文字サイズ変更

「おにいちゃん。」

僕は、もうすぐお兄ちゃんになる予定だ。
予定は3日後。もう待ち切れない!
生まれたら、みんなで新しい家族を迎えるように家族四人で家族写真を撮るんだ!
妹の名前はもう決まってて、『ユミ』。
いい名前でしょ!お父さんとお母さんみんなで決めたんだ。
年の差は5歳差。とても、楽しみだなぁ!

[中央寄せ]2日後[/中央寄せ]
………………。
お母さんの様態が…急変して…。病気で……。
お母さんがどうなるか分からないって……
お母さん…お母さんっ…!!
お父さんも…今は外に出てるけど…顔は…青かったな。
今の僕には…祈ることしかできないよ…。
どうか…どうかっ。神様…お母さんを…救って…

[中央寄せ]3日後、出産当日[/中央寄せ]
[大文字]「えーーーーん!えーーーーん!」[/大文字]
おかあ…さん?お母さん?お母さんっ!!!
あっ…あぁっ……嘘だ…
こんなの嘘に決まってるよ……信じるもんかっ…
…………………。
その日、お母さんは…。
神様は、僕を見放したみたい。
お母さんは、ユミを産んで亡くなった。
………。
僕は立ち合えなかったけど、お父さんの顔で…直ぐに気づいてしまった…。
お父さんは…暗い顔で鬱陶しそうに泣き声を聞いていた。
「…………お父さん?」お父さんの様子がいつもと違う気がして、問いかける。
お父さん「………」
お父さんは問いかけには答えない。
……嫌な予感がした。
[水平線]お母さんが…居なくなって、家事はお父さんがするようになった。それで、明らかに最近のお父さんは笑顔がなくなった。僕も心無しか減っている気がする。これじゃユミに合わせる顔がないや…。
ごめんね…お母さんがいなくて…ユミ…。
布団に潜る。…なかなか寝付けない。どうしても思い返してしまう。きっと僕の心の中に深い傷跡みたいに残り続けるだろう。
「あっ…あぁっ…お母さん…嫌だよ…」
お父さんの前では心配させないように我慢していたが…やっぱり無理だ…。涙で目が霞む。
そんな夜が何回か続いた。

[中央寄せ]数日後[/中央寄せ]
ユミが家にやってきた。僕は不安でお父さんの顔をチラチラ見ていた。
これからお母さんのいない生活が始まるんだ。
まだ覚悟は決まっていない。突然すぎて頭がぼんやりしてる。
お母さんみたいに、吸って〜吐いて…新呼吸……
お父さんはその日から1回も笑っているところを見ていない。
そして…僕の嫌な予感は的中し、その日からお父さんは僕に暴力を振るうようになった。
お父さん「何でこんな事ができないんだよ!」
「痛い…痛いよお父さん…」
お父さん「うるさい!」お父さんは豹変した。
「けほっ…ゲホッゲホッ…」
お父さん「チッ。わかったなら早くやれ。」
ユミ「えーーん!えーーーん!」
お父さん「なんだ…お前も殴られたいのか?」
「お父さんっ!やめて!…ゲホッ…」
お父さん「ユミの分だ。」
「はぁ…はぁっ………。」
こんな事になるなら…ユミなんて…
だめだ…そんな事考えてたら僕もっ…
ユミを守る人は僕1人になった。
お父さん「ご飯だしてやってるだけ感謝しろ。」
ユミはずっと泣きっぱなし。そのユミを庇って僕が殴られる。
ユミは守りたかった。お兄ちゃんとして、ユミは僕が守る…!
夜は少し開放される。保育園はお母さんが亡くなってからずっと行ってない。
その間にユミの面倒を見る。今日はユミがあんまり泣かなくてよかった。だけど、明日は泣くかもしれない…
そんな絶望感が体を蝕み、寝るのが怖くなる。
泣いてばっかだな…僕。
でも、ユミは偶にだけど笑っていた。
すごく可愛くて、こっちも笑えるくらい、絶望なんて吹き飛ばしちゃうくらいに可愛くて、可愛くて…僕がお兄ちゃんになれてるって思えて…
少しだけ、希望が持てる。
……………。だから。
決めた。僕は、僕が、ユミを守る!
いまのままじゃ僕もユミも腐ってしまう。
だから…夜のうちにこっそり家を出て近くの大人の人に話すんだ…
僕はゆっくりと立ち上がった。ユミを抱えて家を飛び出す。
ユミ「ええーーん!えーーん!」ユミは泣いた。
「よしよし、大丈夫、ユミ。お兄ちゃんはここにいる。そばに…いるから。」僕も泣いていた。
大人の人に聞いて、施設に送ってもらった。
…施設に入って僕とユミは歓迎された。
お父さんやお母さんと離れるのは精神的にも辛かった。でも!あそこで腐るよりは…マシだと思った。
僕は、頼れる「おにいちゃん」になれてるのかな。たぶん、なれてないかな…ははっ…
ユミ。その肌を触る。涙が溢れる。大丈夫。お兄ちゃんがずっと守るから…
それで、ユミが僕の名前を呼んでくれるまで、「おにいちゃん」って呼んでくれるまで待ってるから……。
2人だけになった家族写真には、走り汚れた僕とタオルに包まったユミが写っていた…

作者メッセージ

少し長くなってしまいました。すいません!

2024/05/19 22:34

みのむし
ID:≫ 08nlFWdXgofRE
コメント

クリップボードにコピーしました

この小説につけられたタグ

兄妹暴力表現

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権はみのむしさんに帰属します

TOP