文字サイズ変更

【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#66

第四章 別れ(10)

 久世が最後に言った『復讐』が気になった。
「あの、馨さん」
「僕、馨さんがいなくなること、久世さんから聞いてて。それで、えっと、———復讐ってなんですか」
 凱がそう聞くと、馨が驚いたように息を呑み、瞠目した。その顔は青ざめているように見えた。心なしか、息を詰めているようだった。
 初めて会ったときもよくあったが、もしかしたらここまでの反応は、初めてかもしれない。
「そこまで言ったの?———久世、」
「……はい」
「そう……。なら、いいか。少しだけね。———死んだ両親の、復讐。」
 暗闇で、馨の表情はよく見えなかった。
 もうすっかり日は暮れている。
「そろそろ、家に着くかな」
「……あ、」
「じゃあね。……さようなら、凱君」
 そう言って馨は反対方向へ歩き出した。
 なぜか、馨がもう二度と帰ってこないような気がした。
「馨、さん」
 歩き去ろうとしている背に声をかけた。人影が振り返る。凱はそちらに駆け寄った。
「、———」
 何か話そうとして、でも何も話せなかった。
 人影は、じっと佇んでいた。やがて凱のもとへ歩いていく。
「……凱君?」
 馨が凱の顔を覗き込んだ。凱の両肩を手を置き、困ったように笑う。
「朝水ちゃんのこと、よろしくね」
 突然、姉の名を出された。それでもぼうっとしていた凱は驚く余裕も無く、ただうなずく。
「凱君も、元気でね」
 馨が凱から離れ、再び歩き出した。
「———さようなら。」
 別れの挨拶に何も返せず、姿が見えなくなるまで馨を見ていた。
 姿が見えなくなっても、凱はその場に[漢字]佇[/漢字][ふりがな]たたず[/ふりがな]んでいた。
ページ選択

作者メッセージ

やっと半分まで来た〜!
これからもよろしくお願いします!

2025/11/07 14:44

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
コメント

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権は錦野 真名さんに帰属します

TOP