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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#65

第四章 別れ(9)

「ふざけてはないの? 本当? 一目[漢字]惚[/漢字][ふりがな]ぼ[/ふりがな]れ?」
 馨が突っかかった。
「一目惚れ! だってめっちゃ美人じゃんあの人!」
 確かに、凱はとつぶやく。
「そっか」
 妹が美人と言われて嬉しくなったのだろう、馨は微笑んだ。
「つか何でいなくなんの!?」
「何でーって……大人の事情?」
 大人の事情。久世は、『復讐』と言っていた。よくわからない。
「大人ぁ? 馨さん今いくつなの!?」
「今年で十九」
 それは凱君は既に知っている。
「十九? それは大人か? 子どもか?」
 斎が訝しげにしている。馨が笑って答える。
「大人大人。立派な大人。」
 個人差もあるだろうが、馨くらいしっかりしているのなら大人だろう。斎なら……おそらくまだ子どもかもしれないが。
「そういえば、久世さんは今おいくつなんですか?」
「久世? 久世は今年で十八。俺と年子」
「そうなんですか。……縁談とかはあるんですか」
 十八となれば、結婚話が出てきてもおかしくはない年だ。既に嫁ぐ人もいるくらいである。
「え! 久世さん結婚すんの!?」
 斎が大げさに驚く。その様子に、馨が苦笑した。
「縁談はまだないし、多分しばらくは結婚しないよ」
「そうなんだ、あーよかった〜」
 斎は一体、何の心配をしているのだろうか。

 そのような感じでしばらく話して、昼になると斎が調達してきた弁当を三人で食べた。
 夏もそのうち来て、初対面である馨と挨拶していた。
 斎はもうすっかり上達したらしい吹き矢で遊んでいた。馨と一緒に吹き矢用の的も作って遊ばせてみたが、ほぼ[漢字]中[/漢字][ふりがな]あた[/ふりがな]っていて驚いた。
 そろそろ[漢字]黄昏[/漢字][ふりがな]たそがれ[/ふりがな]時になり、馨と凱は帰ることになった。
 一緒に鳥居をくぐる。家の周辺まで送ってくれることになった。まるで出会って日も浅かった頃が思い出された。
 歩きつつ、話す。
「昨日、久世がそっちにいったんだっけ。おもてなし、どうもありがとう」
「あ、いえ、大丈夫です」
「まさか行くと言い出すなんて思わなくて。久世には辛いかもなぁ、って思ってたから」
「あ……」
 ハッとした。泣いていた久世の顔が思い出された。
「……凱君?」
 それに気づいた馨がこちらを覗き込む。
「心当たりでもあるの?」
「えっ……と……耐えられない、みたいなことを言っていて。あと、帰り際に泣いてました」
 もう少し詳しく話そうかと思ったが、馨はそれだけで十分察したようだった。
「そう……」
 馨が黙ってしまう。
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2025/11/07 14:44

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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