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全部、俺の所為

ムクッ ベッドから起き上がる。テレビの音声が聞こえる。
?「おはよう。」両親の遺影に挨拶をする。
俺の名前は木月 ハルト。ただの高校生だ。
約10年前両親が死んでから変わったなとつくづく思う。
[水平線]―――なんでこんなになってしまったのかというと。
昔。まだ両親が生きていた頃。俺は明るかった。
母「ご飯よ〜ハルト〜」
ハルト「はーい!わーいご飯だっ!」
父「ふふ、ハルトは素直で可愛いなぁ。」
俺は一人っ子だった。その時は、とても幸せに笑えてたと思う。
でも、山へハイキングに行ったとき、その幸せな家庭は壊れてしまった。
父「おーいハルト、待ってー!」
ハルト「えへへー。お父さん遅いよ〜」
母「ハルトは元気ねぇ。」
ガサガサガサガサガサガサ
ハルト「…………え?」
父「危ないっっっ!」
[中央寄せ]ザシュ[/中央寄せ]ハルト「……………え。」
そこには、熊がいた。そして、熊の足元で倒れている父の姿も。
ハルト「うわああああああ!」
母「あ…あっっ………」
ハルト「お母さん…お母さんッ!!」
母「大丈夫よ。パニックになったらだめよ。」
ハルト「うん…………」
母「……先に逃げてなさい。私は大丈夫。早く他の人のところに行きなさい。私は警察に通報したりしてるから。」
ハルト「うん……………」
必死に逃げた。必死に。必死に。そして、同じハイキングコースを歩いてる人に起きたことを話し、警察にも連絡してもらった。
[中央寄せ]後日[/中央寄せ]
父親の骨が見つかった。肉は食べられていた。母親は一部の骨しか見つからなかった。俺だけ……無事だった。
そう。俺だけ。俺だけ……
両親は死体も残らず、骨になって。俺だけ……
しかも、俺がよそ見をしていてそれを庇って…
[水平線]その日から俺は自分を呪うようになった。全部俺の所為。楽しかった日常が壊れたのも、俺がこんなになったのも、全部俺の所為。
施設で過ごさなきゃいけなくなったのも、俺の所為。
俺の所為俺の所為俺の所為。全部。全部。
今は両親の家に住んでいる。思い出の…ここで過ごすだけでも…涙が出てくる。
ちゃんと高校には行っているが、行っているだけみたいな感じ。
俺の所為…きっと他の人から見ると俺は今化け物みたいな感じなんだろうな…自分の顔を見なくても分かる。
はぁ……いつからこんなクズになったんだろ…
自分を呪って呪って呪って呪って呪って…
呪いきれない程呪って…
いつしか俺は死んでいるのかもしれない。もう死んだほうが早いのかもしれない。
[太字]そうだ……皆んな死ねばいいんだ……[/太字]
ハルト「っ…駄目だ…他の人を巻き込んだら…もっと俺がダメになる…」
だから、今こうやって両親の仏壇の前で手を合わせるしかない。
いつか俺が報われる日が来るんだろうか…
それとも、こんな俺でも神は許してくれるんだろうか…
なんかいつもよりしっかり仏壇の前で手を合わせてしまった。
ハルト「はは…後者ってことはないな。」
その時、俺の目に飛び込んできたのは母さんと父さんの姿だった。
ハルト「……………は?」
母「ハルト。」
父「ハルト。」
何が起きたのか分からず混乱していた。
母さんと父さんは死んだはずだ…なんで俺の目の前に?まさか幻覚を見てる…?
でも、父さんと母さんが見えて、会えて、目と目を合わせる事ができて、自然と涙が溢れてきた。
ハルト「っ………っ………父さん…母さん…」
母「あのね、ハルト、今、あなた、酷い顔をしてるわ。」
ハルト「………………」
父「俺たちがお前を庇って死んだから、自分のせいだって思ってるんだろう?」
母「ハルトは優しいから。」
ハルト「っ…っ……」
父「俺達は、生きてるぞ。おまえの心の中で。」
ハルト「…え?っ……どういう…っ…事?」
母「体は死んだかもしれないけど、あなたの心の中でずーっと、生きてるってこと。」
父「そう。ずっと、そばに居て見てるんだぞ〜」
母「それに、あなたの選択は正しかった。あのとき、私の言う事を素直に聞いてくれたから、あなたは今生きているのよ。」
ハルト「でもっ………」
父「でも。じゃない。これはとても大切なことだ。なんでも鵜呑みにするのはいけないが、お前は正しい選択をした。」
ハルト「……っ……ううっ……」
まだ分からない。なんで死んだはずの両親が目の前にいるのか。やっぱり、幻覚か…
母「幻覚じゃないわよ。私達は今、本当にあなたの目の前にいる」
ハルト「…っ…?」
父「まだ納得が行っていないようだがそろそろお別れなんだ。時間が厳しくてな。」
母「3分しかないものね。」
父「取り敢えず、俺達が死んだことを自分の所為と気に病むことはないぞ。ハルト、俺達はお前のことを愛してるが故に行動した事だからなっ。」
何でそんなに笑顔なんだよっ……何でっ……
母「ハルト、愛してるわ。」
何で……
ハルト「…ありがとう。」
自然と声が出ていた。ありがとう。と。
その日からは少し気持ちが楽になった。相変わらず自分を呪うのは辞められていないが、笑顔が増えた気がする。
あの日見たものは幻覚なのか、本当だったのか分からない。でも、確かに心に残ってる。
あぁ。両親の所為で罪が小さくなっちまった。俺が俺を呪うべきなのに。
[大文字]でも、ありがとう。[/大文字]

作者メッセージ

長くなってしまった…

2024/05/06 11:19

みのむし
ID:≫ 08nlFWdXgofRE
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