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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#82

第五章 異変(16)

「凱の迎え、遅くね? 大丈夫? 戸井もだけど」
 斎が畳の上で寝転がりながらつぶやく。
「大丈夫」
「僕も平気だよ」
 ほとんど同時に答えた。
 もう辺りは黄昏時だった。あの後、事件を聞きつけた親たちがちらほらと迎えに来た。
 それと時を同じくして、先に飛び降りて逃げていった子たちとも神社で再会したが、探しに行っていた夕癸は帰ってこなかった。
 そしていまだに、凱や戸井君の迎えは来ない。自分で帰ろうかと言ったら、危険だからと夏にあえなく却下された。
 戸井君は、親が凱の父がいる屯所で働いているので、龍二が屯所に戻るまでそこから動けないらしい。
 最終的に、残ったのは新代神社を家としている斎と、凱と戸井君と蓮だけとなった。
「[漢字]夕癸[/漢字][ふりがな]ゆうき[/ふりがな]も、何やってんだろな〜。入れ違いになったのか?」
 蓮がぼやく。
「そのまま帰ってっちゃったんじゃない?」
 戸井君がのんびりと言う。
「はい!? それは困るよー、こっちはずっと待っているんだよ」
 蓮が天を仰ぐ。
「そうだねえ」
 戸井君は相変わらずのんびりとうなずく。
「そもそも、俺たち今 家らしい家がない状態だし」
 それなら、蓮の親戚かもしれない馨たちはどうしているのだろうか。
「家なき子?」
「そうそう……って俺は子どもじゃねー、ピッチピチの二十四歳じゃ〜」
 ピッチピチとはなんだろうか、ピッチピチとは。
「年齢はどうでもいいとして、家ないの? 大丈夫? なんかあったん?」
「いやー、闘いの場と化してしまった」
「は? 闘い?どゆこと?」
「どゆことって……。いや、いい! この話はおしまい!」
 強制的に話を打ち切られてしまった。
 その夜は、そのまま新代神社で過ごした。
 夕癸と世里、そしてあの年長者の男性は結局、亡くなったことが分かった。

[水平線]
 翌朝、凱は帰ることにした。
 妖怪についてはもう大丈夫だろうと夏と蓮が判断したからだ。
「とりあえず俺、ついてくわ」
 蓮がそう名乗り出た。
 ちなみに、蓮は 凱が時庭家の跡取りであることは知っていた。親戚に聞いた、とだけ言われた。その『親戚』は、馨たちのことで間違いないだろう。
 蓮に、百鬼家の人間か、と思い切って聞いたところ、肯定も否定もされなかった。
 仲間を一度に四人亡くしたことについて、とても落ち込んでいるようだった。
 凱たちが逃げた後、教室にいた泥の妖怪は世里が[漢字]祓[/漢字][ふりがな]はら[/ふりがな]ったものの、さらにもう一体妖怪が現れたらしい。
 太刀打ち出来ず、世里たちは亡くなった。先に逃げた子を送り届けた後に仲間の様子を見に行ったという夕癸も、亡くなってしまった。
『強い子』が来たのは夕癸が襲われた直後だったという。
 彼———または彼女も、救援が間に合わずに相当辛かっただろう。
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2025/10/19 17:43

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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