君へ
伝えたい、人がいるんだ。
ある少年は意地を張って言えなかった謝罪を、ある女性は眠れないほどの心配と眠れないほどの安堵を、ある少女は秘め続けてきた叶うことのない想いを、ある男性はポケットの中で光る永遠の誓いを。
大切な人に、好きと言うためだけに彼らは走り出した。届く可能性を信じて、伝われという願いを信じて、腕を伸ばした。
受け身じゃ始まらないと言うことに今更気がついたから。全力でぶつかりたいと思ったから。
──直感が近づいてくる。
別れの時間が近づいた朝に、こちらに戻ってきた昼に、夕暮れの『さよなら』の寸前に、星が降る聖なる日の前夜に。
様々な気持ちを抱えたまま、伸ばした腕が届く。触れた瞬間、まだ終わっていないと心が叫ぶ。怖気付いた自分の心に鞭を打ち、口を開く。
──今じゃないかもしれない。
嫌いと叫んだ後悔だらけの夕暮れ、いなくなってしまう恐怖に怯えた夜、心臓を打つ笑顔がこちらを見た朝、覚悟を決めて電話をした昼。
これを考えると、動かずにはいられない。精一杯考えても好きを伝えるしかいい方法が思いつかない。理屈は捨てて、感情のままに。
──でも、今言わなかったら遠のいてしまうかもしれない。
この言葉に、伝えることに、全てを賭けて。
言わないと始まらないし、言わないと終わらない。終わりを惜しんでも、始まりを惜しんでも、運命のカラクリは廻ったままだとしたら。
「修、俺は──」
「美代!私──」
「颯太、うちさ──」
「ねぇ、綾香──」
そうして、彼らは伝えた。
自分勝手に“言う”のではなく“伝えた”。
少年は植物状態になった弟に、女性は意識を取り戻した友人に、少女はもうすぐ卒業する大好きな人に、男性は三年間ずっとそばにいてくれた恋人に。
その結末がどうだったかは、これからの彼らしか知らない。
ある少年は意地を張って言えなかった謝罪を、ある女性は眠れないほどの心配と眠れないほどの安堵を、ある少女は秘め続けてきた叶うことのない想いを、ある男性はポケットの中で光る永遠の誓いを。
大切な人に、好きと言うためだけに彼らは走り出した。届く可能性を信じて、伝われという願いを信じて、腕を伸ばした。
受け身じゃ始まらないと言うことに今更気がついたから。全力でぶつかりたいと思ったから。
──直感が近づいてくる。
別れの時間が近づいた朝に、こちらに戻ってきた昼に、夕暮れの『さよなら』の寸前に、星が降る聖なる日の前夜に。
様々な気持ちを抱えたまま、伸ばした腕が届く。触れた瞬間、まだ終わっていないと心が叫ぶ。怖気付いた自分の心に鞭を打ち、口を開く。
──今じゃないかもしれない。
嫌いと叫んだ後悔だらけの夕暮れ、いなくなってしまう恐怖に怯えた夜、心臓を打つ笑顔がこちらを見た朝、覚悟を決めて電話をした昼。
これを考えると、動かずにはいられない。精一杯考えても好きを伝えるしかいい方法が思いつかない。理屈は捨てて、感情のままに。
──でも、今言わなかったら遠のいてしまうかもしれない。
この言葉に、伝えることに、全てを賭けて。
言わないと始まらないし、言わないと終わらない。終わりを惜しんでも、始まりを惜しんでも、運命のカラクリは廻ったままだとしたら。
「修、俺は──」
「美代!私──」
「颯太、うちさ──」
「ねぇ、綾香──」
そうして、彼らは伝えた。
自分勝手に“言う”のではなく“伝えた”。
少年は植物状態になった弟に、女性は意識を取り戻した友人に、少女はもうすぐ卒業する大好きな人に、男性は三年間ずっとそばにいてくれた恋人に。
その結末がどうだったかは、これからの彼らしか知らない。
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