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54342様の『闇に堕ちる勇者』のネタバレを含みます。
──あ。
放課後、授業から解放された制服を着た同級生が喋りながら教室を出ていく。ちゃんと消されているはずなのにチョークの跡が残る黒板をぼんやりと見つめていると、日直がチョークを日付の位置に滑らせた。
12月19日。その数字を見て、つい口から声がこぼれ落ちた。
別に区切りのいい数字なわけでもなく、誰かの誕生日でもない。俺は明日の日付となる12月19日に、なぜか特別感を抱いていた。こんなことは生まれて初めてだ。
机の上に肘を乗せ、机の上に直に乗っていた頭を手首の辺りに乗せてぼぉっとしていると、頭の上から声が降ってきた。
「[漢字]朝陽[/漢字][ふりがな]アサヒ[/ふりがな]、どうしたの?」
「……[漢字]花蓮[/漢字][ふりがな]カレン[/ふりがな]か」
手の熱で溶けていく柔らかい氷のような、落ち着いた声が俺──[漢字]黛 朝陽[/漢字][ふりがな]マユズミ アサヒ[/ふりがな]の名前を呼ぶ。しばらく自分が呼ばれていることに気が付かずフリーズしていたが、振り向いてその声に応じた。
──[漢字]氷室 花蓮[/漢字][ふりがな]ヒムロ カレン[/ふりがな]。俺の数少ない友人の一人で、学校一の美女と名高い。彼女の南極以上に冷たい視線をもろにくらって新しい扉を開いた者も少なくないと聞く。
同級生からは花蓮がどうやって俺に心を許したのかと詰められる毎日だが、街中で路地裏に連れ込まれそうになったところを救出したら仲良くなったとしか言いようがない。
そう話すと、あいつらはいつも『結局運ゲーかよ!』とがっかりして帰っていく。
「大丈夫?体調悪い?」
「ちょっとぼんやりしてただけだ。………[漢字]雷都[/漢字][ふりがな]ライト[/ふりがな]は?」
いろいろなことを考えていると、花蓮は心配そうに俺の正面に回ってくる。
なんとなく忘れていたが、今日はちょっとした集会の日だ。メンバーは俺と花蓮、そして俺の幼馴染である[漢字]小鳥遊 雷都[/漢字][ふりがな]タカナシ ライト[/ふりがな]とここから電車で一駅行ったところにある女子校に通う女子高生だ。
「扉のところで待ってる。早くしてあげて、ほら──」
噂をすれば、花蓮が指差した方に俺たちを迎えにきた小鳥遊雷都の姿が見える。大量の女子に絡まれて側から見ればハーレム状態だが、彼自身は顔を耳まで真っ赤にして硬直している。心なしかちょっと涙目だ。
そうだった、あいつの女子耐性は絶望的だった。というか恋愛耐性がないんだった。
「……そうだな、あれは早く行ったほうがいい」
「でしょ?」
瀕死の雷都を助けるため、早急に鞄を背負うと彼の元へ向かう。この場合は俺が先頭で歩くと、まるで聖書のモーセの海割りのように道が開けるので不思議だ。ちょっと楽しいとか言ったら花蓮に後頭部を思いっきり叩かれるかもしれないので、喉元まで出かかった言葉をしれっと引っ込める。
「 雷都、大丈夫?」
「………大、丈夫だ…」
人混みをかき分けて花蓮が声をかけると、時が動き出したようにホッとした顔をして返事をした。しばらく話していると、周りの女子は少しずつ引いてきて雷都の表情も明るくなっている。
いくら女子が苦手とはいえ普通はこうはならないのだが、これは雷都の持病の合併症によるものだ。どうしようもない。
完全に女子がいなくなると彼はすっかり通常運転に戻る。何とも不思議な病だが、俺も人のことを言えない。
気を取り直し、俺たち三人は駅前のファミレスへ向かった。
放課後、授業から解放された制服を着た同級生が喋りながら教室を出ていく。ちゃんと消されているはずなのにチョークの跡が残る黒板をぼんやりと見つめていると、日直がチョークを日付の位置に滑らせた。
12月19日。その数字を見て、つい口から声がこぼれ落ちた。
別に区切りのいい数字なわけでもなく、誰かの誕生日でもない。俺は明日の日付となる12月19日に、なぜか特別感を抱いていた。こんなことは生まれて初めてだ。
机の上に肘を乗せ、机の上に直に乗っていた頭を手首の辺りに乗せてぼぉっとしていると、頭の上から声が降ってきた。
「[漢字]朝陽[/漢字][ふりがな]アサヒ[/ふりがな]、どうしたの?」
「……[漢字]花蓮[/漢字][ふりがな]カレン[/ふりがな]か」
手の熱で溶けていく柔らかい氷のような、落ち着いた声が俺──[漢字]黛 朝陽[/漢字][ふりがな]マユズミ アサヒ[/ふりがな]の名前を呼ぶ。しばらく自分が呼ばれていることに気が付かずフリーズしていたが、振り向いてその声に応じた。
──[漢字]氷室 花蓮[/漢字][ふりがな]ヒムロ カレン[/ふりがな]。俺の数少ない友人の一人で、学校一の美女と名高い。彼女の南極以上に冷たい視線をもろにくらって新しい扉を開いた者も少なくないと聞く。
同級生からは花蓮がどうやって俺に心を許したのかと詰められる毎日だが、街中で路地裏に連れ込まれそうになったところを救出したら仲良くなったとしか言いようがない。
そう話すと、あいつらはいつも『結局運ゲーかよ!』とがっかりして帰っていく。
「大丈夫?体調悪い?」
「ちょっとぼんやりしてただけだ。………[漢字]雷都[/漢字][ふりがな]ライト[/ふりがな]は?」
いろいろなことを考えていると、花蓮は心配そうに俺の正面に回ってくる。
なんとなく忘れていたが、今日はちょっとした集会の日だ。メンバーは俺と花蓮、そして俺の幼馴染である[漢字]小鳥遊 雷都[/漢字][ふりがな]タカナシ ライト[/ふりがな]とここから電車で一駅行ったところにある女子校に通う女子高生だ。
「扉のところで待ってる。早くしてあげて、ほら──」
噂をすれば、花蓮が指差した方に俺たちを迎えにきた小鳥遊雷都の姿が見える。大量の女子に絡まれて側から見ればハーレム状態だが、彼自身は顔を耳まで真っ赤にして硬直している。心なしかちょっと涙目だ。
そうだった、あいつの女子耐性は絶望的だった。というか恋愛耐性がないんだった。
「……そうだな、あれは早く行ったほうがいい」
「でしょ?」
瀕死の雷都を助けるため、早急に鞄を背負うと彼の元へ向かう。この場合は俺が先頭で歩くと、まるで聖書のモーセの海割りのように道が開けるので不思議だ。ちょっと楽しいとか言ったら花蓮に後頭部を思いっきり叩かれるかもしれないので、喉元まで出かかった言葉をしれっと引っ込める。
「 雷都、大丈夫?」
「………大、丈夫だ…」
人混みをかき分けて花蓮が声をかけると、時が動き出したようにホッとした顔をして返事をした。しばらく話していると、周りの女子は少しずつ引いてきて雷都の表情も明るくなっている。
いくら女子が苦手とはいえ普通はこうはならないのだが、これは雷都の持病の合併症によるものだ。どうしようもない。
完全に女子がいなくなると彼はすっかり通常運転に戻る。何とも不思議な病だが、俺も人のことを言えない。
気を取り直し、俺たち三人は駅前のファミレスへ向かった。
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