どこかの誰かの一ページ
「小説、か…」
別に書きたいわけじゃない。
文才があるわけでもない。
ただ、私の妄想を聴いてくれるが欲しくて。
それだけの気持ちで、『投稿』を押した。
初めてコメントがついた時の嬉しさは、何にも変えられないと思う。
ずっとこの瞬間を待ち望んでいたような、そんな感覚。
誰かからの称賛を望んでいたわけじゃない。
それでも、『面白かったです』の一言が輝いて見えた。
[漢字]人[/漢字][ふりがな]自分[/ふりがな]とは面白い生き物だ。
誰かも分からない、[漢字]不特定多数[/漢字][ふりがな]ネットの人[/ふりがな]に誉められて嬉しいなんて。
投稿が楽しくなった。
この作品たちが、自分の生き甲斐になった。
もっと、もっと美しい物語を…
これじゃ、誰かに褒めてもらえない。もっと、もっと…
辛い。
いつの日か、小説を投稿するのが辛くなってきた。
毎日投稿していた小説も頻度が減り、苦しかった。
「なんで、なんでだよ!私はもっと書けるのに…」
私の悩みは大したことが無いかもしれない。
それでも、辛かった。
本を読んだ。ひたすら。
何も出来ない自分から逃げるように。
美しい作品と出会う度に、元気をもらい対抗心を燃やした。
「敵うはずないのにな…」
ふと、自分の描きたい物語について考えた。
美しい物語を作って、人を感動させる。
いつの間にかそんな大層なものになっていたようだ。
小説を書くことが楽しい、そんな気持ちを忘れていたようだ。
楽しんで書く…それが最重要案件、という言葉が頭を巡る。
ぐぅっと伸びをして、iPadに向かい合う。
キーボードを叩いて、頭の中のアイディアを一気に放出する。
趣味で書いている小説がこの世界のどこかにいる誰かの、日常の一ページに残りますように。
パチン.
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