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【短編集】日常の話

#2

とある悪魔による日記

とある悪魔による日常を綴った、人間でいう日記に値する物であろうノートに書かれた重要な情報だけをここに載せる。




[斜体]4月12日

今日は私が若君に勉強を教える日。
若君は勉強が終わると決まって暇そうに窓から庭を眺めている。
「ねえ、なんで僕は外に行けないの?」
そう言った若君は酷く暇そうに、そして悲しそうな顔をしている。
「若君。あなたの体は人一倍弱いんです。そんな体で外に行こうものなら病気になります。苦しい思いをしたくないなら外に出ない事ですよ」
と私が言ってなんとかなだめた。[/斜体]



[斜体]5月18日

明日は若様と秘密裏に外へ一緒に行く日だ。
あれから一ヶ月散々ごねにごねられて折れてしまったが、
この事は旦那様には知らせていない。
しかし、若様から「もし外に行かせなければ、適当な事をお父様に言って君をクビにする」と言われてしまってはどうしようもない。
旦那様にバレなければいいが......[/斜体]



[斜体]11月23日

今までずっと思ってきたが若様を外に連れ出したあの日から、今日まで若様の様子が変だ。
もしや適当に連れて見た映画のせいか?
確かに子供に見せるにはやや......血が出過ぎたし、それに少し......怖すぎた。
その映画は見せた時は「しまった!!」と思ってしまったが、若様は魅入るように見ていたものだからてっきり大丈夫かと思ったのだが......
それに最近旦那様と奥様がよく喧嘩をするようになり、とても不安だ。[/斜体]



[斜体]12月25日

ああっ!! どうしようどうしよう......
旦那様と奥様が、お二人の自室で死んでしまっていた......
勿論すぐさま警察に通報したが、魔界では警察全員皆めんどくさがって、杜撰な捜査しかしない。
だからどうせ適当に当たり障りない事を言うだけだろう。
しかし、お二人の事を慕っていた私にはこの死は相当に受け入れがたい、いや受け入れられない物だ。
確かに旦那様も奥様も一ヶ月もの間、喧嘩ばかりをしていたがいくらなんでも......
だが私が見た状況はあまりにもその喧嘩のせいで起こったとしか思えないことだ。

まず奥様の手にはナイフを握られていた。
旦那様は何も握られていない。
そしてそのナイフはお二人の一族が誇る一級品のナイフであり、いつも壁に飾っておられる事を私は知っている。
そしてお二人の体にはかなりの刺し傷がある。

これで推測出来る事は、お二方の喧嘩が徐々にヒートアップしていった末に奥様は壁に飾ってらっしゃたナイフを握って旦那様をありとあらゆる場所にナイフを刺して殺した。
こうゆう経緯で旦那様は死んでしまったのだろう。
可哀想に......


しかしこうして頭の中にあったものをここへ吐き出すと急に疑問が浮かび上がってきた。

”旦那様がどうゆう風に死んだのかは分かるが奥様の方はどうやって死んだのか”
そもそも、「ありとあらゆる場所に刺されている時に隙をついて、旦那様が返り討ちとしてナイフを奪い奥様に同じ事をした後に力尽きた」と考えるならナイフは旦那様の手の中にないとおかしい。

逆に奥様と旦那様の立場が逆転していた上でこの推測を言うなら、だいぶキツイだろう。
なぜなら旦那様は力強く、反対に奥様は普通の力であったからだ。
いくら隙をつけたとしてもナイフを奪い取るのはだいぶ難しいという事は想像に難くない。
ならこうとしか考えられない。

「私よりも先に誰かが旦那様を殺した奥様を見つけて殺した上で喧嘩で殺し合いをしたという状況に偽装した」
それなら納得出来る。
きっと奥様は自らが旦那様を殺したせいでショックを受けていたのだろう。
ならそいつが奥様を殺す事も容易だろう。

しかし問題は誰が殺したか。
誰かが侵入した痕跡はない。
トレト、マリウス、セーレ。
同期の彼らの訳が無い。
彼らも私のようにお二人を慕っていたから。
それなら一体誰が......
......まさか。
いやまさかだ。
だって彼はそんな狂気的な行動に至るような思考を持つような歳ではない。
旦那様も奥様も彼を溺愛し、彼もお二人の事が大好きだった。
そんなわけが、そんなわけがない。





若様が。
奥様を殺した訳が無い。
そうだ。きっとそうだ。
だがもう半年以上__若様を外に連れて行ったあの日__前から若様の様子はおかしかった。
まるで昆虫を観察するような、そんな目つきで私達を見ていらっしゃって。
まるで愚かな人間達を見るように、高みの見物とでもいわんばかりの態度でいつもいらっしゃって。
気持ち悪かった。
大嫌いだった。
きっとそうだ。
若様が奥様を殺したのだ。
さっきまでこんな単純な事が頭の中で思い浮かばず、ここに書き出してから途端に思い浮かんだ。
若様はその歳で魔法や勉学に対しては非常に優秀なお方だ。
だから私になにか魔法を掛けたのだろう。
あの糞ガキが。
前からあることなすこと全部に口出しをして生意気だと思っていた。
いっそのこと奥様を殺したであろうあの糞ガキに対して報復として殺してやってもいいかもしれない。
今こうやって腸が煮えくり返っているから、死なない程度に腸を取り出してその腸を切りつけたりして泣かせてやるか?
それとも奥様と同じ殺し方で殺ってもいいかもしれない。

さて、どうやって殺してやろ
[/斜体]



と、書かれてある。

さて、最後の一文が完全に書かれていなかったが一体その悪魔はどうなったのだろうか。いや、どうなったんだろうね〜。

さて、改めまして、名乗ろうか。

僕の名前は「語り部」。

色んな世界の「童話」を君達に紡いでいる者。

それだけの者さ。

それにしても、悪魔さん一体どうしたんだろうね〜。

いきなり激おこぷんぷん丸になっちゃってさ〜。

最後あたりじゃ「死なないように腸を出して切りつける」とか「お母様と同じ殺し方にしてやる」とか怖すぎるよ!!

あ〜あ、気づかなければ「怒りの魔法」を掛けずにまた一緒に映画見ようと思ってたのにな〜。

まあ今更過去を振り返っちゃっても、しょうがないか!!

「いいか? 決して人生で後ろを向くんじゃないぞ? 振り向いたら余計な事を思ってしまうからな。だから前だけ見て進め。それが今このゲームを生き延びる為に、死んで後悔がないようにする唯一の方法だ」

って、僕が最初に見た映画で出てきた言葉なんだけど、いつもそうしてるんだよね〜。

まあ、それを言ったあの人は最終的に死んだ仲間の事、つまり後ろを向いちゃって死んじゃったんだけどね!!

いや〜、ほんと皮肉だよね〜。

自分で後ろを向くなって、言ったくせに最終的に自分自身が後ろ向いちゃってさw

まあ結果的に主人公に身を持ってその言葉がホントって事を、見せてあげれたんだし良かったか。

あー、ほんと今思い出しても笑っちゃうw

あの映画ホント良かった!!

自分の価値観を生まれ変わらせてくれたあの映画には今でも感謝だよ。

......あー、ごめんね。ついつい自分語りしちゃって。

まあ言い訳だけど、これが”僕”の童話といえる物だったからさ〜。

ほら、自分が主人公だとつい嬉しくてそれ関連を言っちゃうものでしょ?

それじゃあ、話はここで切り上げてさよならしようか。

じゃあ毎度恒例のあの言葉を。

それでは。

また君に会える事……即ち君に語れる事を祈ってさようなら。

作者メッセージ

えっ?「こんなに長いんだから短編じゃないって?」
いや、天下のグーグル先生曰く
「短編小説は一般的に4000字から40000字程度」といっていらっしゃったので
文字数2883字のこの小説は短編です。
誰がどう言おうと短編です()

2025/06/28 12:30

紅葉狩り
ID:≫ 041SeWM/cfQKs
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