そうして城内では追いかけっこ、どれくらいの騒ぎなのかを例えるならトムとジェリーと言ったところか。
その追いかけっこももうすぐ終わる事になる。
「さてと」
「ここに逃げたならもうどこにも行けないはずだよ」
彼女を捕まえる為に色々な部屋を荒らし回ってしまったが、そこは物置部屋だ。
あそこに逃げた以上、もう逃げれない。
部屋には換気用に窓はあるが少し高めで彼女の身長じゃ届くか届かないくらいの位置だ。
しかし油断はしてはいけない。
あくまで「届くか届かないくらいの位置」だからね。
だから一息ついたあと、すぐにドアを開けた。
「う〜ん、どこにもいないね」
[下線]上[/下線]からその声を聞いた途端、ほっとしたのと同時に「作戦大成功!!」と思わず言いたくなるぐらいの嬉しさで舞い上がった。
[水平線]
遡る事、3分くらい前__
「やっばぁ......間違えて物置部屋に入っちゃったんだけど......」
あいつがあまりにも嫌いすぎて逃亡したのだけど、それこそ触れられた瞬間死んでもいいぐらいには嫌いなのだ。
ダッダッダッ
廊下から足音が段々近づいてくる。
「クッソッ!! あいつが近づいてるっていうのに!! 窓に手が届かない......」
タコ足から人間の足に変えて、ぴょんぴょん飛びながらなんとか窓を開けようと片腕の手を伸ばす。
「あと、もうちょい、なのに......」
その時思い付く。
「!! そうだこうすれば......」
私は自分の長い髪を水に変え、腕にさせる。
そうして窓に届くように背伸びする。
「これで......」
ガチャッ
窓の開く音がした。
「よっしゃ!!」
そうしてまた飛び降りようとしたのだが、ふと思った。
「このまま逃げてもいずれバテて捕まるのでは?」
そう、人外だって体力というパラメーターがある。
ちなみに私の体力はもう1よ。
うーん、どうしよ。飛び降りて走ったところでバテて確保って未来しか見えないわ。
という事で考えた。
「屋根に昇っちゃえ!!」
そう決めて足をタコ足に変えて登りやすくして登る。
「っふぅ〜......疲れたぁー」
そうして登った直後、ドアが開いた音が聞こえた。
[水平線]
そうして今に至るってわけ。
「あー、ちょっとハラハラしたけど見つかんなくて良かった〜」
そうホッとし__
「やあ」
背後から声がした。
「え」
振り返るとそこにはあいつが、[漢字]雷[/漢字][ふりがな]「騎士」[/ふりがな]が立っていた。
「うわあああぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
驚いて思わず後ずさったその時、
「あっ、ちょま」
ツルンと足が滑ってしまう!!
頭から落ちそうになり、思わず頭を水にする。
しかし咄嗟のことなので体まで水に出来ない。
そうして落ちそうになったその時、
「危ない!!」
あいつが私の手を握って、体を屋根に留めた。
「危ない!!」
私は屋根から落ちそうになった彼女の、「女王」の手を思わず掴んだ。
少し彼女の方へ傾いてしまったが、なんとか彼女を屋根に留める事が出来た。
なんとか彼女が助かった事に安心すると同時に、私なんかが「女王」に触れていいのだろうかと思ってしまう。
「ちょっと!! いきなりで驚いたじゃない!!」
怒ってる為か彼女の声はいつもより大きい。
「それは本当にすまない......」
「まあいいわ、とりあえず生きてる事だし。あんたに触られたのは気に食わないけど」
「それじゃあ、まだ不安定だし引っ張るね」
そう言って、えびぞり状態の彼女を掴んでいる手で引っ張り上げる。
そうして彼女の海のように深く美しい水色の髪を見ようと__
「ん?」
思わず声が出るほどの驚き。
それは。
彼女の首から先がないこと。
「えっ、あっ、はっ?」
驚きと恐怖が混ざった声が出る。
「ちょっとぉ!! 何やってんの!? 私はこっちなんだけど!!」
声が下から聞こえる。
恐る恐る屋根から見てみると、
地面に彼女の生首が横たわっていた。
「早くこっち来て!! 自分じゃ起き上がれないの!! ほら早く!! 今なら特別にあんたが触れるのは許すから!!」
......どうやら私は彼女を完璧に屋根に留める事が出来なかったらしい。
「あーあ!! 全く酷い目に遭ったわ!!」
「本当にすまない......君が後ろを向くまで待っておけばよかったよ」
「それもそれで怖いんだけど?」
私はあいつと自分の部屋に戻るまで話をしていた。
「というかなんで私が屋根にいるって分かったのよ、バレない自信があったんだけど」
「えっ、ああ。君の体力的に庭の真ん中で「止まるんじゃねぇぞ…」ってポーズでバテてると思ったからね」
「うわ体力把握してんのキモッ」
「泣いていいかな?」
「どちらでも。それで、私が庭にいないなら屋根に居るって事が分かったの? 普通に水になって床に潜ってるのかもしれないのに?」
「君自身そんな事を思いつかないからかなぁ」
「それ馬鹿にしてんの?」
「いや、正確には『あともう少しで捕まるという緊迫した状況に君の頭に咄嗟に思い付くはずがない』って言いたいんだよ」
「何言ってんのよ、そんなわけあるはず......」
あった。
普通にあった。
それはもう、始めの窓を飛び降りた事に引っ張られてた。
あいつを出し抜けた事に快感を覚えた事のせいなのか見事に引っ張られてた。
「ね? あっただろう?」
「でっ、でもあんたは私の事を守ってないじゃない!! むしろ私を落ちしかけたりしたじゃない!!」
私がそういうとあいつは
「......ああ......騎士なのに君を危険に晒してしまったし、君を完璧に屋根に留める事も出来なかったし......騎士を辞めようかな......」
「辞める、ね......」
本音は「どうぞどうぞ是非辞めて下さいませ!!」なのだが。
今ここで辞めさせたら取り返しがつかない事になりそうな気がする。
『今ここで辞めさせたら、あとで絶対後悔するよ』
誰かが、心の中の私がそう囁く。
ここでこの声の言う通りにしなければ辞めさせられる。
でも
「辞めるのはダメよ、絶対ダメ。辞めたいなら私を殺してみせなさい」
出来なかった。
なんでか。
それは
あの声に従わないのなら自分がなくなってしまうのじゃないか。
そんな、恐怖に襲われた。
「ええ、ああ、はあ......まあ君に辞めないでと言われている以上全力でやらなければね!!」
「まあ、うん......それじゃそれでお願いね」
というところで部屋に着いた。
「さあ!! ここであんたともここでお別れよ!!」
「そうだね、今日はここでお別れだね......でも明日迎えに行くから待っててほしいな!!」
「それは絶対いやだ!!」
「そうかい......まあそれでも迎えに行くけどね!!」
「チッ......って、ちょっと待って!? 『ワールドメモリアル』はっ!?」
逃げる前にやっていた譜面を思い出して、その譜面をやってたタブレットを見る。
「嘘でしょ......!?」
その画面には「GAMEOVER」とデカデカと現れている。
「なんで......」
そう言って私はタブレットを持ちながら俯く。
「あー、えっとぉ、その、ごめんね?どうも今日は人に対して配慮出来ないらしくて......」
「そうか、そうか、つまりあんたはクビになりたいと」
「数時間前に聞いたことあるような......じゃなくて待ってくれ!! さっき君は『辞めたいなら私を殺せ』と言ったよね? あれでナシになったんじゃないかい!?」
「あれはあくまであんたが辞めるって言ったからよ!! これは私があんたを辞めさせるのであってさっきのと無関係よ!!」
「それは屁理屈じゃないかなぁ......?」
「屁理屈だろうがなんだろうがあんたはクビ!!」
「そっ、そんなぁ......」
のちに「王」によってその命令は撤回されたが、しばらく「騎士」は心の底から悲しんで辞職するか迷ったそうな。
終わり
その追いかけっこももうすぐ終わる事になる。
「さてと」
「ここに逃げたならもうどこにも行けないはずだよ」
彼女を捕まえる為に色々な部屋を荒らし回ってしまったが、そこは物置部屋だ。
あそこに逃げた以上、もう逃げれない。
部屋には換気用に窓はあるが少し高めで彼女の身長じゃ届くか届かないくらいの位置だ。
しかし油断はしてはいけない。
あくまで「届くか届かないくらいの位置」だからね。
だから一息ついたあと、すぐにドアを開けた。
「う〜ん、どこにもいないね」
[下線]上[/下線]からその声を聞いた途端、ほっとしたのと同時に「作戦大成功!!」と思わず言いたくなるぐらいの嬉しさで舞い上がった。
[水平線]
遡る事、3分くらい前__
「やっばぁ......間違えて物置部屋に入っちゃったんだけど......」
あいつがあまりにも嫌いすぎて逃亡したのだけど、それこそ触れられた瞬間死んでもいいぐらいには嫌いなのだ。
ダッダッダッ
廊下から足音が段々近づいてくる。
「クッソッ!! あいつが近づいてるっていうのに!! 窓に手が届かない......」
タコ足から人間の足に変えて、ぴょんぴょん飛びながらなんとか窓を開けようと片腕の手を伸ばす。
「あと、もうちょい、なのに......」
その時思い付く。
「!! そうだこうすれば......」
私は自分の長い髪を水に変え、腕にさせる。
そうして窓に届くように背伸びする。
「これで......」
ガチャッ
窓の開く音がした。
「よっしゃ!!」
そうしてまた飛び降りようとしたのだが、ふと思った。
「このまま逃げてもいずれバテて捕まるのでは?」
そう、人外だって体力というパラメーターがある。
ちなみに私の体力はもう1よ。
うーん、どうしよ。飛び降りて走ったところでバテて確保って未来しか見えないわ。
という事で考えた。
「屋根に昇っちゃえ!!」
そう決めて足をタコ足に変えて登りやすくして登る。
「っふぅ〜......疲れたぁー」
そうして登った直後、ドアが開いた音が聞こえた。
[水平線]
そうして今に至るってわけ。
「あー、ちょっとハラハラしたけど見つかんなくて良かった〜」
そうホッとし__
「やあ」
背後から声がした。
「え」
振り返るとそこにはあいつが、[漢字]雷[/漢字][ふりがな]「騎士」[/ふりがな]が立っていた。
「うわあああぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
驚いて思わず後ずさったその時、
「あっ、ちょま」
ツルンと足が滑ってしまう!!
頭から落ちそうになり、思わず頭を水にする。
しかし咄嗟のことなので体まで水に出来ない。
そうして落ちそうになったその時、
「危ない!!」
あいつが私の手を握って、体を屋根に留めた。
「危ない!!」
私は屋根から落ちそうになった彼女の、「女王」の手を思わず掴んだ。
少し彼女の方へ傾いてしまったが、なんとか彼女を屋根に留める事が出来た。
なんとか彼女が助かった事に安心すると同時に、私なんかが「女王」に触れていいのだろうかと思ってしまう。
「ちょっと!! いきなりで驚いたじゃない!!」
怒ってる為か彼女の声はいつもより大きい。
「それは本当にすまない......」
「まあいいわ、とりあえず生きてる事だし。あんたに触られたのは気に食わないけど」
「それじゃあ、まだ不安定だし引っ張るね」
そう言って、えびぞり状態の彼女を掴んでいる手で引っ張り上げる。
そうして彼女の海のように深く美しい水色の髪を見ようと__
「ん?」
思わず声が出るほどの驚き。
それは。
彼女の首から先がないこと。
「えっ、あっ、はっ?」
驚きと恐怖が混ざった声が出る。
「ちょっとぉ!! 何やってんの!? 私はこっちなんだけど!!」
声が下から聞こえる。
恐る恐る屋根から見てみると、
地面に彼女の生首が横たわっていた。
「早くこっち来て!! 自分じゃ起き上がれないの!! ほら早く!! 今なら特別にあんたが触れるのは許すから!!」
......どうやら私は彼女を完璧に屋根に留める事が出来なかったらしい。
「あーあ!! 全く酷い目に遭ったわ!!」
「本当にすまない......君が後ろを向くまで待っておけばよかったよ」
「それもそれで怖いんだけど?」
私はあいつと自分の部屋に戻るまで話をしていた。
「というかなんで私が屋根にいるって分かったのよ、バレない自信があったんだけど」
「えっ、ああ。君の体力的に庭の真ん中で「止まるんじゃねぇぞ…」ってポーズでバテてると思ったからね」
「うわ体力把握してんのキモッ」
「泣いていいかな?」
「どちらでも。それで、私が庭にいないなら屋根に居るって事が分かったの? 普通に水になって床に潜ってるのかもしれないのに?」
「君自身そんな事を思いつかないからかなぁ」
「それ馬鹿にしてんの?」
「いや、正確には『あともう少しで捕まるという緊迫した状況に君の頭に咄嗟に思い付くはずがない』って言いたいんだよ」
「何言ってんのよ、そんなわけあるはず......」
あった。
普通にあった。
それはもう、始めの窓を飛び降りた事に引っ張られてた。
あいつを出し抜けた事に快感を覚えた事のせいなのか見事に引っ張られてた。
「ね? あっただろう?」
「でっ、でもあんたは私の事を守ってないじゃない!! むしろ私を落ちしかけたりしたじゃない!!」
私がそういうとあいつは
「......ああ......騎士なのに君を危険に晒してしまったし、君を完璧に屋根に留める事も出来なかったし......騎士を辞めようかな......」
「辞める、ね......」
本音は「どうぞどうぞ是非辞めて下さいませ!!」なのだが。
今ここで辞めさせたら取り返しがつかない事になりそうな気がする。
『今ここで辞めさせたら、あとで絶対後悔するよ』
誰かが、心の中の私がそう囁く。
ここでこの声の言う通りにしなければ辞めさせられる。
でも
「辞めるのはダメよ、絶対ダメ。辞めたいなら私を殺してみせなさい」
出来なかった。
なんでか。
それは
あの声に従わないのなら自分がなくなってしまうのじゃないか。
そんな、恐怖に襲われた。
「ええ、ああ、はあ......まあ君に辞めないでと言われている以上全力でやらなければね!!」
「まあ、うん......それじゃそれでお願いね」
というところで部屋に着いた。
「さあ!! ここであんたともここでお別れよ!!」
「そうだね、今日はここでお別れだね......でも明日迎えに行くから待っててほしいな!!」
「それは絶対いやだ!!」
「そうかい......まあそれでも迎えに行くけどね!!」
「チッ......って、ちょっと待って!? 『ワールドメモリアル』はっ!?」
逃げる前にやっていた譜面を思い出して、その譜面をやってたタブレットを見る。
「嘘でしょ......!?」
その画面には「GAMEOVER」とデカデカと現れている。
「なんで......」
そう言って私はタブレットを持ちながら俯く。
「あー、えっとぉ、その、ごめんね?どうも今日は人に対して配慮出来ないらしくて......」
「そうか、そうか、つまりあんたはクビになりたいと」
「数時間前に聞いたことあるような......じゃなくて待ってくれ!! さっき君は『辞めたいなら私を殺せ』と言ったよね? あれでナシになったんじゃないかい!?」
「あれはあくまであんたが辞めるって言ったからよ!! これは私があんたを辞めさせるのであってさっきのと無関係よ!!」
「それは屁理屈じゃないかなぁ......?」
「屁理屈だろうがなんだろうがあんたはクビ!!」
「そっ、そんなぁ......」
のちに「王」によってその命令は撤回されたが、しばらく「騎士」は心の底から悲しんで辞職するか迷ったそうな。
終わり