頑張ればいける。大丈夫。
盾を構えつつゆっくりゆっくり前へと進む。
「へ、え!?ヤンマっ!?」
銃弾の嵐が少し止んだ。
今だ。
ヤンマは立ち上がり、相手の元へ駆ける。
「オラァっ!!!!」
銃を構えたまま上を見上げた男の顔が、
薄明かりに照らされ見えた。
その瞬間ヤンマは銃を取り落とし、その男の名を口にする。
「らく、、、、れす、、、、?」
服は違う。雰囲気もなにかおかしい。
けれど、この顔はあいつしかいない。
目には光はないのに。
一つもあいつらしさなんてないのに。
「なん、で。」
なんて悲しそうな顔で笑うんだ。
なんで泣きそうな顔で笑うんだ。
「ハハッ………。」
それはまるでまるで。
今考えれば大昔、4年前。
孤独に宇蟲王を倒そうと作戦を行っていた時のラクレスそのものであった。
「あはははっ……。」
ラクレスは顔とは裏腹に、迷うことなくヤンマに向かって剣を突きつける。

「だめ。」
カキン。軽い金属音をたて、ラクレスの剣が止まる。
その声が低いのか高いのか、ヤンマにはわからなかった。
ただわかるのは、その者が、人間離れした力を持っていることだけ。
ラクレスの剣を、一切動じることなく止め、一言で彼を威圧してみせた。
とてもその者の小さな体で、できる芸当ではない。
「まだ怪我治ってないだろう?
そんな身体ではサクト様の策に差し支える。戻れ。」
「ぎょい……に。」
感情のこもらない声で応えた後、ラクレスは姿を消す。
何がなんだかわからず、呆然と立ち尽くすヤンマたちをおいて。
「お、、、お兄ちゃんに、何を……。」
ヤンマを差し置いて口を開いたのはギラだった。
その目はもはや人を見ていない。
虚空を見つめ、絶望に顔を染めている。
「やぁ、国王様たち。
邪智暴虐の王の歴史を終わらせるため、君たちも協力してくれよ。」
「な、何をだ。」
声の主を睨みつけたその目は、一秒も保たず下へと。
ヤンマ・ガストの精神力を持ってしても、その威圧感には耐えられなかった。
「五王国の国土譲渡、及び王の謝罪と退位。」
平坦で機械的なその声は、冷たく告げる。
王たちにとって到底受け入れられないその提案。
しかし、声の主の余裕さから、武力を使ってでも捻り潰す準備ができているのだろうと二人は感じる。
「そんなの、受け入れれるはずないだろ!!!」
「ちょ、ヤンマ!!」
それでもヤンマにとって、頭を下げることと同等であるこの提案は激怒案件。
一瞬のうちに声の主に飛びかかる。
「おっと、残念。叡智の王ならわかってくれるかなって思ったのに。」
じゃあね?声の主は軽くそう言うと、飛びかかってきたヤンマを吹き飛ばした。
「やんっ「君も。」
そして、ギラも…………。




ギラが最後に見た声の主は、小さく小さく、けれども自らよりずっと大人っぽく見えた。

作者メッセージ

はい!!超絶お久しぶりです!!
諸々の諸事情で中々投稿できておりませんでした!!
これからも投稿頻度、下がると思いますがよろしくお願いします!
では!!See you again!

2024/09/11 20:54

ミコト
ID:≫ 8t/IaoonNB37w
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