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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#79

第五章 異変(13)

「———窓! 窓から飛び降りれば、もしかしたら———」
「はあ!? 駄目だって!ここ三階だぞ!?」
「別にいい……! 喰われるくらいなら———」
 そう言って本当に飛び降りてしまった。
 少しの間の後、ドン、とも グシャ、ともつかぬ音が耳に届く。
 恐る恐る、窓から覗く。———頭から血を流して、倒れていた。
「首が変な方向に曲がってる。絶対死んだよ、だってこれ、[漢字]頸椎[/漢字][ふりがな]けいつい[/ふりがな] 折れただろ。」
 同じように窓から見下ろしていた子が言う。
 恐怖からか、体がどんどん冷たくなっているのを感じた。
 不意に、ぐちゃぐちゃという人を喰らう音が聞こえなくなった。妖怪が、目も鼻も判別のつかない顔で笑ったのが分かった。
 瞬間、妖怪から周りに泥が飛び散った。
 何人かの子にそれが当たり、なすすべ無く倒れていく。
 それほど間も置かず、その体は沈んでいった。
 その様子を見て、それまで何とか冷静でいられた者も動揺し始める。それが周囲に[漢字]伝播[/漢字][ふりがな]でんぱ[/ふりがな]していく。
 そして、我先にと、窓へ向かっていった。
 妖怪はさらに笑いながら泥を飛ばした。
 それにまた当たって、次から次へと人が倒れていった。同じように、沈んでいく。
 止める間もなく、何人かが、窓から飛び降りる。

「———わっ! 人が落ちてきたっ!」
「ひぎゃっ! ちょっと大丈夫!?」
「おーい早まるな、助けに来たぞー!」
 下から声が聞こえる。父が来てくれたのかと思ったが、[漢字]新代[/漢字][ふりがな]にいしろ[/ふりがな]神社のときとは違う声だった。
「飛び降りたお前らはちょっと走って逃げてろー!」
 そんな声とともに、既に開け放たれていた窓から人が入ってくる。
 普通の人では跳んで入れるところではないから、霊力者なのだろうか。
 男女合わせて五人ほどだった。皆二十代から三十代に見える。
「みんな、一ヶ所に集まって、動かないで」
 そのうちの女の人が、そう声をかける。安堵と驚きと不安が心の内に入り乱れた。
 凱たちは言われた通りに一ヶ所に集まった。
 そして彼らは 結界というのだろうか———透明な壁のようなものを凱たちの周りに張った。
 様子を怪しんでいた妖怪が、助けに来た彼らを認めるなり、先ほどと同じように泥を飛ばし始めた。
 同じように彼らも先ほどと同じような透明な壁を張り、泥を跳ね返し、消す。
 しばらくの間、そんな[漢字]応酬[/漢字][ふりがな]おうしゅう[/ふりがな]が続いた。
 やがて業を煮やしたらしい妖怪が、天高く両手を広げた。
「! 気をつけろ……!」
 一番年長者らしい人が叫ぶ。それに応じて叫んだ本人と他の人たちは手を前にかざした。
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2025/10/17 06:54

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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