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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#87

第六章 真実(1)

 その日の[漢字]時庭[/漢字][ふりがな]ときにわ[/ふりがな]の邸は、荒れに荒れた。
 母に姉の不在が知られたのだ。母は怒り狂った。当然といえば当然だ。
「一体どういうことよ……! よそで恥を晒しているんじゃないでしょうね! 本当に迷惑でしかないんだから……!」
 [漢字]矛先[/漢字][ふりがな]ほこさき[/ふりがな]は[漢字]凱[/漢字][ふりがな]かい[/ふりがな]にも向いた。
「あなた、あの女を[漢字]唆[/漢字][ふりがな]そそのか[/ふりがな]したんじゃないでしょうね!?」
 一体、母は何を言っているのか。あんぐりと口を開けてしまった。
 とにかく、姉の部屋に行くことは叶わなかった。
 そそくさと部屋に引きこもったが、部屋の前で母が何か騒いでいた。
 それを無視しながら、自分の中で何かが無くなっていくのが感じられた。

 一月も終わりとなった日の夕方。
 そっと邸を抜け出して、凱は斎の家に向かっていた。
(結局、手鏡見つからなかったな……)
 こっそり使用人に言って探してもらったが、どこにも無かったという。
 姉が持っていってしまったのだろう。あの手鏡は亡き母を想起させる、と姉は言っていた。
(あとの手がかりは……?)
 姉の実母が暮らしていた離れくらいだろうか。ただ、そこは人に監視されていて、とても凱が出向けそうになかった。
(ん……?)
 [漢字]新代[/漢字][ふりがな]にいしろ[/ふりがな]神社の近くまで差し掛かったとき、近くに煙が高く大きく昇っているのが見えた。
(火事……? 確か、あの場所は———)
 前に、夏祭りがあったところのあたりだ。[漢字]馨[/漢字][ふりがな]かおる[/ふりがな]と、初めて会った場所。
 斎の家に行くのは後にして、その場所へ駆け出した。

(確かここのあたりに屋台とかがあって……)
 きょろきょろと周りを見回しながら歩く。
(———そうだ。ここのあたりで———)
 盆踊りはやっていないかと気になったのだ。
(それから、どうやって歩いたっけ)
 よく思い出せないものの、煙のあるところを目指して歩いた。
 だんだんと煙が近くなっていく。
 何かが崩れる音と、[漢字]轟々[/漢字][ふりがな]ごうごう[/ふりがな]と炎が燃える音が時折耳をかすめた。
 妖怪や武装した男をちらほら見かけた。
 それでもどこか景色に見覚えがあるような気がして、足を踏みしめて歩く。
 それに比例するように、まばらではあるが妖怪や武装男もどんどん増えていく。
 彼らに見つからないように、ときどき隠れながら進んだ。
 そして。
「あれ……? ここって———」
 思わず、言葉を漏らした。木の生い茂った、小さな林のような場所。
『あそこには来ないで。——俺たちの場所だから』
 馨の声が脳裏を蘇る。
 間違いない。二回目に馨と会ったところだ。さらに記憶が鮮明に蘇る。
 さらに歩いて、馨と会ったところであろう場所に行きついた。
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2025/10/23 08:39

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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