1987年、日本の地方都市。
空条承太郎が「悪霊」に取り憑かれたと自称し、自ら留置場に入ってから数日が経過していた。
その異様な噂を、佐藤匠人はヘッドホンの音量を上げながら聞いていた。匠人には分かっていた。それは悪霊などではない。自分の中に眠る「それ」と同じ、精神のエネルギーが形を成した存在……『スタンド』であることを。
匠人の背後に佇むスタンド、『[太字]ゼロ・ディレイ[/太字]』。
その姿は、全身が磨き抜かれたクロームシルバーの装甲に覆われ、関節の至る所に精密な時計の歯車が組み込まれた、静謐かつ威圧的な人型だ。
そのスペックは、破壊力、スピード、精密動作性――そのすべてにおいて、既存の概念を遥かに超越した「[太字]規格外のS[/太字]」。
「……見に行かなきゃならねえ。俺と同じ『色』を持つ男を」
匠人は吸い寄せられるように、承太郎のいる留置場へと向かった。
そこには、承太郎を連れ出そうとする祖父、ジョセフ・ジョースターと、その友人モハメド・アヴドゥルの姿があった。アヴドゥルのスタンド『マジシャンズ・レッド』が炎を放ち、承太郎の「悪霊」を無理やり引きずり出そうとする。
「オラァッ!!」
承太郎の背後から現れた紫色の巨神が、鉄格子をひしゃげさせ、炎を素手で叩き伏せる。
その凄まじいパワーとスピードに、隠れて見ていた匠人の血が騒いだ。
「(これが……空条承太郎。だが、奴のスタンドよりも……俺の『ゼロ・ディレイ』の方が、より『本質』に近い場所にいる)」
その時、ジョセフが匠人の気配に気づいた。
「そこにいるのは誰だ! 出てきなさい!」
匠人は隠れるのをやめ、堂々と廊下に姿を現した。
「……佐藤匠人だ。あんたたちのやっていることは、ただの喧嘩には見えないんでね」
「貴様……見えるのか? この『スタンド』が」
アヴドゥルが警戒の視線を向ける。
「ああ、見える。それどころか……俺の中にも『それ』はいる」
匠人が一歩踏み出した瞬間、留置場の空気が凍りついた。
承太郎が、鋭い眼光で匠人を射抜く。
「フン……。どいつもこいつも、気色の悪い化け物を見せびらかしやがって。……おい、そこのガキ。お前もその『悪霊』で、俺をここから出そうってのか?」
「いや。俺はただ、あんたの力を確かめたいだけだ」
匠人の言葉が終わるか終わらないかの瞬間、アヴドゥルが動いた。
「試させてもらうぞ、少年の実力を!」
『[太字]マジシャンズ・レッド[/太字]』の炎が、匠人の周囲を包囲するように放たれる。
だが、匠人は動かない。
いや――「動く必要がなかった」。
「能力1――『[太字][大文字]ザ・ワールド[/大文字][/太字]』」
匠人が静かに呟くと同時に、世界の色彩が反転した。
音が消え、炎の揺らめきが静止画のように固まる。ジョセフの驚愕の表情も、承太郎の瞬きさえも、すべてが止まった。
止まった時の中で、匠人はゆっくりとアヴドゥルの背後へ歩を進める。
しかし、彼はただ移動しただけではなかった。
「能力2――『[太字][大文字]ゼロ・ディレイ(遅延なき執行)[/大文字][/太字]』」
匠人が指を鳴らす。
止まった時間の中で、匠人はアヴドゥルのスタンドの喉元に軽く手刀を当てる「動作」を行う。
本来なら、時が動き出してからダメージが伝わるはずだ。だが、この能力は「結果」を先に上書きする。
「時は動き出す」
カチッ、と時計の針が動く音がした。
次の瞬間、アヴドゥルは自分が攻撃を仕掛けようとした記憶を保ったまま、「既に喉元に打撃を受け、後ろに弾き飛ばされている結果」に直面した。
「がはっ……!? な、何が起きた……。防御する暇も……意識する空白すら無かったぞ……!」
アヴドゥルが膝をつく。ジョセフは絶句した。
「ば……馬鹿な。今、何が起きた? 時が飛んだのか? いや、それとも……」
承太郎だけは、帽子を深く被り直し、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「……やれやれだぜ。とんでもねえ化け物がいたもんだ。おい、じじい。俺はこいつと一緒にエジプトへ行くことに決めたぜ」
承太郎は、匠人の持つ底知れない力……「時を止める」という自分と同じ、あるいはそれ以上の資質を直感的に悟っていた。
「エジプト……? 承太郎、お前、DIOのことを……」
ジョセフの問いに、承太郎は匠人を見つめたまま答える。
「こいつがいりゃあ、100年の呪いとやらも、コンマ数秒で終わりそうだ。……佐藤匠人と言ったな。お前のその『ゼロ・ディレイ』、道中で退屈しのぎに見せてもらうぜ」
「……ああ。俺も、あんたの『黄金の精神』ってやつに、少し興味があるんだ」
こうして、史上最強のスタンド『[太字]ゼロ・ディレイ[/太字]』を持つ佐藤匠人は、空条承太郎という男の背中を追い、DIOを倒すための50日の旅に同行することとなった。
承太郎が主人公として道を切り開き、匠人がその「遅延なき執行」で運命を上書きする。
かつてない、圧倒的な旅が今、始まった。
空条承太郎が「悪霊」に取り憑かれたと自称し、自ら留置場に入ってから数日が経過していた。
その異様な噂を、佐藤匠人はヘッドホンの音量を上げながら聞いていた。匠人には分かっていた。それは悪霊などではない。自分の中に眠る「それ」と同じ、精神のエネルギーが形を成した存在……『スタンド』であることを。
匠人の背後に佇むスタンド、『[太字]ゼロ・ディレイ[/太字]』。
その姿は、全身が磨き抜かれたクロームシルバーの装甲に覆われ、関節の至る所に精密な時計の歯車が組み込まれた、静謐かつ威圧的な人型だ。
そのスペックは、破壊力、スピード、精密動作性――そのすべてにおいて、既存の概念を遥かに超越した「[太字]規格外のS[/太字]」。
「……見に行かなきゃならねえ。俺と同じ『色』を持つ男を」
匠人は吸い寄せられるように、承太郎のいる留置場へと向かった。
そこには、承太郎を連れ出そうとする祖父、ジョセフ・ジョースターと、その友人モハメド・アヴドゥルの姿があった。アヴドゥルのスタンド『マジシャンズ・レッド』が炎を放ち、承太郎の「悪霊」を無理やり引きずり出そうとする。
「オラァッ!!」
承太郎の背後から現れた紫色の巨神が、鉄格子をひしゃげさせ、炎を素手で叩き伏せる。
その凄まじいパワーとスピードに、隠れて見ていた匠人の血が騒いだ。
「(これが……空条承太郎。だが、奴のスタンドよりも……俺の『ゼロ・ディレイ』の方が、より『本質』に近い場所にいる)」
その時、ジョセフが匠人の気配に気づいた。
「そこにいるのは誰だ! 出てきなさい!」
匠人は隠れるのをやめ、堂々と廊下に姿を現した。
「……佐藤匠人だ。あんたたちのやっていることは、ただの喧嘩には見えないんでね」
「貴様……見えるのか? この『スタンド』が」
アヴドゥルが警戒の視線を向ける。
「ああ、見える。それどころか……俺の中にも『それ』はいる」
匠人が一歩踏み出した瞬間、留置場の空気が凍りついた。
承太郎が、鋭い眼光で匠人を射抜く。
「フン……。どいつもこいつも、気色の悪い化け物を見せびらかしやがって。……おい、そこのガキ。お前もその『悪霊』で、俺をここから出そうってのか?」
「いや。俺はただ、あんたの力を確かめたいだけだ」
匠人の言葉が終わるか終わらないかの瞬間、アヴドゥルが動いた。
「試させてもらうぞ、少年の実力を!」
『[太字]マジシャンズ・レッド[/太字]』の炎が、匠人の周囲を包囲するように放たれる。
だが、匠人は動かない。
いや――「動く必要がなかった」。
「能力1――『[太字][大文字]ザ・ワールド[/大文字][/太字]』」
匠人が静かに呟くと同時に、世界の色彩が反転した。
音が消え、炎の揺らめきが静止画のように固まる。ジョセフの驚愕の表情も、承太郎の瞬きさえも、すべてが止まった。
止まった時の中で、匠人はゆっくりとアヴドゥルの背後へ歩を進める。
しかし、彼はただ移動しただけではなかった。
「能力2――『[太字][大文字]ゼロ・ディレイ(遅延なき執行)[/大文字][/太字]』」
匠人が指を鳴らす。
止まった時間の中で、匠人はアヴドゥルのスタンドの喉元に軽く手刀を当てる「動作」を行う。
本来なら、時が動き出してからダメージが伝わるはずだ。だが、この能力は「結果」を先に上書きする。
「時は動き出す」
カチッ、と時計の針が動く音がした。
次の瞬間、アヴドゥルは自分が攻撃を仕掛けようとした記憶を保ったまま、「既に喉元に打撃を受け、後ろに弾き飛ばされている結果」に直面した。
「がはっ……!? な、何が起きた……。防御する暇も……意識する空白すら無かったぞ……!」
アヴドゥルが膝をつく。ジョセフは絶句した。
「ば……馬鹿な。今、何が起きた? 時が飛んだのか? いや、それとも……」
承太郎だけは、帽子を深く被り直し、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「……やれやれだぜ。とんでもねえ化け物がいたもんだ。おい、じじい。俺はこいつと一緒にエジプトへ行くことに決めたぜ」
承太郎は、匠人の持つ底知れない力……「時を止める」という自分と同じ、あるいはそれ以上の資質を直感的に悟っていた。
「エジプト……? 承太郎、お前、DIOのことを……」
ジョセフの問いに、承太郎は匠人を見つめたまま答える。
「こいつがいりゃあ、100年の呪いとやらも、コンマ数秒で終わりそうだ。……佐藤匠人と言ったな。お前のその『ゼロ・ディレイ』、道中で退屈しのぎに見せてもらうぜ」
「……ああ。俺も、あんたの『黄金の精神』ってやつに、少し興味があるんだ」
こうして、史上最強のスタンド『[太字]ゼロ・ディレイ[/太字]』を持つ佐藤匠人は、空条承太郎という男の背中を追い、DIOを倒すための50日の旅に同行することとなった。
承太郎が主人公として道を切り開き、匠人がその「遅延なき執行」で運命を上書きする。
かつてない、圧倒的な旅が今、始まった。