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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#77

第五章 異変(11)

「姉さん、こっち来て」
 手を伸ばし、むんずと姉の腕を掴む。そのまま引っ張った。
「え……?」
「ほら、早く早く」
 姉が慌てて立ち上がり、半ば凱に引きずられるように歩いていった。
 両親や親戚たちが、その様子を[漢字]憮然[/漢字][ふりがな]ぶぜん[/ふりがな]として見ていた。

「———ごめん姉さん、怪我はなかった?」
「え……あ、はい。大丈夫です」
 あの後、姉を自室に連れた。それ以外の場所は思いつかなかった。
 お互いに何を言えば良いのかわからず、沈黙が流れた。
 何か話したくて、戸井君から聞いた話を思い出す。
「……姉さんって『[漢字]百鬼[/漢字][ふりがな]なぎり[/ふりがな]』って家、知っている?」
 姉が顔を上げた。
 驚いたように、目を[漢字]瞬[/漢字][ふりがな]またた[/ふりがな]かせる。迷うようにしばらく視線を[漢字]彷徨[/漢字][ふりがな]さまよ[/ふりがな]わせて、
「……いえ、知りません」
 と言った。
 本当は姉は知っているような気がしたが、凱は触れないでおいた。
 その後は本当に話すことがなく、そのまま別れた。

[水平線]
 翌日。学校に着いてしばらくして、また騒ぎが起こった。
 再び妖怪が現れたという。今度は前に斎の家に出たような、鬼の妖怪らしい。
「昨日の今日だぞ!? 一体どーなってんだよ!」
 同級生の子が憮然としたように言う。凱も同じ気持ちだった。
「おい時庭、どういうことだよ? お前の父ちゃん、ちゃんと働いてんのか?」
 別の子が、半ば怒り気味にそう聞いてくる。とはいえそう聞かれても、
「ちゃんと働いていると思うけど……あまり会話しないからなぁ、、」
 と答えるしかなかった。つい昨日まで父の職場を知らないほど会話しないのは事実なので、仕方ないだろう。
 ただ今回は父たちはちゃんと警戒していたらしく、すぐに隊の者が対処するから校舎に留まるように学校からは言われた。
 授業は一時中止され、凱たちは待ちぼうけをくらった。教師たちが学校周りを見回ることになったからだ。
 最初はみんな大人しく自習などしていたが だんだん暇になってきたようで、いつのまにかみんなでお喋りをしていた。しまいには[漢字]斎[/漢字][ふりがな]いつき[/ふりがな]が腹芸を披露してみんなを笑わせている。
(馨さんも久世さんも、どうしているのかな……)
 凱は それらのお喋りに加わらず、ぼんやりと視線をどこかに投げる。
 父の上司———仁井戸さんから言われた『これらは人によるものかも知れない』という言葉と、新代神社のときや、昨日、久世が現場にいたことがなんとなく気になってしまった。
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2025/10/15 13:54

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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