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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#64

第四章 別れ(8)

 翌々日。朝食をとった後くらいに、伝書[漢字]鳩[/漢字][ふりがな]ばと[/ふりがな]が来た。
 馨が神社に来た、という内容だった。
 もとより久世から聞いていたことなので、既に出かける準備はしてあった。いや、聞いていなくとも、出かけていたかもしれない。
 一昨日のこと以来、母は凱とあまり話したがらなかった。
 十中八九、久世が姉のことを話に持ち出したのが悪かったのだろう。
 使用人に伝言を頼み、凱は家を出た。
(それにしても最近よく斎の家に来るなぁ)
 いや、友人同士だというのに、今までが行かなすぎたのだろう。というか、あの事件の少し前まで、凱は斎の家に行ったことがなかった。
 鳥居をくぐり、いつも通り拝殿で手を合わせてから邸へと向かう。
 邸の人を呼んで、斎と馨に会わせてもらおうすると、
「斎様? 確かさっき[漢字]杜[/漢字][ふりがな]もり[/ふりがな]に遊びに行くと言っていたような。悪戯しなければ良いのですがね。あ、でも、客人を連れていっていらっしゃったので、大丈夫でしょうけど」
 とのことだった。やはりしょっちゅう悪戯して遊んでいるらしい。安堵と呆れを感じた。
 馨は斎と一緒にいるらしい。
(杜か。杜の、どこだろう)
 杜に入って歩き、しばらくすると「あ、凱見っけ〜、こっちこっち〜」と斎の声がした。
 その方向を見ると、少し離れた木と木の間から二人が見えた。
「斎、馨さん」
 二人に駆け寄る。紙のようなものを敷いた、その上に座っていた。
「おー、凱、あけおめ〜。伝書鳩すげー、ちゃんと届くんだ」
 あの伝書鳩は今度こそ斎のもので間違いなさそうなのに安堵する。しかし、あけおめ とは一体なんだろうか。
「……明けましておめでとう」
 小さくため息を吐きながら、凱も挨拶する。
 その様子を馨は楽しそうに見ていた。
「明けましておめでとうございます、凱君」
「『凱君』!? 俺は!? 俺には!?」
「……斎君にはもう挨拶したと思うのだけれど」
「えー、うん、でもさー……」
「斎は本当に変わらないね」
 凱がさらに呆れた目で斎を見る。
「それよりさー、凱も聞いたぁ?」
 斎ががばっと顔を上げる。
「何を?」
「馨さん、いなくなっちゃうんだってよー」
 あ、と声が漏れた。それについては、凱は久世から既に聞いている。[漢字]首肯[/漢字][ふりがな]しゅこう[/ふりがな]した。
「あー寂しいよー、いなくならんでよー、……あ、久世さんはいてくれるん?」
 自分の腕に顔を埋めつつ、斎は馨を上目遣いで見る。
「久世はいると思うよ、分からないけど」
「分からないってなんだよー、てか何で今日は来ないんだよー」
「斎が久世さんに迷惑かけるからでしょ、変に告白したりさ」
「愛の告白のどこがいけないのさー」
 斎が ぶーと唇を[漢字]尖[/漢字][ふりがな]とが[/ふりがな]らせる。
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2025/11/07 14:43

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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