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【完結】虐げられている異母姉のことを、僕たちは知らなかった。

#58

第四章 別れ(2)

「———あら、時庭様方じゃないの!」
 呼ばれて振り向くと、[漢字]禰宜[/漢字][ふりがな]ねぎ[/ふりがな]がいた。そろって振り向く。
「あのときは本当にありがとうございました。一年お世話になりました。来年もまたよろしくお願いします」
 禰宜は丁寧に頭を下げる。
「いえ、なんともないことです。ただ仕事をしただけですので」
 父が軽く頭を下げる。
「お泊まりになるのでしょう。宮司が張り切ってますよ、恩を返すのだと」
「宮司様ですか。もう回復されたのですね。よかったことです」
 今度は母が応じた。
「ええ。おかげさまで。」
 禰宜としばらく談笑しながら歩き、拝殿に着いた。いつも通り二礼二拍手一礼をする。
 お[漢字]詣[/漢字][ふりがな]まい[/ふりがな]りを済ませると、邸に通された。斎たちが住んでいるというあの邸だ。
「あの……住んでらっしゃるんですよね、使っていいんですか?」
 凱がふと疑問に思って禰宜に問う。
「大丈夫ですよ。年末年始はみんな忙しくて、邸に戻る暇なんてありゃしませんから。今年などは本当にね……あの悪戯小僧が真面目にしているくらいですよ」
 悪戯小僧といえば、斎のことか。
「あの斎が大人しくしている……って、相当忙しいんですね」
「ええ。……ええ、そうですよ」
禰宜が呆れたように遠い目をする。苦労が[漢字]垣間[/漢字][ふりがな]かいま[/ふりがな]見えた。
 それを[漢字]傍目[/漢字][ふりがな]はため[/ふりがな]に見つつ、凱たちは邸の中に入る。
 持ってきた荷物を片付けると、凱は外に出た。のんびりと邸の周りをふらふらしてみる。
「あ、凱だ!」
 斎の声がした。時庭家が泊まりに来ると聞いて、駆けつけたのだろう。よほど大変か、いつになく げっそりとした顔をしている。
「斎。……忙しいんじゃなかったの?」
「そりゃもちろん大忙し大忙し。でも抜け出してきた〜」
「大丈夫なの?」
「逆に大丈夫だと思うか?」
 [漢字]訝[/漢字][ふりがな]いぶか[/ふりがな]しんで聞くと、斎は開き直ったように片眉を上げた。
「思わないから聞いているんだけど」
「あー、そっかー……ってなんでこんなときに来るんだよー、おまけに来たのが時庭家だから父ちゃん張り切っちゃって大変なんだぞー」
「なんでって言われても……父さんに聞いてよね」
 そんなことを話して、凱は斎と別れた。
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2025/11/07 14:37

錦野 真名
ID:≫ 49jonrKhevwZo
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