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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#69

第五章 異変(3)

「あと。……ちょっと心配で」
「え? 何が?」
「うーん、……馨さんたちのご両親、もう亡くなってて。その復讐しようとしてるって」
 想像通り、斎の目が点になった。
「へっ? 復讐? なんだそりゃ」
「……なんだろう?」
「謎だな、よし調査だ。もしかしたらそこから馨さんの居場所がわかるかもしれないだろ」
「え? あ。そっか……」
 よし調査だ、じゃない。決断が早すぎる。
「それじゃあ、くよくよしている暇なんてないぞー、調べるぞー。あ、なんか凱、他にいい情報持ってる?」
「え? えー」
 そしてさっきからいろいろ突然すぎる。
 断ることもできず、凱は姉が馨にもらったという手鏡のことや、兄妹が凱の両親を嫌っていること、久世が時庭家を訪ねたときのことなどを話した。
「んー……むー、むむ〜」
 話を聞き終えた斎は[漢字]唸[/漢字][ふりがな]うな[/ふりがな]ったような声を出す。
「それさー、凱の家が一枚[漢字]噛[/漢字][ふりがな]か[/ふりがな]んでるんじゃないの?」
「え?」
「何か調べたら出てくるんじゃね?」
 時庭家が関係している? でも母だって二人を知らないと言っていて、父だってそれまで知らなかったようだった。
「出て……くるかな? だって僕 一度もあの人たちに会ったことなかったし、話にも噂にも聞いたことないし———」
『———凱君は何も知らなくていいよ』
 話していると、馨の声が[漢字]蘇[/漢字][ふりがな]よみがえ[/ふりがな]ってきた。凱は何も知らなくていい、馨はよくそう言っていた。
 そういえば、初めて苗字を名乗ったとき、馨も久世も衝撃を受けていた。
 二人とも、よく姉のことを気にかけていて。
 二人とも、初対面だったはずなのに、凱の両親を嫌っていて。
 それに、どうして馨は大切なはずの母親の形見を他人である姉に渡したのだろう。
(何かある?———そうかもしれない)
「凱?」
 途中で話をやめた凱に、斎が声をかける。凱は顔を上げた。
「大丈夫。———やっぱり、何かあるのかもしれない」
「本当? じゃあ余計 寂しがってる暇はないな。よっし!頑張るぞー!」
 斎が右手を握って突き上げる。凱もうなずいた。
 気がつけば、前より気分が少し晴れていた。
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2025/11/07 14:33

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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