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⚠︎注意
ショッキングな内容や暴力表現を含む話があります。
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こちらは私の雨連れシリーズのまとめ+特別編が収録されています。
最初の2話は見たことがある人もいるかもしれません。

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雨を連れる光の子たち

#1

雨連れの少年

疲れた。


今までこんなに疲れたことがあっただろうか。いや、無い。

もう全てに疲れてしまった。
もちろん、人生にも。



初めは良かった。
前の学校から転校してきて、新しい場所や方言に慣れようと奮闘した。



友達も着実に増えていったが、一つ難点があった。

クラスの中心人物である女子───[漢字]豊坂[/漢字][ふりがな]とよさか[/ふりがな]さん。
彼女は自分が中心じゃ無いと気が済まない性格のようで、私に意地悪をしてきた。


それでも、まだ耐えることができた。



問題はそれからだ。


豊坂さんの幼馴染に、なぜか告白されてしまったのだ。

もちろん断ったが、次の日上靴に画鋲が入っていた。

シャーペンが無くなり、国語の教科書も姿を消した。
前の学校で、友達がお金を出し合ってプレゼントしてくれた、キーホルダーも。


一番酷かったのは、女子トイレでの出来事だ。
カッターで顔に傷をつけられた。

「お前が居なければ!!」

頬の辺りの痛みと、彼女が必死で叫んでいる姿は、今でも脳裏に焼き付いている。



誰にも訴えることができず、誰も味方をしてくれない。



それも今日で終わりだ。

屋上の欄干に手をかけ、今日で最後の景色を眺める。




夕陽に照らされ茜色に染まる街を見て、少し命が惜しくなる。

ポツリと、頬に雫が当たる。


上を見上げると、そこには、人がいた。

10歳くらいの、年端も行かない少年だ。


雲の上に立ち夕陽を見据えている。



小さい頃、おばあちゃんから聞いたことがある。
空に選ばれた人間のこと。

確か、『アマヅレ』と言った。



ぼーっとしていると、少年が走り出す。

私なんかより速い、乗っている雲の端から落っこちてしまうのでは無いかというスピードで。


彼の足元に雲が広がり、空いた所から光が差し込む。
雲の隙間から放射状に光が広がる姿は、カーテンのようだった。

光に照らされ、ひたすら走り続ける少年は、神様か何かのように見えた。

やがて、雨が降り始める。


まだ少し漏れている光に雨が反射して、ダイヤモンドのようにキラキラ輝く。

その美しさが、私をこの世に引き留めているようで、涙が出る。

死んでしまいたい、何もかも無くなって仕舞えばいい。
そんな言葉を包み込むように雨の量が多くなり、光が閉じていく。


だんだんと見えなくなる少年と光の姿を、雨の雫が写していた。



私は、まだここにいていいの?

率直な疑問が口から出て、涙か雨かわからなくなってしまった顔を拭う。



疲れてしまった私は、用無しじゃないの?まだ、ここにいていいの?


溢れかえる感情の中から、一番古い記憶が流れる。

──おばあちゃん、あまづれにあったことあるの?
 ──あぁ、あるよ。
──え!どうやって?
 ──雨連れは、あの世に近い人しか見ることができない。だから、病気の時に来てくれた…懐かしいねぇ…


『[漢字]雨連れ[/漢字][ふりがな]アマヅレ[/ふりがな]』。あなたは──、


私の所にも、来てくれたの?




やっと、心が決まった。


ビリビリに破かれたノートを抱き抱え、足を校舎の方に向ける。





もう雨連れを見ることは無いだろう。

確信に近い何かを噛み締めながら、新しい人生の一歩を踏み出した。


2025/05/10 20:00

すい
ID:≫ 0.LEY4vV85UM2
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