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54342様の『闇に堕ちる勇者』のネタバレを含みます。
──あ!
無骨な機械類や怪しい魔道具、大量の本が四畳半の部屋にはち切れそうなほど詰まっている。床に散乱した謎の紙類の様子は足の踏み場もないという言葉がぴったりで、所々それを踏んづけて転んだ跡が見えた。
エアコンはしっかり効いているのに暑苦しい印象を残すこの部屋で、滑って転んだのか先ほどまで積み重ねてあったであろう本の雪崩に埋もれかけている少女が声を上げた。
彼女は書類を振り払って立ち上がり、部屋の隅っこから何ともとれない怪しい物体を取り出した。こちらからは顔が見えないが、相当焦った様子でその大破した何かを掲げる。
どうやら先ほど上げた声はこけたときの悲鳴ではなくこれが壊れたことへの悲鳴だったようだ。
「…やっちまった……最悪…」
この場に誰も来ないとわかりきっている少女は、独り言用の少々毛羽立った声を唇から落とす。輪郭が曖昧な言葉が部屋に溶け切る前に、彼女は床に転がっているノートパソコンを起動しペタンと床に座り込んだ。
「うわー……システム逝っちゃってるな…あ、ここもダメ…」
ぶつぶつ呟きながら数十分キーボードを叩いていたが、めんどくさくなってしまったのか真後ろにぶっ倒れる。使い古したくすんだ青のクッションにちょうどよく頭が着地し、散乱した紙類がくしゃくしゃになる音がした。
「これからシステム作り直す時間もないし……仕方ない、自業自得だな…」
そういうと彼女はノートパソコンを開いたまま部屋を出ていき、二十分くらいして部屋に戻ってきた。雑にドアを開けた彼女は、街中で見かける中学生くらいの女の子の格好をしていた。
ボサボサの髪を櫛で解きながら部屋の床をほんの少しだけ片付けると、床下収納の扉のようなものが現れる。彼女が櫛をどこにしまおうか迷っているうちに、傍に寄せただけの紙類の上で派手に──しかも二回も転んでしまったので、櫛はその拍子に吹っ飛んだ。
「あれ待って櫛……まぁいっか、後で探そ」
気を取り直し床に現れた扉の持ち手に手をかけると、『ふんっ!』と気合を入れて扉を開ける。ギギギ……と重苦しい音を立てて開いたその古風な扉を開きっぱなしにして、先ほど壊してしまった何かを持ってきた。
扉の中は深い穴になっていて、ハシゴがかかっていた。ところどころ明かりはついているが、数が少なすぎて心許ない。
少女は先ほど大破した何かを全部持って行こうとしたが断念し、何個かのかけらをポケットに入れると慣れた様子で穴に入りハシゴに足をかける。数段下がった後、扉の内側についた持ち手を掴んでゆっくり戸をしめた。
誰もいなくなってしまった部屋のノートパソコンには、穴に入っていった少女と対面するある四人の姿があった。
無骨な機械類や怪しい魔道具、大量の本が四畳半の部屋にはち切れそうなほど詰まっている。床に散乱した謎の紙類の様子は足の踏み場もないという言葉がぴったりで、所々それを踏んづけて転んだ跡が見えた。
エアコンはしっかり効いているのに暑苦しい印象を残すこの部屋で、滑って転んだのか先ほどまで積み重ねてあったであろう本の雪崩に埋もれかけている少女が声を上げた。
彼女は書類を振り払って立ち上がり、部屋の隅っこから何ともとれない怪しい物体を取り出した。こちらからは顔が見えないが、相当焦った様子でその大破した何かを掲げる。
どうやら先ほど上げた声はこけたときの悲鳴ではなくこれが壊れたことへの悲鳴だったようだ。
「…やっちまった……最悪…」
この場に誰も来ないとわかりきっている少女は、独り言用の少々毛羽立った声を唇から落とす。輪郭が曖昧な言葉が部屋に溶け切る前に、彼女は床に転がっているノートパソコンを起動しペタンと床に座り込んだ。
「うわー……システム逝っちゃってるな…あ、ここもダメ…」
ぶつぶつ呟きながら数十分キーボードを叩いていたが、めんどくさくなってしまったのか真後ろにぶっ倒れる。使い古したくすんだ青のクッションにちょうどよく頭が着地し、散乱した紙類がくしゃくしゃになる音がした。
「これからシステム作り直す時間もないし……仕方ない、自業自得だな…」
そういうと彼女はノートパソコンを開いたまま部屋を出ていき、二十分くらいして部屋に戻ってきた。雑にドアを開けた彼女は、街中で見かける中学生くらいの女の子の格好をしていた。
ボサボサの髪を櫛で解きながら部屋の床をほんの少しだけ片付けると、床下収納の扉のようなものが現れる。彼女が櫛をどこにしまおうか迷っているうちに、傍に寄せただけの紙類の上で派手に──しかも二回も転んでしまったので、櫛はその拍子に吹っ飛んだ。
「あれ待って櫛……まぁいっか、後で探そ」
気を取り直し床に現れた扉の持ち手に手をかけると、『ふんっ!』と気合を入れて扉を開ける。ギギギ……と重苦しい音を立てて開いたその古風な扉を開きっぱなしにして、先ほど壊してしまった何かを持ってきた。
扉の中は深い穴になっていて、ハシゴがかかっていた。ところどころ明かりはついているが、数が少なすぎて心許ない。
少女は先ほど大破した何かを全部持って行こうとしたが断念し、何個かのかけらをポケットに入れると慣れた様子で穴に入りハシゴに足をかける。数段下がった後、扉の内側についた持ち手を掴んでゆっくり戸をしめた。
誰もいなくなってしまった部屋のノートパソコンには、穴に入っていった少女と対面するある四人の姿があった。
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