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『ジョジョの奇妙な冒険:ゼロ・クロニクル ―静止する砂時計と鋼鉄の執行者―

#5

第5話:霧の葬送曲と、断罪の無駄無駄

[太字][大文字]1. 霧に消えた足音[/大文字][/太字]
パキスタンの国境を越え、一行が辿り着いたのは、地図にも載っていないような奇妙な静寂に包まれた小さな村だった。
一面を深い霧が覆い、数歩先を歩く仲間の背中すら、幽霊のようにぼやけて見える。
「やれやれだぜ。……この霧、ただの気象現象じゃあねえな。肺の奥まで凍りつくような、どす黒い殺気が混じっていやがる」
空条承太郎は、学ランのポケットに手を突っ込んだまま、霧の深淵を睨みつけた。
「承太郎、妙だぜ。街の連中の足音が……聞こえない。いや、『振動』が死んでるんだ」
佐藤匠人は、ヘッドホンを首にかけ、周囲の微細な震えを感知しようとしていた。本来なら、人が住んでいれば生活の鼓動があるはずだ。だが、この村にあるのは、死を待つような冷たい静止だけだった。
「おっほっほ……。ようこそ、旅のお方。こんな霧の夜に、よくぞお越しくださいました」
霧の向こうから現れたのは、杖をついた小柄な老婆――エンヤ婆だった。彼女の瞳の奥には、燃え盛るような狂気と、一行への凄まじい憎悪が隠されていた。
[太字][大文字]2. 操られる死者[/大文字][/太字]
村の宿に案内された一行だったが、異変はすぐに起きた。
ポルナレフがトイレに立った隙を狙われ、エンヤ婆のスタンド『ジャスティス(正義)』が牙を剥く。
「ヒヒヒッ! この霧そのものが私のスタンド! 一箇所でも傷を負えば、そこから霧が入り込み、お前たちの体は私の操り人形となるのだ!」
霧が実体化し、無数の死者たちがゾンビとなって承太郎たちを包囲する。ポルナレフの舌には穴が開けられ、無残にもエンヤ婆の意のままに操られていた。
「ポルナレフを離せ、このクソババア……!」
承太郎がスタープラチナを繰り出すが、霧の巨人は拳をすり抜け、逆に承太郎の腕に小さな傷をつけた。
「かかったね、承太郎! その傷口から霧を流し込んでやる! 貴様も、その生意気なガキも、DIO様の足元に転がる肉塊となれ!」
承太郎の動きが止まる。霧が神経に食い込み、右腕が勝手に自分自身の首を絞めようと動き出した。
「……承太郎、少し休んでな。あんたの『黄金の精神』が曇る前に、この腐った霧を払い除けてやる」
匠人が、霧の中から静かに歩み出た。
[太字][大文字]3. ゼロ・ディレイ:絶対先制の執行[/大文字][/太字]
「ほっほ! 威勢のいい小僧だ。だが、物理的な攻撃しかできぬ貴様に、この霧が倒せるかな?」
「物理的? ……あんた、勘違いしてるぜ。俺のスタンドに『通じないもの』なんて存在しない。……概念だろうが、幽霊だろうが、俺が殴ると決めたら、それは既に『砕けている』んだよ」
匠人の背後に、冷徹な輝きを放つ『ゼロ・ディレイ』が顕現する。
「能力1――『ザ・ワールド』」
ドォォォォォン……!
空間がモノクロームに染まり、立ち込める霧さえもが、硬質な水晶のようにその場で固まった。
匠人は、止まった時間の中で、霧の本体――エンヤ婆の背後に立つ「霧の巨人」を見据える。
普通のスタンド使いなら、実体のない霧に苦戦する。だが、匠人の能力は「因果の逆転」だ。
「予約(プレ・オーダー):絶対先制(アンストッパブル)」
匠人は止まった時間の中で、エンヤ婆の脳内に「恐怖」を直接予約した。
さらに、霧の巨人の核となる部分に対し、『ゼロ・ディレイ』の拳を無数に配置していく。
「お前が『霧を操ろう』と意識する瞬間……その思考より先に、俺の拳がお前の精神を粉砕する結果を固定した」
「時は動き出す」
[太字][大文字]4. 概念破壊の無駄無駄ラッシュ[/大文字][/太字]
カチリ。
時が動き出した瞬間、エンヤ婆は自分が何を見たのかさえ分からなかった。
「な……!? 霧が……私の『正義』が、物理的に……砕けるだと!?」
本来、霧は殴れない。だが、匠人の拳は「霧」という存在そのものを「壊れた結果」に強制上書きした。
次の瞬間、空前絶後のラッシュが霧の巨人とエンヤ婆を襲う。
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!」
ドッ、ドォォォォォォォォン!!
匠人の拳が振るわれるたびに、霧がガラス細工のように粉々に砕け、消滅していく。
エンヤ婆の肉体は、一発の衝撃も受けていないように見えたが、内部の精神エネルギーが「零秒」で完膚なきまでに叩き潰されていた。
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!!」
最後の一撃がエンヤ婆の魂を捉え、霧の村は一気に晴れ渡った。
[太字][大文字]5. 執行者の孤独と、絆[/大文字][/太字]
霧が消え、正気を取り戻したポルナレフが膝をつく。
「……助かったぜ、匠人。あやうく、自分の舌を噛み切るところだった」
承太郎は、自分の腕に付いた傷が、まるで最初から無かったかのように消えていることに気づく。匠人が「傷を負わなかった結果」へと時間を遡及させ、因果を書き換えたのだ。
「……やりすぎだぜ、匠人。お前、いつかその能力の代償を払うことになるぞ」
承太郎は帽子を直し、鋭い目で匠人を見つめた。
「……代償なら、DIOの首で払ってやるさ」
匠人は冷たく言い放つが、その指先は微かに震えていた。Sスペックのスタンドを極限まで行使することの負荷は、確実に彼の精神を削っている。
ジョセフが二人の間に割って入った。
「まあまあ! 結果オーライだ。さあ、パキスタンの旨い飯でも探すとしようじゃないか!」
一行は、霧が晴れた道を再び歩き始める。
承太郎という揺るぎない背中。そして、その影で運命を零秒で執行する匠人。
二人の「時」を巡る物語は、DIOの潜むエジプトへ向けて、さらなる加速を始める。
第5話 完:[下線][明朝体]残り43話[/明朝体][/下線]

2026/02/14 15:05

taku203503
ID:≫ 17/UklnAAecq6
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