荒廃した世界を歩くだけ
意識が戻ってくる。
俺は一体いつから寝ているのだろう。記憶がまだ戻ってこない。
自分の上のほうで鳴っている機械音に気付く。上のほう、というより、全体から鳴っているのだろうか。
意識が戻ってくる。
確か、自分は「とある実験」に参加していた。機械音はそれだ。
次第に、人工の酸素ではなく、ちゃんとした大気の感じが伝わってきた。自分を囲う機械的な...機械が、開いたのだろう。
意識が戻ってくる。
目を開けると、空が目に映る。が、俺の知っているきれいな空ではなかった。
上体を起こすと、自分がカプセルの中に入っていたことに気づいた。確か...
そう。コールドスリープ。自分はコールドスリープの実験に参加していた。だから...
100年後だ。ここは100年後の世界だ。
時間を意識すると、意識と記憶が急速に戻ってくる。
意識と記憶が急速に戻ってくると、明らかな違和感に気付く。
周囲を見渡すと、自分のいたカプセルは野ざらしになっていて、周囲には瓦礫が。
明らかな違和感に気づくと、頭が働いてきた。
カプセルから出る。研究所だけではなく、周囲の建物も皆崩れ去っているのを見た。
100年前の記憶を頼りに、歩き出す。
こんな時でも、家に帰ろうと思った。
==============
歩き出してから大分時間が経ってきた。
周囲の様子が変わってきて、骨組みがかろうじて残ったビルが増えてきた。それに比例して、足元の瓦礫。
ここまで歩いても、人の気配はなかった。
もはやここまでくると絶望も感じなかった。ただ荒廃したこの世界を見ようと思った。
とぼとぼと歩いていると、都会だった場所を抜けて、ビルが少なくなってきた。
そこを右に曲がって、左手に見えてくるのが家。だった、もの。
自分の家だった場所に座ってみる。なんとなく安心感があった。
行ってみたい場所があった。海だ。こんな世界の海は綺麗だと思った。
昔。110年前に海に行った自転車のルートを思い出しながら、歩いた。
==============
皮肉にも、昔の海より綺麗な海だった。
あの時、友達と見た海よりも。
その友達も、「金持ちだから」って理由で仲良くされてたんだっけ。
それを思い出したら、なんだか白けてしまって、家に帰ることにした。
==============
今の世界は、昔よりも綺麗だ。
今、必死になって生存者を探せば、人間の文明は復活するかもしれない。
でも、そうしようと思わなかった。自分たちが生き残るより、世界が美しく在ったほうがいいと思った。
だから、僕はこの限りなく美しい世界を楽しもうと思った。最後の人間である僕が死ぬまで、
荒廃した世界を歩くだけ。
俺は一体いつから寝ているのだろう。記憶がまだ戻ってこない。
自分の上のほうで鳴っている機械音に気付く。上のほう、というより、全体から鳴っているのだろうか。
意識が戻ってくる。
確か、自分は「とある実験」に参加していた。機械音はそれだ。
次第に、人工の酸素ではなく、ちゃんとした大気の感じが伝わってきた。自分を囲う機械的な...機械が、開いたのだろう。
意識が戻ってくる。
目を開けると、空が目に映る。が、俺の知っているきれいな空ではなかった。
上体を起こすと、自分がカプセルの中に入っていたことに気づいた。確か...
そう。コールドスリープ。自分はコールドスリープの実験に参加していた。だから...
100年後だ。ここは100年後の世界だ。
時間を意識すると、意識と記憶が急速に戻ってくる。
意識と記憶が急速に戻ってくると、明らかな違和感に気付く。
周囲を見渡すと、自分のいたカプセルは野ざらしになっていて、周囲には瓦礫が。
明らかな違和感に気づくと、頭が働いてきた。
カプセルから出る。研究所だけではなく、周囲の建物も皆崩れ去っているのを見た。
100年前の記憶を頼りに、歩き出す。
こんな時でも、家に帰ろうと思った。
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歩き出してから大分時間が経ってきた。
周囲の様子が変わってきて、骨組みがかろうじて残ったビルが増えてきた。それに比例して、足元の瓦礫。
ここまで歩いても、人の気配はなかった。
もはやここまでくると絶望も感じなかった。ただ荒廃したこの世界を見ようと思った。
とぼとぼと歩いていると、都会だった場所を抜けて、ビルが少なくなってきた。
そこを右に曲がって、左手に見えてくるのが家。だった、もの。
自分の家だった場所に座ってみる。なんとなく安心感があった。
行ってみたい場所があった。海だ。こんな世界の海は綺麗だと思った。
昔。110年前に海に行った自転車のルートを思い出しながら、歩いた。
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皮肉にも、昔の海より綺麗な海だった。
あの時、友達と見た海よりも。
その友達も、「金持ちだから」って理由で仲良くされてたんだっけ。
それを思い出したら、なんだか白けてしまって、家に帰ることにした。
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今の世界は、昔よりも綺麗だ。
今、必死になって生存者を探せば、人間の文明は復活するかもしれない。
でも、そうしようと思わなかった。自分たちが生き残るより、世界が美しく在ったほうがいいと思った。
だから、僕はこの限りなく美しい世界を楽しもうと思った。最後の人間である僕が死ぬまで、
荒廃した世界を歩くだけ。
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