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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#72

第五章 異変(6)

 あたりが一瞬しんとした。みんなが「は?」となっているのが分かる。
「は? 妖怪? どういうことだよ?」
「妖怪は妖怪! あれは多分[漢字]大百足[/漢字][ふりがな]おおむかで[/ふりがな]だと思う、とにかく早く出んぞ! 前に俺ん家に出たやつより強えかも!」
 その言葉に教室内がざわざわとし始める。本当なのか。嘘じゃないのか。でも嘘を言っている顔には見えない。
「でも、妖怪ってどこに出て……」
「あっちの商店街のあたりに出たんだよ! もう襲われている人もいる……!」
 逃げ惑う人たちのものだろう、どこからか悲鳴が聞こえてくる。
 斎の言っていることは本当なのだろう。
 みんなもそう悟ったか、そのただならぬ雰囲気に呑まれるように 次々と立ち上がり、階段に駆けていった。

[水平線]
「そんで、どこに行くんだよ!」
 みんなが外に出終わったところで、誰かの声がする。
 学校から少し近い商店街の方で、大きな赤いものが見える。あれが大百足だろう。それは緩慢な動作で商店街の店を文字通り破壊していく。
 改めて大変なことになったと凱は思った。
「凱ん家は駄目なのか?」
 斎は答えたが、すかさず却下される。
「馬鹿なのか!? いくら名家でもこんな人数収容できねーだろ!」
「あ、凱くんのお父さんがいるところは? 確か、[漢字]時庭[/漢字][ふりがな]ときにわ[/ふりがな]ってちょっと有名な霊力者さんたちの集まりだよね」
 別の子が名案とばかりに手を打つ。戸井君だ。
「は?」
「なんか[漢字]屯所[/漢字][ふりがな]とんしょ[/ふりがな]っぽいところあったよね、結構広かったから大丈夫だと思うけど」
「で、どこにあんだよ?」
「僕知ってるよ〜、親がそこに勤めてるから。あの商店街の方向と反対方向だから、大丈夫」
 ちなみに、凱は父の勤め先を知らない。
 それじゃあ行こうか、と斎が言いかけたところで、
「は!? 行くの!? 他のクラスのみんなを置いて!? あんなまずそうな奴なんだよ!? 逃げる途中で襲われたりしたら、どうすんの!? 校舎に留まった方がいいんじゃ———」
 誰かの反論する声が聞こえた。
「でも———」
「別にいいよ」
 斎が話そうとするのを、戸井君が止める。
「別にいいじゃん、校舎に留まりたい人は戻って、逃げたい人は逃げるで。もし百足が来たら、多分校舎ごと壊されるだろうし、」
「誰かが助けに来てくれるんじゃ———」
「確か凱くんのお父さん、別の任務で遠出していたはずだよ」
「は……!?」
 父は霊力者の中で他の追随を許さぬほど強い。その父がいないとなると———
「だから、分かんないよ。どっちでも、危険なのは変わんないよ」
 結局、その二つに分かれることになった。
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2025/11/07 14:29

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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