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『ジョジョの奇妙な冒険:ゼロ・クロニクル ―静止する砂時計と鋼鉄の執行者―

#6

第6話:偽りの太陽と、零秒の恒星壊滅

[太字][大文字]1. 終わらない真昼[/大文字][/太字]
パキスタンからアラブ首長国連邦へと向かう砂漠のど真ん中。
空条承太郎一行は、異様な光景に立ち尽くしていた。
「やれやれだぜ……。時計の針は午後八時を回っているというのに、この日差しは何だ?」
承太郎は汗を拭うことさえせず、空に居座る巨大な「光の球」を睨みつけた。
気温は優に60度を超え、周囲の砂はガラスのように熱せられている。ジョセフはラクダの上で干物のように干からびかけ、ポルナレフは「鎧(スタンド)を脱ぎたい」と泣き言を漏らしていた。
佐藤匠人は、ヘッドホンを首にかけたまま、陽炎の中に立つ「違和感」を捉えていた。
「……承太郎、あれは太陽じゃない。奴の『意志』の熱量だ」
匠人が指さした先、空にはタロットカードの暗示を持つスタンド『太陽(ザ・サン)』が、狂ったような光を放ち続けていた。
「ヒヒヒヒ! 逃げ場はないぞ、ジョースター一行! この砂漠すべてがオーブンだ。お前たちはここで、こんがりと焼き上がるのを待つだけよ!」
どこからともなく響く、敵の本体の嘲笑。
直後、太陽から無数の「光のレーザー」が放たれた。
[太字][大文字]2. 灼熱の包囲網[/大文字][/太字]
「危ないッ!」
花京院の『ハイエロファントグリーン』がエメラルドスプラッシュで応戦しようとするが、光の速度には到底及ばない。レーザーは砂を爆発させ、一行を追い詰めていく。
「オラァッ!」
スタープラチナが飛来する光の弾丸を拳で弾くが、その熱量は承太郎の皮膚を焦がし始めていた。
「じじい、本体はどこだ!」
「分からん! 鏡の反射か何かで姿を隠しているようだが、この熱気では探す前にわしらが全滅してしまうぞ!」
ジョセフが焦燥に駆られる中、匠人が静かに前に出た。
彼の足元の砂は、既に『ゼロ・ディレイ』の影響で「熱」というエネルギーの振動を停止させ、冷たい結晶へと変わっていた。
「……承太郎、あんたは水でも飲んでな。あの『偽物の恒星』、俺が今すぐ叩き落としてやる」
「……匠人。光は音より速い。お前の『予約』が間に合う相手か?」
承太郎の問いに、匠人は冷徹な笑みを浮かべた。
「速さなんて関係ない。……俺が時を止めた瞬間、光もまた、ただの『静止した棒切れ』に過ぎないんだからな」
[太字][大文字]3. ゼロ・ディレイ:多重存在の天網[/大文字][/太字]
匠人の背後に、鏡面仕上げの装甲を持つ『ゼロ・ディレイ』が浮上する。そのSスペックの精密動作性は、光子の揺らぎさえも捉えていた。
「能力1――『ザ・ワールド』」
ドォォォォォォン……!
極彩色の砂漠から色が消え、世界は白黒の静寂に包まれた。
放たれたレーザー光線は、空中で黄金色の線となったまま静止し、揺らめく陽炎もまた、彫刻のように固まっている。
匠人は、止まった時間の中で、太陽へと向かって歩き出した。
「予約(プレ・オーダー):多重存在(残像)」
匠人は止まった時間の中で、広大な砂漠のあちこちへと瞬時に移動した。
彼の通った軌跡には、実体を持った『ゼロ・ディレイ』の残像が次々と固定されていく。
一人、十人、百人。
砂漠の地平線すべてを埋め尽くすほどの『ゼロ・ディレイ』が、空に浮かぶ「太陽」を包囲するように配置された。
「お前は、太陽のつもりで天から見下ろしていたようだが……。俺の『予約』の中では、お前はただの、逃げ場のない的だ」
匠人は、全ての残像に同時攻撃の命令を刻み込んだ。
「時は動き出す」
[太字][大文字]4. 砂漠を貫く無駄無駄ラッシュ[/大文字][/太字]
カチリ。
時が動き出した瞬間、砂漠の熱気を一瞬で凍りつかせるほどの圧力が爆発した。
空を埋め尽くした数百体の『ゼロ・ディレイ』が一斉に拳を突き出す。
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!」
ドッ、ドォォォォォォォォン!!
物理的な距離を完全に無視した「因果の逆転」。
空の『太陽』は、地上からの打撃を受けていないはずなのに、その表面が内側から爆発するようにひしゃげ、光り輝く装甲が粉々に砕け散った。
「な……!? なぜだ、私は空に……! 誰にも届かない場所にいたはずだぁぁぁーっ!!」
本体の絶叫と共に、偽りの太陽は墜落した。
匠人が「既に撃ち落とされた」という結果を空中に固定したため、重力すら無視した破壊が成立したのだ。
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!!」
最後の一撃が、岩陰に隠れていた本体のデブな男を、砂の中へと深く叩き込んだ。
[太字][大文字]5. 執行の後の静寂[/大文字][/太字]
太陽が消え、砂漠には本来の夜の帳が降りた。
心地よい夜風が吹き抜け、一行は安堵の溜息を漏らす。
「……やれやれだぜ。あんなにあっさり『太陽』を壊しちまうとはな。お前のスタンド、本当に可愛げがねえぜ」
承太郎は帽子を直し、匠人の隣に立った。
「……可愛げなんて、DIOを倒した後に探すさ」
匠人は短く答え、再びヘッドホンを耳に当てた。
だが、その視線は、砂漠の向こうに広がる暗闇……次の刺客が潜む気配を、既に捉えていた。
ポルナレフが墜落した本体を見つけて、呆れたように笑う。
「おい見ろよ、この本体! こんな間抜けな奴に、俺たちは全滅させられそうになってたのか?」
「いや、ポルナレフ。……彼がいたから、私たちは全滅せずに済んだのだ」
花京院が匠人の背中を見つめ、静かに語った。
承太郎は、無言で匠人の肩を一度だけ叩くと、夜の砂漠を歩き始めた。
主人公としての道を突き進む承太郎。そして、その道にある障害を「零秒」で排除する、孤独な執行者・佐藤匠人。
二人の旅は、一時の休息を終え、再び熱き宿命の渦中へと戻っていく。
第6話 完:[下線][明朝体]残り42話[/明朝体][/下線]

2026/02/14 15:09

taku203503
ID:≫ 17/UklnAAecq6
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