文字サイズ変更

【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#67

第五章 異変(1)

 あれからどう過ごしたか、[漢字]凱[/漢字][ふりがな]かい[/ふりがな]はあまり覚えていない。
 ただ母に加えて凱までもが周りと話そうとしなくなったことについて、親戚や使用人たちにはずいぶん心配されたらしい。
 姉にも心配された。
 前、二週間空けると言われたときはまだ良かった。いつまた会えるか、分かったから。
 けれど、今度はおそらくもう会えない。
 霊力者の勘はよく当たる、という話も凱を[漢字]虚[/漢字][ふりがな]むな[/ふりがな]しくさせた。
 学校も冬休みが明けて新学期が始まったが、どうにも楽しく思えなかった。
「[漢字]時庭[/漢字][ふりがな]ときにわ[/ふりがな]? 沈んだ顔をしているようだが、大丈夫か?」
 生気のない顔をしている凱に、教師も声をかけてきた。
「……大丈夫です。心配かけてすみません」
「そうか? まあいい。何かあったら[漢字]遠慮[/漢字][ふりがな]えんりょ[/ふりがな]なく誰かに相談するようにな」
 教師は深くは聞かず、それだけに留めた。
「おーい凱ー? 大丈夫かー? 死んだ魚の目してっけどー」
 [漢字]斎[/漢字][ふりがな]いつき[/ふりがな]も話しかけてきた。[漢字]俯[/漢字][ふりがな]うつむ[/ふりがな]いたまま、視線だけを斎に向ける。
「ついさっきさー、呼ばれたんですわ、先生に」
 唐突にそんな話をする。
「そんでびくびくしながら行ったんだけどさー、まだ怒られてない案件たくさんあるからさ、両手両足では数えられないくらいには」
「……そう」
 いつもなら呆れて何か言っているだろうが、そんな元気はなかった。
「そしたら、『時庭が元気なさそうだから見てやってくれ』って言われてさ。大丈夫かー?……あ、そうだ。よし、いったん場所変えますか。凱、行くぞー」
 凱の二の腕を掴み、斎は歩いていった。

 連れて行かれた先は、学校に植っている大きな木だった。見上げるほどの高さがあるその木は 古くから生えていると聞いたことがある。
 斎がその太い幹の周りをぐるっと半周回る。凱もついていった。幹を見ると、そこには。
 ———[漢字]梯子[/漢字][ふりがな]はしご[/ふりがな]がかかっていた。
「ここの木は俺の秘密基地なのさー」
 そう言って斎は嬉々として登り始めた。いいのだろうか、と流石に凱は思い始める。
「凱ー、何突っ立ってんのさ、早く登れよー」
 あっという間に凱の身長以上まで登っていってしまった斎の声が聞こえる。
 ため息を吐きつつ凱も梯子に手をかけた。
ページ選択

2025/11/07 14:34

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
コメント

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権は錦野 真名さんに帰属します

TOP