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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#78

第五章 異変(12)

 唯一魔力を受け継いでいるという『百鬼』という家についても知りたい。本当に馨たち兄妹の家なのだろうか。なぜ『内海』と名乗ったのか。
 『百鬼家』は、時庭家———特に姉や姉の実母と関わりがあったのだろうか。あるとしたら、それは一体なんだろうか。
 どうして、霊力者の筆頭たる時庭家の跡取りである凱は知らなくて、戸井君は知っていたのだろう。

 ———どこかで ガシャーン!と何かが大きく壊れる音がした。
 近くに落ちた雷にも似た音だった。思わず耳をふさぐ。
「え、何……?」
 教室内が一瞬で静まり返った。
 いつか感じたことがある、凍るような感覚を背筋に覚える。
(まさか———)
 凱が思い当たるより前に、

 ———グルルルル……ガアアアア———

 獣が唸るような音がすぐ近くで聞こえた。
 ギシリギシリ、と床を強く踏み鳴らす音が聞こえる。
「妖、怪……?」
 気がついたら、そう零していた。
 学校に、妖怪が侵入した。信じたくない事実に、恐怖にも似た感情を覚える。
「は!? 妖怪!?」
 同じようにその事実に行き当たった他の子が、半ば絶叫するのように言う。
 ギシリギシリと音を立てて、妖怪が入ってくる。
 ———鬼じゃない。泥に塗れたような、汚い水でできた像が溶けたような、そんな容貌の妖怪だった。
「なんだよ! 校舎に留まってろって話じゃなかったのかよ!」
 そう叫んで何人かが外に逃げ出そうとする。
「ま、待て、一旦落ち着けって——」
 彼らが教室の外から出るや否や、その足下の床から泥のようなものがうち上がってくる。
 彼らはあっという間に呑まれ、消えていった。
「ひっ……!」
 その様子に、おそらく全員が青ざめただろう。訳がわからず、凱も絶句した。
 父はいつも、このような妖怪と戦っていたのか。いや、
 そんなこと考えている場合じゃない。早く、逃げなければ。
 でも、どうやって逃げる。教室の扉からは逃げられない。窓から逃げるのはおそらく難しい。なにしろ、ここは三階なのだ。
 グシュ、ぐちゃぐちゃ という嫌な音が聞こえる。
「何この音……まさかあいつら、喰われた?」
 久世と馨、二人の顔が脳裏を横切った。どうかまた早く来て欲しいと願う。
「———おいお前ら! 何かあった、大丈夫か!———」
「先生!? 駄目です、来ないでください!」
 騒ぎを聞きつけたらしい教師が走ってくる。だが生徒の制止の声も虚しく、彼も泥の中に沈んでいってしまった。
「は? まじでどうしよう……」
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2025/10/16 08:18

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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