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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#75

第五章 異変(9)

「———[漢字]凱[/漢字][ふりがな]かい[/ふりがな]! 大丈夫だったの!? 本当にあの人も、こういう時に限っていないんだから……!」
 一波乱のちに学校から帰ると、案の定 母からとても心配された。
「あ、うん。大丈夫。ほら、怪我してないでしょ」
「そう……。とりあえず、荷物を下ろしてご飯を食べなさい。もう用意してあるから。」
「はい」
 母に促され、ご飯を食べて風呂に入った。

 風呂から出ると、父が家にいた。帰ってきていたらしい。
「凱!」
 凱の姿を見つけると、父は駆け寄ってくる。
「大丈夫だったか? すぐに来られず、すまなかった。」
 大百足出没の報を聞いて戻ってきたらしい。
「大丈夫です、ありがとうございます」
「そうか、よかった。いや、[漢字]仁井戸[/漢字][ふりがな]にいど[/ふりがな]さんから遠いところの任務を任されてな、行っていたんだ。この最中に起こるとは思わなかった。」
「そうだったんですか」
「ああ。とりあえず———」
 父が話す途中で、どこかでバチンと音がした。それと同時に、
「———なんなのこれは!」
 母の怒鳴り声がする。父がその声の方向に顔を向けた。
「[漢字]浪子[/漢字][ふりがな]なみこ[/ふりがな]か? 何かあったのか?」
 母が怒鳴る相手。それはほとんど一人しかいない。
「多分、姉さんが———」
 嫌な予感しかせず、凱は[漢字]踵[/漢字][ふりがな]きびす[/ふりがな]を返した。

 着いた先は、姉の部屋の前だった。
 何人か親戚の人たちがいて、その真ん中に母と姉がいる。姉の頬は赤く腫れていた。
「[漢字]百合[/漢字][ふりがな]ゆり[/ふりがな]から聞いて来てみたら。こんな高価な本、誰から盗ってきたのよ!」
「それは———」
「前の気味の悪い鏡といい、本当盗み癖のある子ね! 一体誰に似たのかしら」
 そっと母の手元を[漢字]窺[/漢字][ふりがな]うかが[/ふりがな]う。
(あの本、)
 凱が昨日買ってきた本だ。これまで、母にはなるべく知られないように姉に渡していたのに。どこでどう知られたのだろう。
(もしかして———)
 いつもとは違ったこと。それは、姉に直接渡さなかったことだ。部屋の扉の少し内側に本を置いた。
(姉さんが見る前に、誰かに取られた?)
 そうだろう。姉が見たら、隠すはずだ。
「———いったい、どうしたんだ?」
 父が母に問いかける。母が振り向いた。
「あら、[漢字]龍二[/漢字][ふりがな]りゅうじ[/ふりがな]さん」
 母が意外そうな顔をする。それでもすぐに鬼の形相になった。
「この泥棒が、今度は本なんて盗っているんですよ! 本当に性格が悪いんだから……!」
「はぁ……」
 父が要領を得ないような返事をする。
 というより、父が、母が姉に当たっているところを見たのは初めてではなかろうか。
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2025/11/07 14:27

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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