私の姉、シャノン=ウォーカーは情けない。
「おら、起きろ!!!!」
「あと3日ぁ…」
朝に弱くて、隠し事が苦手で、綺麗で色々大きいお姉さんが大好き。あとシスコン。
妹である私、アズール=ウォーカーが言うのだから間違いない。
私の家には何故か両親がいない。
どこを辿っても、思い出そうとしても、いつも視界の中にいるのはシャノンのみ。
思い出そうとすればするほど、肝心な部分にモヤがかかって見えない。どうにもスッキリしない。
そのことをシャノンに尋ねても、いつものようにへにゃっと笑って誤魔化される。
シャノンは嘘をつくのが苦手だ。嘘をついている時はいつも、溶けてしまいそうなほど口元を緩めへにゃっと笑う。
誤魔化しだというのはわかっている。なのに、核心を突く事ができない。
年数が経てば経つほど、シャノンは武術にのめり込んでいく。
ただひたすらに強くなることを求めているのか、果たして何か目的があるのか。
何年も参加している武闘大会で負けた際も、悔しがることはせず困ったように笑っていた。
今年は強敵を破り念願の初優勝を果たしたが、いつもの笑顔の裏に何かが隠れているように見えた。その正体を見破ることはできなかったが。
──ガチャ。
玄関から軋んだ音が聞こえる。
王様が住む宮殿に行っていたシャノンが帰ってきた。
「ただいまぁ!」
「おかえり、シャノン。何もらったの?」
「…あぁ、これこれ。」
そう言って彼女が見せたのは、拳に装着する攻撃威力を高める爪だ。
こんな時でも武闘脳か…と思いシャノンの顔をみると、粘性の高い液体のように口元を綻ばせていた。
嘘を、ついている。
シャノンがそこまで隠したがっているものはなんなのか。わからない。
「あぁそうだ。今日は疲れたからもう寝ていい?」
「うん。夕飯残してくれてありがとう。私がやったらコゲ炭になんだよなぁ…」
「ちょっとは料理できるようになってよ…」
喜怒哀楽に富んだシャノンを寝室に押し込むと、扉を閉じた。
[水平線]
シャノンの寝室の扉を、薄く開ける。
彼女は煙色の目を閉じて、大汗をかいて眠っていた。眉間に皺を寄せたまま小さく唸っている。
私が今からやろうとしていることは、悪いことだ。
だが、それ以上にもうシャノンの苦しい嘘を見ていられない。
罪悪感を片手に、シャノンが帰宅した際に持っていたカバンを開く。
カバンの中にあるのは一際目を引く重厚感のある爪、彼女が寝る前に見せてもらったものだ。
そして奥に入っていたのは、煤とコゲだらけの──
「…魔導書?」
開くと、ページがくっついていたのかパリパリという音がする。
子供向けに絵がたくさん入った可愛らしい魔導書だ。ところどころに文字が書かれている。
「…ぅ…」
うめくシャノンに驚き、肩がびくりと反応する。
だが、彼女の口からでた言葉は寝言のようだった。
「…おと…、さん…おかあ…ん…」
うわごとのように呼んだのは、この生活にかけらも存在しなかった父と母だ。
「いか…ぃで…死なな…いで…」
うぅ、と汗を増やすシャノンに近寄ると、目の横を伝っていた涙を小さく拭った。
知ってしまった。いや、忘れていただけだ。
私とシャノンの両親は、もう。
「……やっと、わかった…」
起こさないように、小さく口の中でつぶやいた言葉は、暗い部屋に吸い込まれたのか全く響くことはなかった。
「おら、起きろ!!!!」
「あと3日ぁ…」
朝に弱くて、隠し事が苦手で、綺麗で色々大きいお姉さんが大好き。あとシスコン。
妹である私、アズール=ウォーカーが言うのだから間違いない。
私の家には何故か両親がいない。
どこを辿っても、思い出そうとしても、いつも視界の中にいるのはシャノンのみ。
思い出そうとすればするほど、肝心な部分にモヤがかかって見えない。どうにもスッキリしない。
そのことをシャノンに尋ねても、いつものようにへにゃっと笑って誤魔化される。
シャノンは嘘をつくのが苦手だ。嘘をついている時はいつも、溶けてしまいそうなほど口元を緩めへにゃっと笑う。
誤魔化しだというのはわかっている。なのに、核心を突く事ができない。
年数が経てば経つほど、シャノンは武術にのめり込んでいく。
ただひたすらに強くなることを求めているのか、果たして何か目的があるのか。
何年も参加している武闘大会で負けた際も、悔しがることはせず困ったように笑っていた。
今年は強敵を破り念願の初優勝を果たしたが、いつもの笑顔の裏に何かが隠れているように見えた。その正体を見破ることはできなかったが。
──ガチャ。
玄関から軋んだ音が聞こえる。
王様が住む宮殿に行っていたシャノンが帰ってきた。
「ただいまぁ!」
「おかえり、シャノン。何もらったの?」
「…あぁ、これこれ。」
そう言って彼女が見せたのは、拳に装着する攻撃威力を高める爪だ。
こんな時でも武闘脳か…と思いシャノンの顔をみると、粘性の高い液体のように口元を綻ばせていた。
嘘を、ついている。
シャノンがそこまで隠したがっているものはなんなのか。わからない。
「あぁそうだ。今日は疲れたからもう寝ていい?」
「うん。夕飯残してくれてありがとう。私がやったらコゲ炭になんだよなぁ…」
「ちょっとは料理できるようになってよ…」
喜怒哀楽に富んだシャノンを寝室に押し込むと、扉を閉じた。
[水平線]
シャノンの寝室の扉を、薄く開ける。
彼女は煙色の目を閉じて、大汗をかいて眠っていた。眉間に皺を寄せたまま小さく唸っている。
私が今からやろうとしていることは、悪いことだ。
だが、それ以上にもうシャノンの苦しい嘘を見ていられない。
罪悪感を片手に、シャノンが帰宅した際に持っていたカバンを開く。
カバンの中にあるのは一際目を引く重厚感のある爪、彼女が寝る前に見せてもらったものだ。
そして奥に入っていたのは、煤とコゲだらけの──
「…魔導書?」
開くと、ページがくっついていたのかパリパリという音がする。
子供向けに絵がたくさん入った可愛らしい魔導書だ。ところどころに文字が書かれている。
「…ぅ…」
うめくシャノンに驚き、肩がびくりと反応する。
だが、彼女の口からでた言葉は寝言のようだった。
「…おと…、さん…おかあ…ん…」
うわごとのように呼んだのは、この生活にかけらも存在しなかった父と母だ。
「いか…ぃで…死なな…いで…」
うぅ、と汗を増やすシャノンに近寄ると、目の横を伝っていた涙を小さく拭った。
知ってしまった。いや、忘れていただけだ。
私とシャノンの両親は、もう。
「……やっと、わかった…」
起こさないように、小さく口の中でつぶやいた言葉は、暗い部屋に吸い込まれたのか全く響くことはなかった。
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