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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#81

第五章 異変(15)

 どうやって決まったのか、ただの雰囲気だけで決まったのか、いつの間にか斎を先頭にして新代神社へ向かっていた。
 ばたばたと鳥居を抜けた。そのあとも拝殿の近くまで走り、ようやくそこで足を止めた。
「とりあえず新代神社に来たけど……大丈夫なのかな?」
「知らねーよ、隠れるところならたくさんありそうだろ」
 あまりないと思う、と凱は心の中でつぶやく。
「ていうか最初に飛び降りてった奴らどこ行った?」
 少しだけでも安心したのか、みんな口々に話し出す。
「んなもん知るか!」
「先に逃げてった奴らも心配だけど、最後に一人残された女の人は大丈夫なのか?」
「確かに」
 二人の方を見る。
「ああ、世里さんか。……こればかりは分からんなぁ。強い子に応援を頼んでいたから、まあ大丈夫だって信じるしかないよ」
 [漢字]世里[/漢字][ふりがな]せり[/ふりがな]さんというのか。
「強い子?」
「うん、強い子。今、別の場所にいるんだよ、いろんなところでつよい妖が現れてさぁ……」
「いろんなところ……? そんなにたくさん現れたの?」
「そう。……あ、[漢字]蓮[/漢字][ふりがな]れん[/ふりがな]、こいつら見ててくれん? 俺 先に逃げおおせた子たち探してくんわ」
「あー、分かった。[漢字]夕癸[/漢字][ふりがな]ゆうき[/ふりがな]、気をつけろよ。」
 一人、境内から出ていく。
 この二人の名前はそれぞれ蓮、[漢字]夕癸[/漢字][ふりがな]ゆうき[/ふりがな]というらしい。
「んー、疲れたぁ。……あ、お前ら、じっとしててよ、分からなくなるから。」
 あっちこっち行こうとする凱たちを見て、そう言う。
「———あ! 逃げてきたの? 大変だったわね、寒いでしょう、あっちに社務所があるから中に入ってちょうだい。二十人くらいなら大丈夫でしょう」
 拝殿の方から女の人が出てくる。夏だった。
「母ちゃん」
 斎が母親を見る。
「入っていいって〜、みんな行きな〜」
 蓮が間延びした感じで社務所の方向に指を指した。
「……凱くん」
 歩き出した途端、そっと呼び止められる。戸井君だった。
「何?」
「あの人は知り合い?」
 戸井君は蓮の方向を見つつ、聞いてくる。
「いや、あの人は知らない」
「そっかぁ……」
「どうかした?」
「なんでもない、魔力者っぽい人多いなぁって。昨日はその、結構 綺麗な女の人だったよね、名前はなんだっけ?」
「久世。久世さんだよ」
「そうなんだ、[漢字]百鬼久世[/漢字][ふりがな]なぎり くぜ[/ふりがな]さん、か」
 なら、馨は『内海馨』ではなく『[漢字]百鬼馨[/漢字][ふりがな]なぎり かおる[/ふりがな]』なのだろうか。
「おーいそこの二人〜、どうしたー? 早く入れ〜」
 社務所の入り口から蓮に呼ばれる。
 会話を打ち切り、走り出した。
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2025/10/19 09:19

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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