【ファンタジスタ・シンドローム】

 友人のライバルとなるため一生を懸けて凡人を超えた少女は、自然の理に逆らわなかった。

 戦友を追いかけ続け死ぬ気で龍人となった少女は、人間として生きることを選択した。
 幼馴染と肩を並べるため生存を信じて龍人となった少年は、人間として死ぬことを選択した。
 
 かつて世界を滅ぼしかけた勇者として歴史上に名を刻んだ魔人は、寿命が存在しなかった。
 誰かの友人であり、戦友であり、幼馴染であったその魔人は、心だけ人間のまま自らを自らの手で殺めてしまった。

──生きるのにも、もう飽きた。
 強烈な痛みと近づいてくる死にそう強がると、空を見上げる。
「………かみ、さま」
 だんだんぼやけていく視界に映る普段と何も変わらない空に、彼は最後の“一生のお願い”をした。

 その願いを偶然にも観てしまった一人は、お世辞にも早いとは言えない鈍臭い足ぶりである人物のもとへ走っていった。
──『彼らを、ちょっとだけ借りてもいいですか』

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