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白狼クストーデ

#22

第三章 生存確認

「まず、お前んち。俺正確な場所知らないんだけどさぁ…いつもの景色の跡形もないけど大丈夫?」
「……実は、こんなボロッボロに崩れてる状態じゃ正直どれが自分の家かさっぱり…」
「自分の家の場所くらい覚えとけよ」
 おそらく南側の三条通りまでやってきたところで、私達は足を止める。やっぱりこのあたりに魔力が落ちたようで、道場の近くとは比べ物にならない粉々っぷりだった。
 いつもの呆れ顔をするオリバを見て、非日常感に見慣れた明かりが灯る。安心して緊張していた心が少し緩むのを感じた。
 それはそうと、私の家……まじでどこ??えっと、赤いレンガのアパートだけどそんな高い建物残ってないし…

 オリバの手を離して周りをキョロキョロ探すと、赤レンガが大量に落ちている場所を見つけた。それから、見慣れたアパートの壁の一部。それ以外は跡形もなく消し去られていて、よく挨拶するくらいのご近所さんが使っていた椅子が転がっていた。
「この椅子、二つ脚が消えてる」
「こんな消え方するか?普通折れるとかだよな…」
 その椅子の脚は不自然なほどきれいに無くなっていて、まるで最初からなかったみたいだ。そして、私の家は二階だ。
 その真上を見ると、目があったのは満天の青空だった。……家、吹っ飛んじゃったみたい。

「私の家、二階なんだけどさ……」
「それ以上言わないでくれ。妹さん、どっかに出かけてたかもしれないから」
「……北側、北側に行こう。メーベルさんが無事かどうかも確認しなきゃいけないし、アズだってそっちにいるかもしれない」
「……そう、だな」
 オリバは真剣な顔をして頷いた。彼は誰よりもメーベルさんの無事を確認したかっただろうに、私の方についてきてくれた。
私がここで長居したらオリバも気が気じゃないだろう。
 目頭が熱い。最悪の結果を想像してしまう。考えるな考えるな、今は無事を信じるだけ。

「……あれ、北ってどっちだっけ?」
「おい……ったくもう、こんなときにもしょうがないやつだな…」
 オリバの緊張した顔が緩み、呆れ顔が戻って来る。こっちも動揺が少し小さくなって視界がしっかりとひらけた。
 本当は北がどっちかわかってるけどね、緊張ゆるんだからいいでしょ。多少の嘘は生きるために必要だよ。

「よし、行くぞ」
「うん」
 今度は戦友の距離感で、前と後ろを預け合いながら北側へ向かっていった。

[水平線]
 北側は比較的建物が残っているようだが、人影は全く無かった。比喩とかじゃなくて本当にいなかった。
 商店街にたどり着く。ここは建物に空いた風穴が少なく被害は少ないが、やはり人はいなかった。そしてここまで来るまでにアズを探しながら歩いていたが、遭遇することもなかった。
「オリバの店、あそこだよね?」
「……あぁ」
 オリバが全力で走り出す。私もそれについて行ってオリバの店の前につくと、そこは奇妙ななにかで覆われていた。
 触れてみると私の指に静電気が走ったような衝撃があり、質感は硬くてつるつるしている。何かの防御魔法?

「……もしかしたら!おい母さん!いるかぁー!!!!!!」
「メーベルさぁぁん!!!!!!!!」
 一通り叫んだところで、メーベルさんが従業員用の扉から転がり出てきた。……生きてた!!!!!!!
 私は歓喜の声を上げると、謎の防御魔法越しにオリバはメーベルさんに話しかけた。

「母さん、無事!?」
「オリバ!良かった、またあえて良かったぁ!私は無事よ!あなた達も無事そうで本当に良かったわぁ…」
 涙目のメーベルさんは防御魔法に触れると、これなんなのかしら…とコンコン叩く。どうやら内側には静電気が発生しないようだ。
「待ってろ、今解除する」
「そんなことできんの?」
「そりゃ、俺の防御魔法だからな」
「えっ、それってどういう──」
 俺の防御魔法?どういうこと?という疑問を口にするまもなく、その防御魔法はオリバの魔力に反応し崩れ落ちた。ガシャーン、パリンという派手な音を立てている。大規模な結界のようだ。

「ふたりとも、中に入りなさい。あとちょっと手を貸してほしいの」
「なんですか?」
「この中にいたお客さん二人が怪我してるのよ。一人はかすり傷程度だからうちの薬でなんとかなるけど、もう一人は右手首が吹っ飛んじゃったの。私が回復魔法をかけるから、手伝って!」
 メーベルさんに引っ張られるように室内に入ると、従業員用の階段を登らせてもらう。メーベルさんが扉を開けた先には、予想外の人の顔があった。

作者メッセージ

右手首が吹っ飛んじゃったって、なかなかのパワーワードですよね。
シリアス展開続きます。

2026/04/07 06:27

すい
ID:≫ 0.LEY4vV85UM2
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