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鋼鉄の時空:ミッドウェー1942(第二次世界大戦編)

#19

最終話:鋼鉄の黎明

ベルリン、総統地下壕での銃声は、第二次世界大戦という名の「旧世紀の悪夢」を、歴史の断崖で無理やり引きちぎる終止符となった。
ヒトラーが倒れ、新枢軸の軍事機構が瓦解した。だが、そこには安易な勝利の喜びはなく、ただ圧倒的な「未来」の力に沈黙する世界だけが残されていた。
[太字][大文字]第1章:武装解除の儀式[/大文字][/太字]
1943年晩夏。ドイツ・キール軍港。
護衛艦「はぐろ」を先頭に、多機能型護衛艦「しなの」、空母型護衛艦「いずも」「かが」、そしてイージス艦「あたご」「あしがら」「まや」が、整然と入港した。
岸壁には、武装を解除されたドイツ海軍の生き残りや、米英の将校たちが、言葉を失ってその威容を見つめていた。最新鋭のレーダー、ステルス形状の艦体、そして電磁カタパルト。それらは、もはや「兵器」という概念を超え、別の文明の産物のように見えた。
「艦長、全欧州の枢軸軍、ならびにソ連軍より正式な停戦文書が届きました。……戦争は、終わりました」
「はぐろ」の艦橋で報告を受けた匠人三等海佐は、深く椅子に体を預け、大きく息を吐いた。
「……我々が持ち込んだ技術が、この時代の時計の針を数十年分、強引に飛ばしてしまったな」
[太字][大文字]第2章:2026年式・東京講和会議[/大文字][/太字]
数ヶ月後、日本列島。
2026年の姿のままこの時代に定着した「未来の日本」は、世界中のあらゆる指導者、技術者、思想家たちにとっての聖地となった。
東京・帝国ホテル。そこにはルーズベルト、チャーチル、そして日本側の山本五十六らが集結していた。匠人もまた、軍事顧問としてその末席に座っていた。
「匠人少佐」
ルーズベルトが、穏やかな、しかし重い口調で語りかけた。
「君たちは、この世界を救い、同時に変えすぎてしまった。我々アメリカは、君たちの技術を恐れている。だが、それ以上に……君たちが示す『平和な未来』という希望を信じたいと思っている」
匠人は、2026年の自衛官として、背筋を伸ばして答えた。
「我々自衛隊は、この世界を支配するつもりはありません。……我々が望むのは、ただ一つ。この1943年から始まる歴史が、二度とあのような悲惨な戦火に包まれないことです。そのための『技術』と『理念』を、私たちは世界に共有する準備があります」
[太字][大文字]第3章:鋼鉄の番人たち[/大文字][/太字]
講和会議の結果、日本(2026年勢力)を中心とした「地球平和維持機構」が設立された。
自衛隊は元の時代に帰る「紫の嵐」を待つのをやめた。あの時空の裂け目は二度と現れず、彼らはこの1943年の世界で生きていくことを選んだのだ。
「しなの」から発艦したF-2戦闘機は、もはや爆弾を積むことはない。彼らは「世界の平和の番人」として、空をパトロールし、紛争の火種をその圧倒的な電子戦能力で未然に摘み取っていく。
陸上自衛隊の10式戦車は、復興作業の重機とともに、欧州やアジアの瓦礫を撤去するためにその力を使っていた。
[太字][大文字]第4章:海に誓う[/大文字][/太字]
護衛艦「はぐろ」の甲板。
匠人は、隣に立つ山本五十六と共に、穏やかな太平洋を見つめていた。
「……匠人君。君たちの持ってきた『未来』は、我々には眩しすぎる」
山本が、かつての厳しい表情を崩し、微笑んだ。
「だが、おかげで私は、本来死ぬはずだった部下たちと共に、こうして海を眺めていられる。……感謝するよ」
「……いいえ、長官。私たちは、自分たちの『明日』を守りたかっただけです」
匠人の視線の先には、2026年製の護衛艦と、1943年製の米海軍駆逐艦が、同じ「国連」の旗を掲げて並走していた。
歴史は変わった。
本来の2026年がどうなったかは分からない。だが、この1943年の空には、二度とキノコ雲が上がることはなく、飢えや虐殺のない、全く新しい人類の物語が刻まれ始めようとしていた。
護衛艦「はぐろ」のレーダーが、どこまでも続く穏やかな海面を捉え続ける。
匠人たちは、この「新しい過去」の守護者として、鋼鉄の艦(ふね)と共に歩んでいく。

2026/02/13 10:25

taku203503
ID:≫ 17/UklnAAecq6
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