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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#80

第五章 異変(14)

 そのあと、妖怪は大きく広げた両手から泥を大量に出した。教室内すべてが、泥で埋まってしまうのではないかと思うほどの。
 それと同時に、強い光が見えた。思わず凱は目を瞑った。
 それは久世を彷彿とさせるようだった。
 そこまで、本当に一瞬だったと思う。しかし、その一連の動きはとてもゆっくり感じられた。
 まばゆい光の中で、ドボン、ドボン、と音がした。
 光が晴れると、辺りは泥でめちゃくちゃだった。
 幸い、凱たちは結界で守られていたからか、無事だった。ただ、結界の外側に泥が浮かんでいた。結界がなければ死んでいたかもしれない。
「くそっ、どんな量の泥だよ……!」
「おい! まだ生きてんぞ! やられてない……!」
 男二人が 大量にある泥を消しつつ、驚いたように叫ぶ。
 この状況がよく分からず、凱はぼんやり見ていた。
「……ちょっとこれ、大丈夫なの?」
 隣にいた子が、凱に聞いてくる。そんなこと聞かれても困る。
 そのとき、泥があちらこちらに飛び始めた。
「! おい! 危ない……!」
 三十代くらいの男の人が叫ぶが、間に合わず仲間の一人が泥に触れてしまい、倒れ伏した。五人の内でも若い方の男だった。
 そのまま、溶けるように消えてしまう。
「ねえ、この妖怪、人喰べた? 見た目のわりに、強くない?」
 その様子を呆然として見ていた女の人が、凱たちに聞いてくる。二番目くらいに年長に見える人だった。
「あ、はい。喰べてました。」
 あたりが時折、先ほどと同じようにまばゆく光った。
 一瞬、絶句したように目を見張って、女の人は仲間に向き直る。
「———ちょっと! 人喰いの妖怪よ! ここは私に任せて、この子たちを外に出して……!」
 その女の人は、仲間にそう叫ぶ。
「え……? しかし、[漢字]世里[/漢字][ふりがな]せり[/ふりがな]さん一人だけでは———」
「いいから! 手負いは減らしたいの! 余裕があれば、あの子も呼んできて……!」
 彼らはわずかに逡巡して、
「分かりました」
 と答えた。
 そのあと、窓から飛び降りるように言われた。
 同級生が飛び降りて死んだところを見ていたので、[漢字]躊躇[/漢字][ふりがな]ためら[/ふりがな]ったが、思い切って飛び降りた。
 ぎゅっと目を瞑る。しかし衝撃は来ず。
 ふわ、と着地していた。
「残っている者は居ないな……?」
 最年長者らしい男が凱たちをぐるりと見回す。そして居ないと判断したのか、
「お前らも走って逃げてろ! そこの二人はそいつらについて行け!」
 と叫んだ。
 と言われるが早いか、一斉に走り出す。一瞬遅れて、指示を出された二人も走り出した。
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2025/10/18 09:13

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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