文字サイズ変更

【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#76

第五章 異変(10)

「だいたい龍二様がどことも知れぬ女と子を作るからでしょう」
 誰かが割って入る。母の妹、つまり母方の叔母だった。
「本当にねぇ。浪子さんが可哀想」
 他の親戚も同調する。
 凱と同じ[漢字]嫡出子[/漢字][ふりがな]ちゃくしゅつし[/ふりがな]のはずなのに、なぜか姉は[漢字]庶子[/漢字][ふりがな]しょし[/ふりがな]のような扱いだった。
 何か言おうとしても、言葉が出てこない。昔に戻ったようだった。
「私だって嫌だよ。あのような女にこのような子を作った記憶は無い」
 父が恐ろしく冷めた目を姉に向ける。
「まあ、そんなこと分かりきったことだったでしょう。———ちょっとあなた!」
 母が父から姉に視線を向ける。姉がびくりと肩を震わせる。
「で!? これはどこで盗んできたの!? いい加減、答えたらどう!?」
「い、え……盗んでなどは———」
「嘘おっしゃい!」
 母が本を持っていた手を振り上げる。
 誰も動こうとはしない。
「———母さん!」
 母が振り上げた手を止める。母が返事をする間を置かず、凱は話し出した。
「それ、僕が姉さんにあげたんです。高価で面白そうだったけど、実際はつまらなくて、飽きちゃったから」
「は……?」
「えっと、だから、僕があげたんです。」
 母はしばらく凱を凝視していた。
「———凱。」
 母が凱を呼んだ。それは、とても低い声だった。
「あなたは、この泥棒の味方をするつもりなの?」
「え?」
「ああ、わかったわ。———あなた。凱にそう言うように言ったんでしょう」
 再び母が姉に視線を向ける。
「え? いや、そういうことではなくて———」
 凱は否定しようとした。
「そうなんでしょう」
「母さん、」
「凱は黙っていなさい」
 話が通じない。初めて、母に恐怖を覚えた。
「往生際が悪い。[漢字]朝水[/漢字][ふりがな]あさみ[/ふりがな]、認めたらどうだ。それで丸くまとまるんだぞ」
 凱は[漢字]縋[/漢字][ふりがな]すが[/ふりがな]るように父を見ようとしたが、父までもが母の味方だった。
「本当にねぇ、さっさと惨めに床に[漢字]蹲[/漢字][ふりがな]うずくま[/ふりがな]って謝ればいいのに」
 あちらにいる親戚たちも、仲裁に入るとは思えない。現に、この状況を面白がっている。
 ———強行突破するしかない。
 凱は姉の前に出た。
ページ選択

2025/11/07 14:26

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
コメント

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権は錦野 真名さんに帰属します

TOP