伊織「今日一時間目から数学…死ぬ予感しかしない」
机にだべっと顎をつけ、友達である[漢字]逢坂亜子[/漢字][ふりがな]おうさかあこ[/ふりがな]に愚痴る。
亜子「まぁまぁ、でも数学の教育実習の先生めっちゃイケメンじゃない⁉」
伊織「興味ない」
亜子はこの通り、ミーハーだ。
亜子「え~イケメンは正義でしょ!今日、手いっぱい上げよっと!」
伊織「答えられもしないくせに…」
伊織がツッコむ。
亜子「アージュギョウハジマッチャウー」
そのツッコミもむなしく、亜子はとぼけて席に走っていった。
キーンコーンカーンコーン…
[水平線]
気がつくと、何もない場所にいた。
伊織「…え」
重力すらない。
あるのは空気と地平線くらいだろうか。
とりあえず動いてみる。
手足を平泳ぎのようにバタバタさせると、すいっと進む。
正直にいうと、歩くより快適だ。そしてかっこいい。
向こうのほうに人影が見える。
ここがどこかわかるかもしれない!
1cmの期待を胸に人影の方へ泳いでいった。
伊織「あの、すみません!」
「ん?」
振り向いたのは青髪を一つ結びにした緑の目の青年だ。
真っ黒な袴を着ていて、背が低い。遠目に見ると女性のようだ。
何より伊織が驚いたのは、彼が手に持っているみたらし団子である。
伊織「…団子なんてどこにあったの?」
「欲しいなって思ったら出てきた。」
伊織「どっこと??」
数秒の沈黙の後、すかさず伊織がツッコむ。
「いや、だから、欲しいなって思ったら出てきたってわけ。やってみなよ。」
伊織「や、やってみるか…」
伊織が想像したのは自分の部屋のベット。
何かを考える時や興奮状態が続いているときは、あの上に座ると何故か落ち着くのだ。
ポンッ
ててーん、と出てきたのは伊織のベットだ。
伊織「え」
「ほはいっはえしょ?」
団子を食べながら喋っているので何を言っているかわからないが、したり顔をしているので「ほら言ったでしょ?」と言っているに違いない。
[大文字][太字]『おぉ〜い!!!』[/太字][/大文字]
遠くの方から声が聞こえる。