街中がお祭り騒ぎの中、俺──ジーナは頭を抱えていた。
「そんなに悩むんだったら、二つとも持ってったら?」
ジーナ「いや、これは多分一つに絞らないといけない。」
「やっぱ頑固だね…」
小さな屋根裏部屋──ジーナの自室に並んだ二つの杖。
知り合いの武器屋で新調した割と安い杖を持っていくか、父に張り切って渡された高価な杖を持っていくか…この二択で俺は悩んでいる。
屋根裏にいた喋るメスネズミ、ポルクスも呆れていると思うが、これは俺の今後に関わる。
ポルクス「まぁ使いやすい方持っていったら?」
ジーナ「どちらかといえば武器屋で買ったやつの方が手に馴染む感じして使いやすいんだよなぁ…これにするか…」
そう言って金の縁取りがされたシラカバの杖をしまい、黒檀の先が赤い杖を選ぶ。
ポルクス「ほら、時間ないんだから窓から出て行きなさい。これ、箒。」
ジーナ「ありがとう。うっし、行くか。」
窓を開けると、箒に立つようにして空へ飛ぶ。
ポルクスがしっかり窓を閉めてくれていることを願いながら、体制を正した。
風が当たって気持ちがいい。やはり俺は箒が好きだ。
魔法学園に近づくにつれ、風に混じる花びらの量が多くなる。
綺麗な演出だとは思うが、視界が狭まるから危ないんだけど…
魔法学園が見えてくる。
ヴェルアーのテーマカラーである水のような蒼色の屋根が目立つ。
城のようなその外観に思わずたじろぐが、試験の際に一回来たじゃないか。
この学園は箒以外の立ち入りはかなり困難だ。試験内容として学園の校舎内にたどり着くというものがあるほどに。
実際ボロボロになってしまったが、5番手くらいについたので合格判定になった。
学園の中は魔法の使用が制限されていて、先生の許可があった場合や使える場所でしか使えない。
箒の着地点に着陸すると、とりあえず飛び降りる。
箒を持ってうろうろしていると、見知った顔が目に入った。
だが、その顔がとてつもなく嫌なものだったので目を逸らす。
「おい、そこのオマエ、なぜ目を逸らす。」
ジーナ「お前に一番最初に会うとか不運の塊かもしれん。」
不機嫌そうなこの男はラダク。俺の一つ上──つまり、ヴェルアー魔法学園の2年生であり、女好きのクソだ。
ラダク「その不機嫌さと口の悪ささえ直せば俺が貰ってやる──」
腹が立つこの低い声に、反射で体が動く。
近くの壁にラダクを追い詰め、側から見れば壁ドンしている状態だ。
ラダク「お?なんだ?急に俺様の魅力に気がついたか?貰ってやらんでもないが──」
ジーナ「拳じゃ、足りなかったようだな。」
ラダクはこの前も年上の美人を無理やり口説こうとしており、ジーナが拳と炎で止めた記憶がある。
ラダクの足の間に膝を差し込む。
ジーナ「二つあるんだから、一つくらい潰しても問題ないよな?」
不思議と上がった口角のままラダクの顔面を眺める。
彼はことの重大さに気がついたのか、真っ青になっていた。
ラダク「あ〜、すまんすまん。なんでもない。ごめんなさい。」
ジーナ「動くな。動いたら……両方とも潰す。」
何をとは言わない。が、ラダクの弱点というか全男性の弱点というか…
ラダク「ごめんなさい許して」
ジーナ「よろしい。」
しおしおと細くなってしまったラダクを置いていくと、そのまま校舎に足を進めた。
「そんなに悩むんだったら、二つとも持ってったら?」
ジーナ「いや、これは多分一つに絞らないといけない。」
「やっぱ頑固だね…」
小さな屋根裏部屋──ジーナの自室に並んだ二つの杖。
知り合いの武器屋で新調した割と安い杖を持っていくか、父に張り切って渡された高価な杖を持っていくか…この二択で俺は悩んでいる。
屋根裏にいた喋るメスネズミ、ポルクスも呆れていると思うが、これは俺の今後に関わる。
ポルクス「まぁ使いやすい方持っていったら?」
ジーナ「どちらかといえば武器屋で買ったやつの方が手に馴染む感じして使いやすいんだよなぁ…これにするか…」
そう言って金の縁取りがされたシラカバの杖をしまい、黒檀の先が赤い杖を選ぶ。
ポルクス「ほら、時間ないんだから窓から出て行きなさい。これ、箒。」
ジーナ「ありがとう。うっし、行くか。」
窓を開けると、箒に立つようにして空へ飛ぶ。
ポルクスがしっかり窓を閉めてくれていることを願いながら、体制を正した。
風が当たって気持ちがいい。やはり俺は箒が好きだ。
魔法学園に近づくにつれ、風に混じる花びらの量が多くなる。
綺麗な演出だとは思うが、視界が狭まるから危ないんだけど…
魔法学園が見えてくる。
ヴェルアーのテーマカラーである水のような蒼色の屋根が目立つ。
城のようなその外観に思わずたじろぐが、試験の際に一回来たじゃないか。
この学園は箒以外の立ち入りはかなり困難だ。試験内容として学園の校舎内にたどり着くというものがあるほどに。
実際ボロボロになってしまったが、5番手くらいについたので合格判定になった。
学園の中は魔法の使用が制限されていて、先生の許可があった場合や使える場所でしか使えない。
箒の着地点に着陸すると、とりあえず飛び降りる。
箒を持ってうろうろしていると、見知った顔が目に入った。
だが、その顔がとてつもなく嫌なものだったので目を逸らす。
「おい、そこのオマエ、なぜ目を逸らす。」
ジーナ「お前に一番最初に会うとか不運の塊かもしれん。」
不機嫌そうなこの男はラダク。俺の一つ上──つまり、ヴェルアー魔法学園の2年生であり、女好きのクソだ。
ラダク「その不機嫌さと口の悪ささえ直せば俺が貰ってやる──」
腹が立つこの低い声に、反射で体が動く。
近くの壁にラダクを追い詰め、側から見れば壁ドンしている状態だ。
ラダク「お?なんだ?急に俺様の魅力に気がついたか?貰ってやらんでもないが──」
ジーナ「拳じゃ、足りなかったようだな。」
ラダクはこの前も年上の美人を無理やり口説こうとしており、ジーナが拳と炎で止めた記憶がある。
ラダクの足の間に膝を差し込む。
ジーナ「二つあるんだから、一つくらい潰しても問題ないよな?」
不思議と上がった口角のままラダクの顔面を眺める。
彼はことの重大さに気がついたのか、真っ青になっていた。
ラダク「あ〜、すまんすまん。なんでもない。ごめんなさい。」
ジーナ「動くな。動いたら……両方とも潰す。」
何をとは言わない。が、ラダクの弱点というか全男性の弱点というか…
ラダク「ごめんなさい許して」
ジーナ「よろしい。」
しおしおと細くなってしまったラダクを置いていくと、そのまま校舎に足を進めた。